ビッグカードで“伏兵”の一撃! 青森山田が東福岡を破り3回戦進出

ビッグカードで“伏兵”の一撃! 青森山田が東福岡を破り3回戦進出

先制点を決めた青森山田の田中凌汰 [写真]=平野貴也

 最注目試合の勝敗を動かしたのは、青森山田の“伏兵”だった。平成29年度全国高校総合体育大会のサッカー競技大会は30日に2回戦を行い、青森山田高校(青森)は3−1で東福岡高校(福岡)を下して3回戦に進出した。青森山田は、昨季の全国2冠チーム。対する東福岡は、一昨年の全国2冠。組み合わせが決まった時点で早期の対決が期待されたビッグカードが実現し、会場となったみやぎ生協めぐみ野サッカー場Bには大観衆が押し寄せた。公式記録は3000人だが、スタンドはもちろん、ゴール裏のスペースも人で埋まり、隣のグラウンドを見るためのスタンド最上段から見る観戦者もいるほどだった。休日のため、大人のサッカーファンも多く来場。ピッチに熱い視線を注いだ。

 注目の一戦は、期待に違わぬハイレベルな試合となった。先にペースを握ったのは、東福岡だった。中盤の底で舵を取るMF青木真生都のロングパスに快足を誇る右MF石原利玖が飛び出し、伝統のサイドアタックを繰り出した。しかし、青森山田は黒田剛監督が「高円宮杯U−18プレミアリーグ(EAST、WEST)の成績を比べて、相手は『超』攻撃的、こっちはそれほどでもない。ただ、守備は絶対にうちの方が勝っていると思った。きちんと受け止めてから攻撃をしようと考えていた」と明かした通り、がっちりとした守備から応戦。その中で、効力を発揮したのが、左から右前方の対角線へ飛ばすカウンターアタックだった。そして、右MF浦川流樺が飛び出すのに合わせて、郷家友太と2シャドーを組む田中が、颯爽とゴール前に現れた。25分、浦川が右から送ったクロスを2人でスルーして、背後に走り込んだ田中がシュート。この場面は決め切れなかったが、3分後にはDF小山内慎一郎のロングパスを浦川がヘディングで絶妙に折り返し、中盤から飛び出した田中凌汰が相手GKの鼻先でシュートを合わせて先制した。

「本当に気持ち良かったです」と振り返った田中の働きは、大きかった。本来なら、青森山田の攻撃は、プロ入りが確実視されているMF郷家や柏レイソルU−18から移って来たFW中村駿太を中心に展開される。しかし、中村には東福岡の鉄壁、U−18日本代表DF阿部海斗が付いており、郷家は東福岡の10番である福田湧矢をマンマークしていたため、守備優先でポジションが下がりがちになっていた。だからこそ、郷家と2シャドーを組んだ田中の攻撃力が重要だった。「(郷家)友太と駿太のマークが厳しくなるのは、分かっている。それで空いたところに自分が飛び込んで点を取ろうという意識でやっていた」という伏兵の狙いが、ズバリ的中した。青森山田は、後半の立ち上がりに浦川の豪快ボレーで追加点を奪い、ミドルシュートで1点を返された後にも郷家がダメ押しの3点目を奪って注目対決を制した。

 ビッグカードは、先制点によって展開が大きく変わる。田中は、重要な役割を果たした。郷家は「今日は僕がマンマークで下がってしまう分、中盤の相手のパスコースを1人で消さなければいけなかったので、僕よりもタフな仕事をしてくれた。自分の分まで走ってくれたので、攻撃の時間も少しは作ることができたと思う。プレミアリーグでは自分と駿太以外があまり点を取れていない。他の選手が取ってくれたことで勢いが付くと思う」と田中のプレーを称賛した。田中は、全国2冠を達成した昨季からレギュラーの郷家らとは違う歩みを経ている。年明けにトップチームが東北新人戦を戦っている間も、青森に残って雪中サッカーで体力を鍛えていた。その後もセカンドチームでプリンスリーグ東北を戦っていた。しかし、高円宮杯U−18プレミアリーグEAST第6節に途中出場すると、持ち前の得点力を発揮。トップチームに定着。今夏、一気に存在感を強めている選手だ。奈良県出身で青森山田中学校に越境入学し、内部進学。青森の地で一花咲かせようという意気込みは強い。「大学を経由してプロを目指してやりたいと思っている」と話す伏兵が、ビッグカードで大仕事を成し遂げた。

取材・文=平野貴也

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