【ライターコラムfromG大阪】待望のJ1デビュー戦は黒星も…未来への可能性を示した市丸瑞希

【ライターコラムfromG大阪】待望のJ1デビュー戦は黒星も…未来への可能性を示した市丸瑞希

磐田戦でJ1初出場を果たした市丸 [写真]=J.LEAGUE

 初めての明治安田生命J1リーグ出場にも緊張はなかった。いや、厳密に言えば、試合前までは昂ぶる気持ちも、緊張もあったそうだ。だが、ピッチに立ち、試合開始を告げるホイッスルが鳴った瞬間、集中力が緊張を上回り「自分のプレーを出すことだけ」をイメージしている自分がいた。そこからはピッチを離れるまで、あっという間の76分。慣れない3バック、慣れない3ボランチでのプレーにスタートこそ戸惑いもあったが、時間の経過とともにそれも楽しさに変わっていった。

「攻撃についてはヤットさん(遠藤保仁)が『自由にやれ』って言ってくれていたので、いつも通りにやることだけを考えていたんですけど、守備に関してはダブルボランチをしている時とは違い、どこでプレッシャーをかけにいけばいいのかが難しく……。攻撃から守備の切り替えの時もダブルボランチの時は戻るところがハッキリしていたのに対し、3ボランチだとある程度は決まっていたとはいえ、空いているところを探して戻るという感覚なので、その辺は慣れるまでに少し時間がかかりました。ただ、試合の経過とともに落ち着いてプレーできるようになったし、自分でも初めてな感じはしないほどいつも通りに、楽しんでプレーできた気がします」

 先発を告げられたのは試合直前だ。体調を崩し、ギリギリまで状態を見極めていた井手口陽介の欠場が決まると同時に先発出場を告げられた。これまで外から試合を観ている中でも「常に自分がそこに立ってプレーをするイメージを描けていた」からだろう。今季初先発を、しかもチケット完売という満員が予想される一戦を前に告げられても、意外と驚きも動揺もなかった。

「陽介くんや今さん(今野泰幸)とはプレースタイルが違うし、同じプレーはできないけど、やるべき仕事はわかっていたし、その中で自分らしさを出せばいいと思っていました。意外と初めてな感じはしなかった。ただガンバでの公式戦からは遠ざかっていた中で、ゲーム感の部分は気になっていたので、最初は1〜2タッチで簡単にプレーした上で、慣れてきたら自分らしいチャレンジをしていこうとイメージしていました。その部分に関しては描いていた通りに試合を運べたし、何度か自分らしいパスも出せたので良かったです」

 その言葉にもあるように“らしさ”が光る場面はいくつかあった。13分には遠藤から受けたパスを、ワンタッチで前線へ。結果的に倉田秋のダイレクトシュートは枠を捉えられなかったものの、一気に局面を変えられる、得意の縦パスで存在感をアピール。さらに34分にはゴール前の混戦で、味方からこぼれてきたボールに反応し、思い切り右足を振り抜いた。

「ああいうパスは練習からずっと意識して狙っていて、それを試合で出せたのは良かった。ただ、僕のところではだいたいフリーでボールを受けられていたし、(13分のシーンも)ヤットさんも気を遣って丁寧にパスを出してくれていたので、あそこはミスをしなくて当たり前っていう状況だったと思っています。シュートに関しては……。監督からも点を狙えということは言われていただけに決めきれなかったのが残念。あのミドルシュートが入っていれば試合展開も変わった気がするし、ああいう場面で決められる選手にならないとこの先、チャンスはもらえない。もっと結果にこだわってやっていく必要性は感じました」

 かねてからチームで繰り広げられる遠藤や今野、井手口らとの熾烈な『ボランチ』争いについて、「どうせならレベルの高い選手からポジションを奪った方がいい」と話していた市丸瑞希。正直、この日のパフォーマンスだけで、彼のチーム内での『序列』が一気に変わったとは思わない。だが、市丸瑞希が近い将来、彼らとのハイレベルな競争を繰り広げる存在になることは、確実にイメージできる一戦だった。

文=高村美砂

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