【コラム】“BIG6”では王者のみが黒星発進…激戦必至のプレミアリーグが開幕

【コラム】“BIG6”では王者のみが黒星発進…激戦必至のプレミアリーグが開幕

プレミアリーグが開幕を迎えた [写真]=Getty Images

「言い訳はない」

 開幕戦でバーンリーにまさかの敗戦を喫したチェルシーのアントニオ・コンテ監督は試合後、気丈にふるまった。

 プレミアリーグ王者が開幕戦で黒星発進するのは昨シーズンのレスターに次いで2度目となったが、3失点と2選手退場という記録は史上初という汚名として残ることとなった。

 前半14分、チェルシーの新主将、イングランド代表DFガリー・ケーヒルが危険なタックルにより一発退場となると、同24分から19分間の間に3点を献上。主導権を握ったバーンリーに2タッチでのパスサッカーで翻弄された。

 チェルシーは後半から持ち直すと、途中出場のスペイン代表FWアルバロ・モラタがプレミアリーグデビューゴールを果たしたが、81分に同MFセスク・ファブレガスが2枚目の警告で退場処分となり、9人に。終盤にブラジル代表DFダビド・ルイスのゴールで1点差に迫ったものの、同点には届かなかった。

「毎日の練習で全力を尽くし、プレーに集中することが重要だ」と、自分に言い聞かせるように語ったコンテ監督だが、開幕前のコミュニティシールドでアーセナルに敗北したのに続き、公式戦2連敗はチームに重くのしかかった。

 対照的に公式戦2連勝と勢いづくアーセナルは運も味方にしている。

 チェルシーと対戦したコミュニティシールドでは0−1で迎えた終盤に相手MFペドロが退場すると、その直後に同点ゴールを決め、後のPK戦を制した。開幕戦でもレスターを相手に2−3での劣勢を強いられたが、途中出場のウェールズ代表MFアーロン・ラムジーとフランス代表FWオリヴィエ・ジルーが終盤残り7分でそれぞれ得点し、逆転に成功した。

 試合後、アーセナルのアーセン・ヴェンゲル監督は「質の高い試合だった。この種の試合をモノにしたことはチームの自信につながる」と胸を張ったが、一方で「守備を改善しなければならない」と、課題克服に意欲を示した。

 イギリスメディア『BBC』の批評家で元イングランド代表FWのイアン・ライト氏も「守備が固まれば、優勝争いできるチームに変貌する」と、評したように、離脱中の守備陣が揃えば、スタートダッシュが長く続くかもしれない。

 一方、マンチェスター・U、マンチェスター・C、トッテナムの3チームは開幕完封勝利で上々の出だしを切った。

 中でも完ぺきな仕上がり具合を見せたのがウェストハムに4−0で大勝したマンチェスター・Uだろう。新加入のベルギー代表FWロメル・ルカクが2ゴールでチームを引っ張ると、試合終了間際にも畳みかけるように2ゴールを追加し、圧倒的なレベルの差を見せつけた。

 開幕直前のUEFAスーパーカップではレアル・マドリードに惜敗したものの、ウェストハム戦での快勝後、ジョゼ・モウリーニョ監督は「ルカクと(ネマニャ)マティッチがチームを大きく成長させた」と新加入2選手を手放しで称賛すると、ルカクも「僕の仕事はゴールを決めること。期待してもらっていい」と、自信をみなぎらせた。

 マンチェスター・Uが第1節から首位に立ち、早くも熱を帯びてきている優勝予想だが、2013年以来となる5年ぶりの栄冠に向け、赤い悪魔は力を取り戻しつつある。

 お隣のマンチェスター・Cも昇格組のブライトンに2−0で快勝。ボール支配率78パーセントと、スター選手で固められた攻撃陣が格の違いを見せつけたが、量産した決定機に対し、結果が2ゴールにとどまったことから、ジョゼップ・グアルディオラ監督は「我々は昨シーズンより強くなったが、まだ改善の余地はある」と不敵に笑った。

 同様に昇格組のニューカッスルに2−0で快勝したトッテナムは、0−0で迎えた後半早々に相手が退場者を出したことで主導権を握り、勝ち点3を獲得した。マウリシオ・ポチェッティーノ監督は噂される補強について「基本的に現在のチームの9選手は不動だ。補強をすれば、選手たちに余計な圧をかけることになる」と、人選に慎重になっていることを説明した。

 土を付けられたチェルシー同様、開幕戦で躓いたのがリヴァプールだ。3−2で迎えた終了間際にまさかの同点ゴールを献上し、ユルゲン・クロップ監督は「勝てる試合だった」と嘆いた。バルセロナへの移籍が間近と囁やかれるブラジル代表FWフィリペ・コウチーニョがクラブ内に不協和音をもたらしていることについて同監督は、「決断はオーナーに任せている」と自虐気味にコメントした。

 開幕戦から王者チェルシーの黒星発進というサプライズが巻き起こったプレミアリーグ。チェルシーは次節、早くも昨シーズン2位のトッテナムとの“ロンドン・ダービー”が控えるだけに、開幕早々正念場を迎えている。

文=藤井重隆

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