【ライターコラムfrom仙台】日々の積み重ねを大切に…石原直樹が広島戦で見せた姿勢

【ライターコラムfrom仙台】日々の積み重ねを大切に…石原直樹が広島戦で見せた姿勢

今季から仙台の一員となった石原直樹 [写真]=J.LEAGUE

 黙々とシュート練習を一人で続ける日もあれば、練習の合間に率先して周囲の選手を呼び集めて意見を交わす日もある。プロ15年目のシーズンをベガルタ仙台で過ごしている石原直樹は、ここでも日々の積み重ねを大事にしている。

 自らのプレーを職人よろしく鍛え上げるのは勿論のこと、その視界は広くチーム全体の動きを捉えている。紅白戦などの戦術練習でプレーが切れた時、あるいは映像によるプレー確認のミーティングが終わった時などに、気が付いたことを忌憚なく選手に話しかける。自らの積み重ねとともに、チーム全体の積み重ねを大切にする石原の姿勢が、今季の仙台における練習風景ではよく見られる。

 その姿勢はピッチ上でも同様だ。

 彼の本分はストライカーであり、明治安田生命J1リーグ第1節・北海道コンサドーレ札幌戦では、今季のチーム第1号のゴールを決めた。第14節のヴァンフォーレ甲府戦では、自身にとってJ1通算50ゴール目を記録した。

 そしてフィニッシュだけでなく、味方のゴールをアシストしたり、最前線で相手に激しく当たられながらもキープして味方のために時間を作ったり、あるいは相手DFを追い回す守備も全力で行ったりと、味方のために身を粉にして働く。1トップで、あるいはシャドーで、いったい一人何役をしているのかわからないくらい献身的にプレーをする。

 そして、チームが苦しいときほど、彼は陰で味方を支える。第22節で、仙台はサンフレッチェ広島と対戦した。石原にとって2012年から2014年までの3シーズンを過ごし、リーグ連覇という尊い経験をしたチームだった。今季は広島ホームの第8節で迎えた“古巣戦”で、ゴールを決めた相手でもある。

「やっていることを、やるだけです。特に広島どうこう、ということではなく」

 仙台はリーグ戦7試合で勝利できていない状況で、残留争いのために捨て身で臨んでくる広島を相手にする。その厳しい試合に、個人的な感情はまず置いて臨んだ。

 この試合で、仙台は序盤に広島の強烈なプレッシャーとパワープレー気味の攻撃に苦しんだ。その中でも、石原は仲間とともに、流れを変える機を引き寄せようとしていた。

「まずは(相手の攻撃を)限定しようと思ったのですが、無理に(守備の)スイッチを入れようとしても、相手もうまかったので……」かつての同僚である千葉和彦や水本裕貴の懸命な守備の前に、ボールキープもままならない状況が続いたが、それでも味方にボールを託したり、奪われたボールを奪い返したりというチャレンジを彼は止めなかった。それでも試合後に振り返った時に、彼の口から出たのは「ボランチやシャドーの選手がプレッシャーをかけに前に出てきてくれたので、思ったようなゲーム運びができたと思います」と、自分のことよりまず味方の支えに感謝する言葉だった。

 仙台はこの試合で20分頃から盛り返し、最終的に奥埜博亮が後半に挙げたゴールを守り切って、8戦ぶりの勝利を手にした。石原はこの試合で、ゴールもアシストも記録していない。しかし、数字に残らない活躍があったことも、この勝因の一つである。

 石原自身の、手応えも大きかったのではないか。しつこくその点について聞くと

「僕が下がると相手のラインが高くなってしまうので、しっかり引っ張っていけるようにということと、自分がタメを作ればチームが押し上げる時間を作れるので、そういうところは意識しました」

 という言葉が返ってきたが、その後に反省の弁が続いた。

「自分も中野(嘉大)選手からの(パスを受けての決定機で)追加点を取れればもっと楽になれたので、そういうところは反省したい。この勝利を一つのきっかけにして、次につなげられれば」

 落ち着いて自分も仲間も、チーム全体も見据えるFW、石原直樹。8月14日に33歳の誕生日を迎え、これからも日々の積み重ねを大切に、己を高める。

文=板垣晴朗

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