【コラム】ベルギー撃破のポイントは“意思疎通”…原口元気、狙いの速攻から得点なるか

【コラム】ベルギー撃破のポイントは“意思疎通”…原口元気、狙いの速攻から得点なるか

ベルギー戦で先発濃厚の原口元気 [写真]=Getty Images

 欧州組が合流したフルメンバーでの2017年ラストマッチとなるベルギー代表戦(ブルージュ)がいよいよ14日に迫った。13日夕方には試合会場となるクラブ・ブルージュの本拠地・ヤン・ブレイデルスタディオンで公式練習を実施。豪雨と雹で紅白戦が打ち切りになった前日の分を取り戻すべく、熱のこもった練習を非公開で行ったという。

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が前日会見で「ブラジル戦から2、3人を入れ替える可能性がある」と語った通り、この日も別メニューだった長谷部誠(フランクフルト)は欠場が濃厚。中盤はアンカーに山口蛍(セレッソ大阪)、右インサイドハーフに長澤和輝(浦和レッズ)、左インサイドハーフに井手口陽介(ガンバ大阪)という3人の並びになりそうだ。右FWには10日のブラジル代表戦(リール)で後半から攻撃を活性化させた浅野拓磨(シュトゥットガルト)が先発入り。それ以外は前回と同じメンバーがピッチに立つと見られる。

 左FWの原口元気(ヘルタ・ベルリン)は2試合連続スタメンが濃厚。クラブでは最近1カ月でわずか2試合しか出場していないが、スペインでコンスタントに活躍する乾貴士(エイバル)ではなく、背番号8を抜擢するところに指揮官の強い信頼が感じられる。ベルギーには屈強なフィジカルを誇る選手が多いだけに、小柄な乾よりも、高さと強さ、そして走力を兼ね備えた原口の方がベターという判断もあるだろう。いずれにしても、原口は前回以上にハードワークして、攻守両面に活力を与える必要がある。

 ベルギーが3−4−3、あるいは3−5−2のシステムを採ってくるため、サイドアタッカーの一挙手一投足が試合のカギになるのは間違いない。同じポジションを担う乾も「相手の3バックがあまり速くないという情報があったので、センターバックとサイドハーフの間の嫌なポジションを取れれば一番いい。そこから裏に行くのが理想」と狙いどころを口にしていた。原口がどれだけ相手の弱点を積極果敢に突いていけるかが、ベルギー攻略の最重要ポイントと言っても過言ではない。

 対面に位置するトーマス・ムニエ(パリ・サンジェルマン)が「(4年前の)ブリュッセルでの日本戦で負けた嫌な思い出がある。日本に勝って(10日の)メキシコ戦の嫌なイメージを払拭したい」とリベンジに燃えていることもあり、原口にも激しくぶつかってくるだろう。それを巧みにいなすような頭脳的プレーができれば、チャンスはより一層、広がるはずだ。

 ただし本人は、ベルギーとの実力差を頭に入れ、今回はブラジル戦同様に攻撃よりあくまで守備第一でプレーしようと考えている。

「攻撃に関しては『速い攻撃をしよう』という意識がすごくできているので、体が自然に動いてくるとは思うけど、守備に関しては相手のシステムも違うし、プレスをはがす能力も高いので、うまくコミュニケーションを取りながらやらないといけない。あまり3バックの相手とはやったことがないから、どのタイミングではめにいくのかは考えながら準備してきたつもり。明日、それをしっかり表現できればいいかなと思います」と異なるシステムのミスマッチを突かれないように細心の注意を払うつもりだ。

 実際、12日の紅白戦でもそのあたりがうまくいかず、主力組の選手たちが不安を吐露していた。吉田麻也(サウサンプトン)も「監督と話し合う必要がある」とコメントしたが、同晩からこの日にかけてミーティングで長時間のディスカッションが繰り広げられた模様。ハリルホジッチ監督は「ブロックにはハイプレス、ミドルブロック、ローブロックの3つがあるが、それは自分たちが決めるものではなく、相手を見ながら状況によって形成するもの」と日本人的なマニュアルを示さず、ピッチ上の選手たちの判断に委ねる考えを改めて強調したという。

「僕ら的には『こうした方がいい』とか意見を出して、今日の練習で最終確認をして、なかなかいい手応えがあった。ボールの取り方が良ければ、必然的に僕らの速い攻撃がうまく表現できる。だからこそ、コミュニケーションが大事だと思います。もちろん相手も能力が高いから、理想的な形にならない部分もあると思うけど、それこそ臨機応変に中で話し合って解決策を見つけないといけない。ブラジル戦はハーフタイムまで解決策を見つけられなかったけど、前半のうちに解決できるようになったら、僕らはもう一つ上に行けるかなと思います」と原口は言葉に力を込めた。

 確かに、チーム全体としての意思疎通のレベルをマックスに引き上げていくことは、強豪国から勝利を奪うための絶対条件。原口はハリルジャパンでレギュラーに定着してまだ1年余りだが、自らアクションを起こしていくべき立場にいる。もともと年齢に関係なく周りに強く要求できる強靭なメンタリティの持ち主ではあるが、それをチームのために前向きに生かせるようになったら、彼自身も日本代表も一段階ステップアップする。

 そのうえで、1年前の2016年11月の2018 FIFAワールドカップ ロシア・アジア最終予選のサウジアラビア代表戦(埼玉)以来のゴールを奪えれば理想的だ。最終予選で4試合連続得点を奪った1年前の勢いと決定力の高さを取り戻すべく、背番号8は熱い思いを胸に、足が動かなくなるまでピッチの上を走り続けていくつもりだ。

文=元川悦子

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