【高校選手権展望】<大阪桐蔭>“打ち合い上等”から“勝つ術”身に着け…激戦区突破を自信に

【高校選手権展望】<大阪桐蔭>“打ち合い上等”から“勝つ術”身に着け…激戦区突破を自信に

大阪桐蔭の攻撃をけん引するFW今岡陽太 [写真]=吉田太郎

 高校選手権は意外にも9年ぶりの出場となる大阪桐蔭。出場回数もまだ2回目だが、高く厚い壁を乗り越えるために力を磨いてきたチームは、強い。

 大阪桐蔭は200校を超える高校が1つの出場権を争った激戦区・大阪府の代表校だ。阿部浩之(現川崎フロンターレ、日本代表)を擁していた07年に創部3年目でインターハイ初出場。翌08年度には選手権初出場を果たした。その後、11年のインターハイで8強、12年のインターハイではベスト4へ進出するなど全国区のチームになっていったが、2度目の選手権出場を果たすことができなかった。

 昨年度全国4強の東海大仰星や履正社、阪南大高、近大附など大阪の代表争いは熾烈。創部当初は個性派揃いで、「数年前まで相手がドリブルすればこっちもドリブルみたいな」(永野悦次郎監督)“打ち合い上等”なサッカーをしていたというチームは、選手権予選で毎年のようにV候補に挙げられながらも勝ちきれず、優勝することができなかった。

 それでも、チームは壁に阻まれている期間、勝つための術を一つずつ積み重ねてきた。一つのパス、シュート、クリア……トレーニング、試合では細部まで妥協を許すことなく徹底。巧さよりも実直さが目立つようなチームに変わった大阪桐蔭は、ピッチ外でも周囲から愛される集団に変化していった。

 そして、何度も何度も壁に跳ね返されながらも、立ち向かい続けた大阪桐蔭は今年、1点差勝負、PK戦も勝ち抜いて大阪府予選突破。夏の近畿高校選手権、プリンスリーグ関西でも優勝した大阪桐蔭は、高い前評判とともに2度目の選手権に挑戦する。

 創部当初に比べると個性的な選手は少ないかもしれないが、それでも攻守に力のある選手たちの名が並ぶ。統率力高く、永野監督からの信頼度も厚い田中智也と高さ、強さを兼ね備えた赤澤大志の両CBや、競り合いで強さを見せるMF西矢健人主将を中心に相手の攻撃を確実に跳ね返す強さがあり、GK藤本諒哉も今大会トップクラスの実力者。その堅い守りをベースにハイレベルなポゼッション、ショートカウンターで相手ゴールを破る。

 判断良くボールを動かす西矢とテクニカルなMF北田大亜が攻撃の起点で、いずれもテクニックと得点力に注目のFW今岡陽太とFW菊井悠介のコンビが仕留め役となる。2年生FW木村勇大やMF西山翔大ら下級生の台頭がある一方、ケガによって予選で不在だったMF神戸康輔が戻ってくれば、より攻守が充実するはずだ。

 その強さはライバル校の選手たちも実感している。インターハイ優勝校・流通経済大柏(千葉)は12月のプレミアリーグ参入戦1回戦で大阪桐蔭と対戦し、PK戦の末に辛勝。MF宮本優太主将は対戦した大阪桐蔭の印象について、「物凄く強かったですね」と語り、ボールを狙い通りに奪えず、コンタクト勝負の部分でも苦戦したことを明かしていた。

 今大会上位の実力。加えて、西矢が「僕自身、大阪が最強の激戦区やと思っています。どこが出てもおかしくなかった」という争いを勝ち抜いた自信も大阪桐蔭にはある。73年度の北陽(現関西大北陽)を最後に大阪勢の優勝校は出ていないが、西矢は「勝負強い大阪を全国でも見せたい。大阪代表としての自覚と誇りを胸に戦う」と宣言。選手権に出られなかった9年間で姿を変えながら、勝つための力を積上げた大阪桐蔭が今冬、全国の頂きを目指す。

取材・文・写真=吉田太郎

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