【コラム】「すべてはW杯のために」…去就問題に揺れる原口元気、その決断は?

【コラム】「すべてはW杯のために」…去就問題に揺れる原口元気、その決断は?

去就問題の影響により、ヘルタ・ベルリンでは苦しい時間を過ごしている [写真]=Bongarts/Getty Images

 1月12日のレヴァークーゼン対バイエルン戦から後半戦がスタートする今シーズンのドイツ・ブンデスリーガ。半年後に2018 FIFAワールドカップ ロシア本番が迫っていることもあり、日本代表主力のMF長谷部誠(フランクフルト)やFW大迫勇也(ケルン)、代表復帰を目指すMF香川真司(ドルトムント)らの一挙手一投足は大いに注目されるところだ。

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督から絶大な信頼を勝ち得ているものの、今シーズンは頭から移籍問題に巻き込まれ、前半戦はリーグ7試合・278分間しかピッチに立てなかった原口元気(ヘルタ・ベルリン)の動向も気がかりだ。

 昨シーズンからの度重なる契約延長オファーに合意しなかったことで、クラブ側からはすでに放出要員と位置付けられている模様。冬の移籍市場が開いている今月中にプレーできる場を見出さなければならないが、今のところ行き先は未定である。現在もヘルタ・ベルリンのトレーニングに参加している状況だ。

 ワールドカップイヤーの元旦に日本を出国する際、本人は「ワールドカップに向けて一番いい準備ができるところに行くと思います。それがヘルタなのかどうかは1月いっぱい見なきゃならない。すべてはワールドカップのために決断したいなと思います」と話していて、コンスタントに出番を得られる環境に赴くことを第一に考えている様子だった。それがドイツ国内なのか、欧州の別の国なのか、日本なのか分からないが、とにかく1シーズン通して宙ぶらりんのまま過ごすわけにはいかない。それだけは確かだ。

「前半戦はあまり出ていなかったので、ウインターブレイクの帰国中もコンディションを上げるトレーニングはしていました。そのほかにも今後につながるようなことはないかと思っていろいろ勉強しに行きました。サッカーのことはガンガン考えていましたよ(苦笑)。メンタル的には落ち着かないけど、(移籍問題の)微妙な状況は初めてじゃないし、夏も決まるか決まんないかでバタバタしたから、そこにストレスを抱えてもあまり意味がない。自分のやるべきことをちゃんと集中してやらないと時間がもったいない。時が来れば何かが決まるとは思います」と原口は流れに身を任せつつ、いつでもピッチに立てる準備だけはしっかりしておこうと割り切っているようだ。

 最悪の場合、ヘルタ残留という可能性もゼロではない。そうなれば、契約満了まで残り半年という選手をパル・ダルダイ監督はこれまで以上に冷遇するだろう。ヘルタはヨーロッパリーグでグループステージ最下位に終わり、DFBポカールも2回戦でケルンに敗れているため、後半戦はブンデスリーガに集中するしかない。となれば試合は週1ペースになるため、主力にケガ人が出ない限り、大幅な選手入れ替えをする必要もなくなる。原口はさらに半年間、飼い殺しのような苦境を余儀なくされそうだ。

 プロサッカー選手がシーズンを通してプレー機会を得られなければ、パフォーマンスの低下はどうしても避けられない。それは昨シーズン、ミランで1年間をベンチで過ごした本田圭佑(パチューカ)を見ても明らかだ。本田から代表右FWの定位置を奪う形になった久保裕也(ヘント)も「コンディションは勝負するうえで基盤となる部分。コンディションがよくなくて戦えるほど甘くない」と自らのスイス時代の経験を踏まえてコメントしていたことがある。スプリント力と運動量、ダイナミックさでは日本代表随一の原口と言えども、最終予選4試合連続ゴールという日本新記録を達成した1年前の状態を維持するのは容易ではない。ハリルホジッチ監督が彼を左FWのファーストチョイスにすることをためらうことも考えられる。

 とはいえ、昨年末のEAFF E-1サッカー選手権で試した倉田秋(ガンバ大阪)、土居聖真(鹿島アントラーズ)、阿部浩之(川崎フロンターレ)ら国内組のパフォーマンスが芳しくなく、原口に取って代わる人材は見出せなかった。欧州組にも乾貴士(エイバル)、武藤嘉紀(マインツ)といった左FW要員はいるが、コロンビア、セネガル、ポーランドという強豪相手の戦いを考えると、泥臭い守備のできる原口はやはり必要だ。

「やっぱり最後はコンディションだったり、チームとしての団結力、そういう部分がキーになってくると思う。自分がその一員としてやれるだけの準備を100パーセントの力でするしかない。時は勝手に流れていくので、いつの間にか5月、6月になってるんじゃないかと思います」と原口自身もコンディションの重要性をよく理解して、6月に照準を合わせていく覚悟だ。

 その思いをピッチ上での成果につなげるためにも、この半年間はドイツ2部や欧州5大リーグ以外へのレンタル移籍、Jリーグでのプレーなど、幅広い選択肢を持つべきではないか。ウニオン・ベルリンで出番を得られなかったDF内田篤人がロシアを賭けて鹿島アントラーズ復帰を決断したように、Jに戻ってくることが必ずしもマイナスになるとも言い切れない。イングランド・プレミアリーグへのステップアップを目指していた原口にとってはいずれにしても辛い選択になるかもしれないが、「ワールドカップに向けて一番いい準備のできるところ」という言葉通りの環境を、何としても手に入れてほしい。それが日本代表の成功にも直結するはずだから。

文=元川悦子

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