【コラム】動画拡散で物議…バルサの選手が“決戦前”に電動スクーターを利用

【コラム】動画拡散で物議…バルサの選手が“決戦前”に電動スクーターを利用

バルサはアトレティコとの頂上決戦に勝利したが、試合前の選手の行動が物議を醸している [写真]=Getty Images

 今シーズンのタイトルの行方を決めると喧伝された大一番は、首位バルセロナが本拠地で、2位アトレティコ・マドリードに勝利した。試合を決めたのは、アルゼンチン代表FWリオネル・メッシの一振りだった。23.58メートルの距離からFKで突き刺した。3試合連続のFKからのゴールだ。今シーズン、リーガ・エスパニョーラ26試合でわずか11失点の守護神、スロヴェニア代表GKヤン・オブラクもなす術がなかった。

 メッシのFKからのゴールは独力だけではなかったと、スペインテレビ局『カナル・プルス』の「エル・ディア・デスプエス」が伝えている。スペイン代表DFジェラール・ピケ、同MFセルヒオ・ブスケツ、そしてクロアチア代表MFイヴァン・ラキティッチがアシストしていたのだ。彼ら3人はアトレティコ・マドリードの壁の背後に、もう1枚の壁をつくっていた。GKがボールを見れないようにするためだった。ピケはゴールに顔を向けて、「見えていない、見えていない」とブスケツとラキティッチに伝えていた。

 メッシのこの得点シーンは、ニュースで何度も流された。インターネットのニュースサイトでもその得点シーンを見ることができるだろう。今、得点シーンを見られるツールはそれだけではない。9万356人と今シーズン最も埋まったカンプ・ノウのスタンドでは、多くの人が携帯電話やタブレットのカメラの照準をピッチのアルゼンチン人に向けていたことだろう。スマートフォンが生活の一部となった現代では、誰もが情報を発信できる。便利な反面、公人や有名人には不便だろう。

 そんな一例と思える出来事が、この決戦前に起こっていた。バルセロナの中心街グラシア通りで歩行者が撮った動画が試合中に話題になっていた。その動画には、小さな買い物袋を持ち、電動スクーター(電動のキックボード)で通りを駆け抜けるバルセロナのドイツ代表GKマルク・アンドレ・テア・シュテーゲンが映っていた。テア・シュテーゲンは今シーズン、郊外の高級住宅地からバルセロナの中心街に引っ越していた。朝ごはんの買い出しに出ていたドイツ人GKは、その様子をたまたまか、意図的かわからないが撮られていた。携帯電話に撮られたその動画は決戦の最中に、Twitterを中心にSNSで拡散された。スペイン紙『エル・ペリオディコ』はこの件について、「大事な試合前に電動スクーターに乗っていいのか? 大丈夫なのか?」というテーマで報じた。

 電動スクーターは、結構なスピードが出ていた。もし事故に遭えば、ケガで試合に出られない恐れもあった。負傷するリスクが高い乗り物だ。一般的にフットボールの選手とクラブの契約書にはバイク、自転車、そしてスキーが禁止という条項が記してあると記事は伝えている。そして、自転車のように日常生活に浸透する電動スクーターも、プロフェッショナルのアスリートは乗ってはいけないのではないかと意見している。テア・シュテーゲンとバルセロナはどんな契約を結んでいるのか、と記事は疑問を投げかけていた。

 携帯電話で撮られた動画、SNSでの拡散、そして電動スクーター。このように道具やテクノロジーが進化すれば、社会の生活様式が変わる。それに合わせて、ルールも変わっていく。

 バルセロナは昨夏、まさか払われると思っていなかった違約金が支払われたことで、ブラジル代表FWネイマールを失った。移籍市場の価格破壊、もしくは高騰が起こった。ゆえにバルセロナは、最近契約更新をしたピケやスペイン代表MFセルジ・ロベルトといった選手の違約金を、一昔前では考えられないような天文学的な額に設定した。今後の契約では、禁止事項に電動スクーターが追記されるかもしれない。

文=座間健司

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