ヤングなでしこ最年少18歳・遠藤純が勢いづける 「心から嬉しい」先制点で優勝候補ドイツ撃破

ヤングなでしこ最年少18歳・遠藤純が勢いづける 「心から嬉しい」先制点で優勝候補ドイツ撃破

ドイツ戦で先制点を決め、喜ぶ遠藤 [写真]=Getty Images

 FIFA U−20女子ワールドカップフランス2018に出場中のU−20日本女子代表は、準々決勝・U−20ドイツ女子代表戦で3−1と勝利し、2大会連続の準決勝進出が決定した。

 4日前のU−20パラグアイ女子代表戦と同じ先発メンバーで臨んだ日本は、前線からボールを追って来ないドイツに対し、自陣や中盤でボールを回しながら前半を0−0で終えると、59分からの15分間で3得点を決める。59分にMF遠藤純(JFAアカデミー福島)が先制すると、FW宝田沙織(セレッソ大阪堺レディース)のパスからFW植木理子(日テレ・ベレーザ)が追加点。その直後には、MF林穂之香、DF北村菜々美とつないで最後は宝田が決める『セレッソライン』で3−0と一気に突き放した。

 グループDで3連勝したドイツは、前線の人数を増やしてMFヤニーナ・ミンゲが1点を返したが、日本の粘り強い守備が苦しめ、優勝候補を破って日本が準決勝に駒を進めることとなった。

 ドイツはグループリーグ第3戦を控え組中心で戦い、体力面では日本より優位と思われたが、後半立て続けに2失点したように、上り調子とは言えなかった。その反面、直近のパラグアイ戦を6−0で快勝した日本は、勢いそのままに2大会連続のベスト4を決めた格好となった。

 今大会の日本に勢いをもたらしている選手のひとりが、チーム最年少の遠藤だ。

 ドイツ戦では鮮やかな先制点を決めた。59分、MF宮澤ひなた(日テレ)のロングパスを受けると、遠藤はペナルティエリア内左に侵入し、得意の左足でシュートシェイント。これがDFソフィア・クラインヘルネの逆を突いた。

「(左足で)切り返した時、足元にボールがあったので、何も考えずにシュートを打った」

 クラインヘルネをかわした瞬間、182センチの長身GKヴァネッサ・フィシャーが、シュートコースを狭めようと3歩前進してきたが、その3歩目には遠藤が利き足ではない右足でシュート。ボールはフィシャーが力一杯に伸ばす左手に触れることなく、サイドネットを鮮やかに揺らした。

「自分は今大会、アシストだけで終わっていた。チームは勝っていて嬉しかったが、得点できなくて個人的に結果が残せず、悔しい思いがあった。今日得点できたことは心から嬉しく思う」

 パラグアイ戦は6点のうち3点に絡んでいたが、今日はついに1点を決めてプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選出。試合直後の会見場で18歳の笑顔がはじけた。

 福島県出身の遠藤は、中学生の時から親元を離れ、ac福島でプレーしている。チーム名はac福島だが、東日本大震災の影響で現在のチームは静岡県に拠点を移しているため、親元からは一層遠く離れることになった。ac福島では今季から背番号10を背負い、プレナスチャレンジリーグWESTの11試合に出場し、7得点。リーグ6年間の通算では54試合29得点の記録を残している。

 その一方、女子特別指定制度によって、日テレの練習に参加。プレナスなでしこリーグカップ1部の試合にも、わずかながら出場している。

 ac福島の賀谷英司監督が「1対1での爆発力や左足の質は、他の選手にはないものを持っている」と評すれば、ac福島の主将DF根津茉琴は「純はここぞという時にゴールで勢いをつけてくれて、明るい性格でオフの時にもチームを盛り上げてくれる。私にとっては、常に先頭にいるような存在」と、遠藤に大きな信頼を寄せる。

 それに対して遠藤は「アカデミーだから周りにはサッカー好きな人ばかり。その中で互いに切磋琢磨してきた結果、こういう代表に選ばれて、こんなにいい環境の大会に参加できている」と、感謝の気持ちを忘れずに今大会を戦う。

 日本チームの中で唯一、高校生の遠藤は、その人懐っこい性格でチームの潤滑油になっている。

 練習場では植木らとシュート練習を何度も繰り返し、ドイツ戦前のウォーミングアップを終え、ロッカールームに向かってひとり歩くDF南萌華(浦和レッズレディース)を見つけると、遠藤はわざわざ走って近寄り、談笑しながら歩を進めた。南の表情が一気に緩んだところを見ると、そこまで重要なことを話し合っていた様子ではない。しかし、そんな細やかなコミュニケーションが、今回の日本チームを明るくしているのだろう。

 「(準優勝だった)U−17女子W杯の時の悔しい思いは、まだ残っている。今は勝ててすごくホッとしているけど、次も厳しいになるので、そこは日本らしさと自分が思うプレーをどんどん出して、勝ちにいきたいと思う」

 ヤングなでしこの末っ子、遠藤が大会最終日の決勝の後まで、チームを明るく盛り上げていく。

取材・文=馬見新拓郎

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