【ライターコラムfromG大阪】“宮本イズム”を体現する高宇洋、目標は「チームを勝たせる」ボランチに

【ライターコラムfromG大阪】“宮本イズム”を体現する高宇洋、目標は「チームを勝たせる」ボランチに

G大阪の中盤の一角を担う高宇洋 [写真]=J.LEAGUE

 “宮本ガンバ”の発足から約1カ月。その初陣となったJ1第18節の鹿島アントラーズ戦でスタメンに抜擢されてから、直近の第23節ベガルタ仙台戦までの全6試合に先発出場を続けているのがプロ2年目の高宇洋だ。ポジションはボランチ。経験豊富な遠藤保仁とともに、試合を重ねるごとに中盤で輝きを増している。

 中でも目を引くのが、その運動量と守備力だ。昨年、市立船橋高校から加入したての頃は、判断の遅れから後手を踏むプレーが目立っていたが、当時ガンバ大阪U−23を率いていた宮本恒靖監督のもと、J3で経験を積み上げながらフィジカル、戦術眼、判断力に磨きをかけてきたからだろう。今年に入ってからは特に持ち前のボール奪取力に加え、攻撃参加でも存在感を示せる回数が格段にアップ。その事実に、他ならぬ彼自身も手応えを語っていた。

「試合を重ねることで自分がやるべきことが整理されてきた。特に自分が得意とするボールを奪うことに重点を置いてプレーするようになったらは攻撃でも余裕が生まれて、いい守備から攻撃につなげられるようになった」

 井手口陽介(グロイター・フュルト)が海外に移籍し、今野泰幸も足首のケガとボランチに離脱者が相次いだことで、今季序盤は多くの若手選手がトップチームに引き上げられJ1で出場チャンスを得る中、高には一度もそのチャンスが回ってくることはなかった。その事実に胸には焦りも悔しさも渦巻いたそうだが、悔しさはプレーにぶつけて成長することだけに集中した。

「なんでだろう?って苦しんだ時期もありますけど、今は『考えても仕方がない。こいつを使いたいと思ってもらえる選手になるしかない』と自分に言い聞かせています。それに僕なりにこの1年半、ツネさんのもとでいろんなことを学んで成長できているという実感はあるので。それをより大きな手応えにするために、いつチャンスが来てもいいように自分のプレーを磨き続けます」

 その待望の「チャンス」が巡ってきたのは7月の終わり。宮本監督のトップチーム監督就任が発表されてからだ。実はそのタイミングでU−23チームはJ3の中断に合わせてオフに突入していたため、高も実家に帰省していたのだが、急遽、宮本監督の要請を受けてトップチームに合流。以降はJ3での戦いを通して“宮本イズム”を熟知していることを追い風に、輝きを放つ。しかも、試合を重ねるごとにJ1のスピード感、選手個々の質にも慣れてきたからだろう。第21節のFC東京戦ではアデミウソンの決勝ゴールを、直近の仙台戦では渡邉千真が決めた移籍後初ゴールを、自身のアシストで演出した。

「ツネさんからも攻撃参加の回数やプレーの質は求められていたので、目に見えた結果が残せたのは良かったです。でも、試合を見返してみたら、チーム全体のバランスを考えればこそ、判断が良くなかったなと感じるところもいくつかあったので。実際に仙台戦も僕が前に出て行ったところでボールを失い、逆に前線に残っていた相手の2トップにボールを入れられてしまったシーンもあった。それに僕のプレーもまだまだヤットさん(遠藤)があってこそ、というか。試合の流れに応じて、目立たない細かな部分でヤットさんが気を利かせて助けてくれているから結果的にうまくいったというプレーも多分にある。そこはいい意味でもっと僕自身が自立してやっていけるようにならなければいけない」

 と同時に、彼自身が何よりも欲しているのがチームの勝利だ。チームの結果が出なければ、いつポジションを奪われてもおかしくないという危機感を胸に、語気を強める。

「ボランチの一番の役割は、チームを勝たせる仕事をすること。チームが少しずつ良くなっている今、それを勝ちにつなげるために自分にできること。すべきことが何かをもっと突き詰めた上で、プレーで表現できるようになっていきたい。とにかく勝ちたい。今は毎日、毎日、そればっかり思っています」

 心からの、その「思い」が今週末のサガン鳥栖戦につながるのか。チームの勝利のために、彼がどんな風に頭の中を整理して、それをプレーで表現するのか。

「考えることは大事。でも、プレーが守りに入りすぎないように自分らしく戦いたい」。20歳のボランチは、勝利だけ描いてピッチに立つ。

文=高村美砂

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