【コラム】A代表への足掛かりをつかめるか…守の要・板倉滉に課せられた使命は“エース封じ”

【コラム】A代表への足掛かりをつかめるか…守の要・板倉滉に課せられた使命は“エース封じ”

U−21日本代表の守備の軸を担う板倉滉 [写真]=Getty Images

 グループステージで韓国を撃破した伏兵・マレーシア相手に大苦戦を強いられた24日のアジア大会ラウンド16。日本は途中出場の大学ナンバーワンFW上田綺世(法政大)が終了間際に決めたPKで辛くも勝利し、27日の準々決勝へ駒を進めた。次の相手は強豪・サウジアラビア。現U−21日本代表に名を連ねる小島亨介(早稲田大)や岩崎悠人(京都サンガF.C.)らにとっては、2年前のAFC U−19選手権(バーレーン)決勝の再戦となる。「サウジもU−21と聞いて、アジアの選手権決勝でやっている相手なので負けたくない。相手もリベンジしたい気持ちで来ると思うので、入りや勢いで劣らないようにしないといけない」と岩崎も語気を強めていたが、その気持ちは今回のチーム全体に共通するものだろう。

 マレーシア戦でキャプテンマークを巻いた板倉滉(ベガルタ仙台)も2年前の生き証人の一人。ただ、サウジアラビアとの延長・PKの死闘は出場せず。内山篤監督が率いる当時のチームは4バックを採用しており、センターバックは中山雄太(柏レイソル)と冨安健洋(シントトロイデン)のコンビが鉄板で、彼らの一挙手一投足をベンチから見守らざるを得なかった。その悔しさは今も自身の中に残っているはず。約2年の月日が経った今大会では森保一監督からリーダーの一人として位置付けられているだけに、サウジアラビア封じのキーマンとして獅子奮迅の働きを見せる必要がある。

「サウジには個の力が強いFW(カマラ)がいる。そこは絶対に気を付けないといけないところ。まずは個人個人、1対1で負けないようにしないと。マレーシア戦では球際の部分でみんな戦っていたと思うし、それを次も続けて行ければいい」と背番号4は神妙な面持ちで言う。

 彼が指摘する通り、サウジアラビアの1トップを務めるカマラは屈強なフィジカルとスピードを兼ね備えた点取り屋。24日の中国戦では前半だけでハットトリックを達成。本人も自信満々で日本戦に臨んでくるだろう。中2日の試合ということで3バックの構成がどうなるかは分からないが、森保監督の信頼が厚いと見られる板倉や立田悠悟(清水エスパルス)は連続出場の可能性が高い。ここで相手を完封し、存在感を示せれば、近未来のA代表昇格も見えてくるかもしれない。

 30日に発表予定の森保ジャパン9月の2連戦には、ロシアワールドカップで主力だった吉田麻也(サウサンプトン)らを招集しないという報道も出ている。昌子源(鹿島アントラーズ)も左足首の捻挫で離脱中。今のままでは代表招集見送りが濃厚だ。となると、若い世代のDF陣はチャンスだ。すでに冨安の抜擢が有力視されているものの、それだけでは足りない。「日本のセンターバックは選手層が薄い。それは以前からの問題」と吉田もたびたび指摘していた通り、20歳前後のDFが次々と出て来なければ、その問題は解決されないのだ。

 188センチの長身で、今季期限付き移籍で加入した仙台では15試合2得点を記録。実績を残している板倉は有望だという見方も少なくない。今大会ではまだゴールという結果を残せていないが、1月のAFC U−23選手権(中国)では2得点をマークしており、打点の高いヘディングは魅力だ。加えて、最終ラインからのロングフィードや自ら上がって攻撃に絡むダイナミックさも備えている。マレーシア戦ではそういった部分に物足りなさを感じさせたのも事実。だからこそ、サウジアラビア戦では守備をベースにしつつも、攻撃面で強みをより積極的に出してほしいものだ。

「マレーシア戦では最初に1本、前半の途中に(ロングフィードを)狙ったけど失ったこともあって、その後は狙わなくなってしまった。『大事に行きたい』と自分的にも思っていたので。でも、その中でチャンスがあったら狙っても良かったのかなと思ったシーンは何回かありました。パス回しに関しても、うまく相手を動かしながらというつもりでボールを動かしていたけど、少しテンポを上げたら相手も苦しかったと思う。グランド状況も含めて慎重になっていた部分もあったのかな」と板倉自身も反省点を口にしていた。

「負けたら終わり」の一発勝負でリスクを冒せない気持ちも理解できるが、そこでいい状況判断をしつつ、攻撃の起点を作ってこそ、日本を代表するセンターバックになれる。それはロシアの地で吉田や昌子がやっていたことだ。とりわけ昌子はコロンビア戦やセネガル戦で相手に狙い打ちをされながら、自らプレスをかわしてドリブルで持ち上がり数的優位を作る仕事をし、チームにいい流れをもたらしていた。重圧のかかる大舞台で大胆さを持ってプレーできるか否か……。そこが近未来の日本の最終ラインを担うための絶対条件になってくる。板倉にもそこが問われるのだ。

 森保監督は10年前、U−20日本代表のコーチとして槙野智章(浦和レッズ)ら個性派集団を指導した。その経験から「俺がやってやる」とアピールする選手の出現を待ち望んでいる。「まずは試合の入りに集中して、自分たちの方に流れを持っていけるように。受け身にならないようにしたい。とにかく負けたくないという気持ちは強いですね」と語気を強める板倉は当時の槙野を超えるくらいのインパクトを残し、指揮官の期待に応える必要がある。日本を4強へと導く仕事をして、A代表昇格への足がかりを築いてほしいものだ。

文=元川悦子

関連記事(外部サイト)