考えられうる最高の形で白星を飾ったバルサと“エース不在”に泣いたレアル

考えられうる最高の形で白星を飾ったバルサと“エース不在”に泣いたレアル

2大エース不在の影響が問われたゲームで、満点に近い回答を出したバルサ [写真]=Getty Images

「歴史に残る試合だった。今日だけでなく、明日も職場や自宅で楽しめる。そういう試合だった」(ジェラール・ピケ)
「できることなら、もう少し試合が続いていて欲しかった」(セルジ・ロベルト)
「マドリーから勝利を収めるのは、チャンピオンズリーグを制覇するのと、ほぼ同じようなものだ」(ジョルディ・アルバ)

 試合後、バルセロナの選手たちが次々と満足感を口にしたように、28日に行われた“エル・クラシコ”は彼らにとって会心のゲームとなった。

 レアル・マドリードをホームに迎えた大一番で、5−1と大勝。5ゴールが決まることを、スペインでは片手を意味する「マニータ」と呼ぶが、宿敵相手にこれを成し遂げるのは、2010年11月29日の第13節以来のことだった。ジョゼップ・グアルディオラ(現マンチェスター・C監督)とジョゼ・モウリーニョ(現マンチェスター・U監督)の“初対決”でもあったその試合は、今もベストマッチの一つとしてバルセロナファンの間で語り継がれている。今回の一戦も、クラシコ史に刻まれるものとなるだろう。

 そもそも、戦前から“特別な試合”として注目を集めていた。リオネル・メッシも、クリスティアーノ・ロナウドもいないクラシコは11年ぶりのこと。2大エース不在の影響が問われたゲームで、満点に近い回答を出したのがバルサだった。

 試合開始11分に先制点を挙げたのは、フィリペ・コウチーニョ。今年1月に加入したブラジル人MFのクラシコ初得点は、センターバックのクレマン・ラングレを起点に30本のパスを繋いで生まれた実にバルサらしいゴールだった。30分、76分、83分には、ルイス・スアレスが立て続けに追加点を決めてハットトリックを達成。バルサの選手がクラシコで3得点を挙げるのは、メッシを除けば、1994年の元ブラジル代表FWロマーリオ氏以来のことになる。さらに87分には、途中出場のアルトゥーロ・ビダルがバルサ加入後初ゴールをマーク。“マニータ”達成となるダメ押し弾で、試合に花を添えた。

 クラブ史上最高額のプレーヤーがその価値を証明すると、背番号9がエースの代役以上となる活躍を披露。さらに今季加入後、ベンチで燻っていた男が大舞台で結果を残した。エルネスト・バルベルデ監督にとっては、考えられうる最高の形で白星を飾ったと言っても過言ではない。

 指揮官は試合後、「このような形でクラシコに勝ったのは、メンタル面でとても重要だ」と勝利の意義についてコメント。そして「今後も地に足をつけて戦い続けなければならない」と気を引き締めつつも、「問題と言えば、(31日のコパ・デル・レイのために)明日も練習しないといけないから、この勝利を満喫できないことだね」とジョークを飛ばす余裕さえ見せた。

 もっとも、試合のスタッツを振り返ると、5−1というスコアほどの差はなかった。ボールポゼッションは53.2%と、今季の平均値(64%)に遠く及ばず。シュート本数に至っては「13対15」とレアルを下回った(*枠内シュート数は「8対4」とバルサが圧倒)。特に、ラファエル・ヴァランに代わってルーカス・バスケスが投入された後半開始直後は、4バックから3バックにシステムを変更した相手に悪戦苦闘。50分にマルセロに1点を返された後、右ポストに嫌われたルカ・モドリッチのシュートがゴールに吸い込まれて2−2の同点になっていれば、形勢は一気に逆転していた可能性がある。

 ただし、レアルには“真の点取り屋”がいなかった。この試合で最も多くシュートを放ったのは、ルイス・スアレスとカリム・ベンゼマで5本ずつ。4本を数えた枠内シュートのうち3本がゴールネットを揺らした前者に対し、後者は枠内シュート1本のみで無得点に終わった。ギャレス・ベイルもシュート2本を放っただけで、77分に交代を命じられている。

 決定的なチャンスは作るものの、得点に結びつかない。「今日僕らが残したイメージというのは、今シーズンを象徴するものだ」とカゼミーロが総括したように、C・ロナウド退団の影響を改めて感じさせるゲームとなってしまった。

 すでに批判の声が相次ぐ中、スペインの人気サッカー番組『エル・チリンギート』で司会を務めるジョゼップ・ペドレロルは、「『クリスティアーノがいなかった』という言い訳は通用しない。マドリーはメッシのいないバルサに大恥をかかされたのだ」とツイート。“エース不在”という特殊な状況で迎えたクラシコに敗れたレアルは屈辱的な1日を過ごしたと私見を述べた。一方、スペイン紙『マルカ』は試合翌日の一面に「フレン(ロペテギ)だけの責任ではない」と見出しを打ち、新エースになりうる即戦力の獲得を見送ったフロントに批判の矛先を向けている。この騒動はしばらく収まらないだろう。

 蓋を開けてみれば、対照的な結末を迎えた今回のクラシコ。レアルを圧倒したバルサは首位をキープし、宿敵との差を7ポイントまで広げた。もし敗れていれば、その差は1ポイントまで縮まっていただけに、この1勝は6ポイント分、つまり通常の勝利の2倍の価値がある。何より、メッシが負傷交代を余儀なくされた第9節のセビージャ戦から公式戦3連勝を飾ったことは、チームに自信と勢いを与えることになるはずだ。

 果たして、バルサは今後、連勝街道を歩むのか。リーガ・エスパニョーラは開幕から10試合を終えたばかり。さらに首位から勝ち点3差に5チームがひしめく大混戦となっている。長いシーズンには必ず浮き沈みがあり、来年3月に行われるレアルとのリターンマッチでは逆の立場になっている可能性もゼロではない。それでも、大きな弾みをつける勝利を挙げることができた。連覇に向けて視界良好――。そう印象づけるに十分すぎるほどの圧勝劇だったと言える。

(記事/Footmedia)

関連記事(外部サイト)