ビッグクラブが熱視線を送る21歳の大器…ルカ・ヨヴィッチとは何者なのか?

ビッグクラブが熱視線を送る21歳の大器…ルカ・ヨヴィッチとは何者なのか?

[写真]=Getty Images

 今シーズンのブンデスリーガにおいて、日増しに評価を上げている選手がいる。

 ルカ・ヨヴィッチ。長谷部誠とともにフランクフルトで戦う若手FWは、国内外のビッグクラブから熱視線を送られる存在となった。欧州シーズンが佳境を迎えた今、夏の移籍市場がオープンする前に、超人気銘柄についておさらいしておこう。

写真=ゲッティイメージズ

[プロフィール]

ルカ・ヨヴィッチ(Luka JOVIC)
生年月日:1997年12月23日(21歳)
出身地:ビイェリナ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)
所属:フランクフルト(ドイツ)
ポジション:フォワード
背番号:8
利き足:右足
身長:181cm
A代表歴:4試合1得点(セルビア代表)

セルビアの名門で最年少デビュー

 ルカ・ヨヴィッチがプロデビューを飾ったのは2014年5月。7歳の時から所属するセルビアの名門ツルヴェナ・ズヴェズダで、16歳5ヵ月5日という当時の最年少デビュー記録を打ち立てた。しかも、途中出場後に同点ゴールまで挙げる活躍ぶりだ。すぐさまメディアやファンは「この逸材はいつまでマラカナ(ツルヴェナ・ズヴェズダのホームスタジアム)でプレーしてくれるのだろうか」と議論するようになった。

2016年1月のベンフィカ移籍の際に…

 2014−15シーズンのセルビアリーグで22試合6得点の成績を残したヨヴィッチは、翌シーズン途中の2016年1月にベンフィカ移籍を果たす。慢性的な財政難にあえぐツルヴェナ・ズヴェズダとしては、ポルトガルの雄から届いた高額オファーを断れなかった。
 ただ、この時にすんなりと移籍が成立したわけではない。ツルヴェナ・ズヴェズダが「125万ユーロを計5回支払う」というベンフィカの分割払いに難色を示したからだ。
 そこでベンフィカ側が知恵を働かせた。大物代理人ピニ・ザハビの息がかかったアポロン・リマソールに“即金”を工面させ、そのキプロスのクラブを経由する形でヨヴィッチを自軍に迎え入れたのだ。ヨヴィッチは一秒たりともアポロンでプレーしなかった。

フランクフルトに武者修行へ

 18歳になった直後に意気揚々と国外に打って出たものの、ベンフィカではレギュラーの分厚い壁に阻まれた。1シーズン半でリーグ戦18試合の出場に留まり、キャリアも成長スピードも停滞。2017年夏、2年間のレンタルでフランクフルトに新天地を求めた。
 この移籍が大正解だった。同じ旧ユーゴスラビアにルーツを持つニコ・コヴァチ監督やフレディ・ボビッチ取締役のサポートを受け、1年目にチーム2位となる8ゴールをマーク。DFBポカール準決勝のシャルケ戦では決勝点となる先制ゴールを決めるなど、とりわけシーズン後半にひと際大きな輝きを放った。

衝撃の“5ゴール”以降も国内外で量産

 フランクフルト2年目の今シーズンは勢いがさらに増し、第8節のデュッセルドルフ戦で1試合5ゴールの離れ業をやってのける。もちろん“一発屋”などではなく、ここまでブンデスリーガで2位タイの17ゴール、ヨーロッパリーグでやはり2位タイの8ゴールを量産。ビッグクラブのスカウトがこぞって視察する移籍市場の人気銘柄となっている。
 先ごろ、ベンフィカから保有権を買い取ったフランクフルトは、ヨヴィッチの代理人が「基本合意に達した」と発言するバルセロナをはじめ、バイエルン、レアル・マドリード、チェルシーなどから仕掛けられそうな札束攻勢に耐えられるか。引き留める可能性が膨らむのは、チームが来季のチャンピオンズリーグ出場権を獲得した場合だろう。

ボアテングが「ワールドクラスになる」と太鼓判

 では、ヨヴィッチの何が凄いのか。その才能に太鼓判を押すのは昨季のフランクフルトで同僚だったケビン・プリンス・ボアテングだ。スポーツビルトでこう語っている。
「俺は毎日見ていたからわかる。あいつはワールドクラスのストライカーになるよ。フォワードに必要なものを全て持っている。ゴールへの嗅覚があるし、頭、右足、左足で決められるんだ。技術的に優れているし、両足ともにシュートをうまく打つね」
 百戦錬磨のボアテングが認めるように、ヨヴィッチはとにかくシュート技術に長けている。本来は右利きながら、左足でも破壊力満点の一撃や華麗なループシュートを放てるのだ。“セルビアのファルカオ”の異名に違わぬ、ゴール前での動き直しも秀逸だ。

勝負強さと恐れ知らずのパーソナリティー

 勝負度胸も特筆に値する。ベンフィカと対戦したヨーロッパリーグ(EL)準々決勝の第1レグでは10人で戦うチームを勇気づける同点弾を決め、敵地で古巣のサポーターを沈黙させた。ゴールパフォーマンスでは喜びを隠すどころか、まるで「どうだ!」と言わんばかりにスタンドに敬礼。恐れ知らずの若者らしいパーソナリティーの強さを窺わせた。
 そのベンフィカ戦や前述のシャルケ戦、さらにはプロデビュー戦など、ここぞという場面で決めるのがヨヴィッチの素晴らしさであり、セルビア代表でも初スタメンを飾った今年3月のゲームで初ゴールを記録した。それも相手はドイツだった。キャリアを大きく飛躍させた地で、見事に自身のメモリアルゴールを決めてみせた。
 早ければ今夏にもステップアップしそうなヨヴィッチは、まだ21歳と経験値は高くない。ただ、彼がビッグクラブ特有のプレッシャーに押し潰されることはないはずだ。

文=遠藤孝輔

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