全てを兼ね備える18歳の大型DF…悔しさを胸に瀬古歩夢が再び世界へ

全てを兼ね備える18歳の大型DF…悔しさを胸に瀬古歩夢が再び世界へ

[写真]=Jリーグ

「自分自身、緊張するタイプではないので、自分が今持ってる力を存分に発揮することだけを考えてプレーしました。アウェイの満員のスタジアムでやったのはすごくいい経験になったし、これを糧にもっともっとレベルアップしていけたらいいと思います」

 セレッソ大阪は4日、令和最初のJ1リーグのアウェイ・松本山雅戦に挑んだ。この試合でミゲル・アンヘル・ロティーナ監督は、センターバックの一角に18歳の瀬古歩夢を抜擢。2年前の2017年5月16日、YBCルヴァンカップ・ヴィッセル神戸戦に16歳11カ月でトップデビューし、昨年はU−23、今季はルヴァン杯でも実戦経験を積み重ねてきた大型DFが、待望のJ1デビューを飾った。

 瀬古は自身と同じセレッソアカデミー出身の永井龍、終盤はレアンドロ・ペレイラを主にマークした。そして、松本山雅の攻撃陣に決定機を与えず、2−0の勝利に貢献。J1での大きな一歩を踏み出した。

「永井くんは古巣対決なので強い思いを持ってやってきたと思う。それに対して自分は負けないようにガツガツ行こうと心掛けていました。途中から入ってきたレアンドロ・ペレイラは身長が高いし、相手がそこを狙ってくるのが分かっていたので、フリーで競らせないようにと考えていました。今日に関してはフリーにすることが特になかったので、そこは自信にしていいと思います」(瀬古)



 安定感ある一挙手一投足を目の当たりにし、ロティーナ監督は「歩夢は素晴らしいセンターバックです。彼の年代を考えたら驚きに値する能力を持っている」と絶賛した。敵将の反町康治監督(松本山雅)も「あんなに若くていいセンターバックがいたとは知らなかった。両足蹴れるし、速いしね」と驚き半分に語り、マッチアップした永井も「J1が初めてとは思えない。本当に落ち着いていましたね」と目を丸くした。

 実際、U−15日本代表から日の丸を背負い、世界と対峙してきた。2016年のAFC・U−16選手権では守備陣の大黒柱としてチームを統率。森山佳郎監督(現・U−17日本代表監督)からも絶大な信頼を寄せられた。ところが、翌年のU−17ワールドカップはケガで欠場を余儀なくされた。チームも瀬古の不在が響き、ラウンド16でイングランドにPK戦の末、敗退した。

 悔しさを1つ上のカテゴリーで晴らすために気持ちを入れ替えたが、物事はうまく運ばなかった。2018年のAFC・U−19選手権の初戦・北朝鮮戦。瀬古は橋岡大樹(浦和レッズ)とセンターバックのコンビを組んだが、失点に絡むミスを犯してしまった。ここからスタメンを外され、勝てばU−20ワールドカップ出場が決まる準々決勝、開催国のインドネシア戦では小林友希(ヴィッセル神戸)にポジションを奪われた。この時、瀬古は屈辱感に打ちひしがれたという。

「自分で招いたミスで失点したのが全て。大舞台でああいったミスをしたのは初めて、そこからスタメンを外されたのも初めてでした。センターバックはミスをしたら代えられることがよく分かった。あの悔しさは自分の中に今も強くありますし、そこからまた浮上しようとここまでやってきた。今年になってJ3、ルヴァン杯と少しずつステップアップしてきましたし、もうすぐU−20ワールドカップがある。そこに対する思いは非常に強いです」

 橋岡、角田涼太郎(筑波大学)が続けざまに負傷し、この5月に開幕するポーランドでの本大会でセンターバックの人員をどう確保するかは、影山雅永監督にとって非常に頭の痛い問題だった。そこで指揮官は瀬古に熱視線を送り、動向に注目してきた。その期待の星はついにJ1の舞台に立ち、堂々たるパフォーマンスを披露した。これはユース代表チームにとって朗報以外の何物でもない。

「アジア予選の時からセンターバックが固定されていないので、自分が争いに勝って主軸の立場を勝ち取れればいい。東京五輪も狙える年ですけど、そこも徐々に意識しながらやっていきたいですね。でもまずはU−20が先。そこで勝ち進むことを第一に考えてやっていきたいです」と、瀬古は初めてとなる世界大会にフォーカスしている。

 2年前のU−20ワールドカップで最終ラインを牽引した冨安は、すでにA代表の主力に成長している。瀬古もここからステップアップし、2022年のカタール・ワールドカップのレギュラー争いに名乗りを挙げるかもしれない。まずは今月24日、エクアドルとのグループステージ初戦に出場し、華々しい世界デビューを飾ってほしいものだ。

文=元川悦子

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