2部降格も原口元気が「楽しめた」理由…「チームには申し訳ない話だけど…」

2部降格も原口元気が「楽しめた」理由…「チームには申し訳ない話だけど…」

原口元気がウイングバックで見せた活躍の裏に日本、ドイツで培った経験がある [写真]=Getty Images

「ミシャ(北海道コンサドーレ札幌・ペトロヴィッチ監督)の3バックをよく知っているからこそ、『もっとこうしたらいいのにな』というのは正直、ありました。でも、合わせた期間も1日だけだったし、その中で守備も工夫して、怖がらずに前に前にっていうのをずっと貫けた。まあ最低限かなと思います」

 9日のエルサルバドル戦は、森保一監督率いる日本代表にとって2度目の3−4−2−1システムへのトライとなった。原口元気は左ウイングバック(WB)で先発。森保監督が師と仰ぐミハイロ・ペトロヴィッチ監督が率いた浦和レッズで左WBとして活躍し、現所属のハノーファーでも同じ役割を担ってきた男は、フォーメーションに対する戦術理解度が誰よりも高かった。アドバンテージを存分に生かして、序盤から積極果敢に攻守両面に絡んだ。

 1つの成果が、永井謙佑の2点目をお膳立てした場面に表れている。橋本拳人から畠中槙之輔を経由して前線に供給されたボールに凄まじい走力で原口が追い付いた。ゴールラインぎりぎりのところで折り返すと、ボールはフリーで飛び込んだ永井につながり、アシストを記録した。

「得点に関わることがこの試合の目標だったので、結果が出てよかった」と本人も試合後、安堵感を吐露した。結局、67分でピッチを後にしたものの、5日のトリニダード・トバゴ戦で左WBを担った長友佑都とは異なる攻撃的一面を強く押し出したことで、自身の存在感を改めて印象付けたのは確かだろう。

 主力として奮闘したロシア・ワールドカップから約1年、日本代表での立ち位置は大きく変化した。森保ジャパンのベースだった4−2−3−1の場合、左サイドのファーストチョイスにはここまで中島翔哉が抜擢されてきた。彼が負傷離脱したアジアカップではレギュラーとして結果を残したが、3月のコロンビア、ボリビアとの2連戦以降は再び序列が元に戻ってしまっていた。そんな中、迎えた6月の2連戦。指揮官が3バックを導入したことで、原口にチャンスが巡ってきた。

「僕はレッズでもやってるし、ハノーファーでもずっとWBだった。運動量を生かせるし、仕掛けられるシーンも多い。自分の良さが出しやすいポジションだと思います」と彼は自信をのぞかせた。

「あの位置で大事になるのはちょっとした高さのポジション取り。いい場所にいることで真ん中が空いてきたり、裏を取れることもある。逆に守備で曖昧なポジションを取っていると裏を取られたり、プレッシャーがうまくかからなかったりする。そこがうまくいくと本当にハマると思う」と3バックのツボを体得していたことも、エルサルバドル戦ではプラスに働いた。森保監督が今後、3バックと4バックを併用していくと見られているだけに、原口の担う役割も大きくなっていくはずだ。

「(3バックと4バックの)どっちでも(レギュラーを)奪えるようにしたい。ただ、WBの方が自分にはチャンスがあるのかなと。攻撃で違いを作れると思うし、今回もよく走れていたと思うから。もうちょっと精度を上げなきゃいけないけど、慣れればもっとよくなっていく手ごたえはあります」

 ポジティブな感触を現実にし、日本代表での存在価値をさらに引き上げるためには、やはり所属クラブでの活躍は必要不可欠だ。今シーズンから赴いた新天地・ハノーファーでは、リーグ戦28試合出場というコンスタントな働きを見せたが、チームは2部降格。原口自身もハードワークばかりを求められ、決定機に絡む回数が少なく、ノーゴールに終わった。来季の身の振り方も完全に決まっていない様子で、心中穏やかではない部分もあるだろう。

「それでもハノーファーでは楽しめた。(降格した)チームには申し訳ない話だけど、色々なポジションをやったり、90分出場する試合が多くて、発見も多かったから。そういう中で、どのポジションが一番向いているのか、アタッカーとして生きていくのか、どう生き残るのかを真剣に考える必要があると感じた。思い通りに行かないこともあったけど、やっぱり大事なのはブンデスリーガで1年間通して出続けること。それをしっかり達成して、また次に進めばいいと思ってます」

 ハノーファーに残るにしても、新天地を求めるにしても、試合に出続けるなければ日本代表での活躍はあり得ない。中島、長友というライバルを凌駕することも難しくなる。そして、ロシアで破れなかった8強の壁を乗り越えるためにも、ここで足踏みしているわけにはいかない。

 次の代表活動は9月の2022年カタールW杯アジア予選だ。その時点で原口がどこに所属しているかは不透明だが、どんな環境にいても、武器の走力や推進力、攻守両面のダイナミックさに磨きをかけることだけはやり続けなければならない。日本代表で絶対的地位を築くのはそれからだ。

文=元川悦子

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