【コラム】オランダ勢の復権で蘇るエドガー・ダーヴィッツというレジェンドの存在

【コラム】オランダ勢の復権で蘇るエドガー・ダーヴィッツというレジェンドの存在

1997年から2004年までユヴェントスに在籍したエドガー・ダーヴィッツ [写真]=Getty Images

 イタリアの絶対王者ユヴェントスの意気込みは、ここ数年の移籍マーケットの振る舞いにはっきりと表れている。

 2016年には国内のライバルであるナポリから前年得点王のゴンサロ・イグアイン、ローマから絶対的な司令塔ミラレム・ピヤニッチを引き抜き、さらにバルセロナからダニ・アウヴェス、チェルシーからフアン・クアドラードなど次々にビッグネームを補強。翌2017年はフランス代表の中盤の要であるブレーズ・マテュイディ、イタリア代表の未来を担うフェデリコ・ベルナルデスキ、ブラジル代表のスピードスター、ドウグラス・コスタら即戦力を獲得し、さらに2018年にはあのクリスティアーノ・ロナウドを手に入れた。

 それだけ影響力の強いタレントを次々に獲得し、セリエAの連覇は「8」にまで伸びているのだから国内における強さはまさに圧倒的だ。もっとも、彼らの強い意気込みの先にある最大のモチベーションは、もはやセリエA連覇記録を更新することではない。1995-96シーズン以来となる欧州王者の栄冠、チャンピオンズリーグの制覇である。

 2018年9月、ユヴェントスは8年間にわたって強化部門のトップを任せてきたジュゼッペ・マロッタを解任し、その部下でありながら実質的には近年のマーケットを主導してきたファビオ・パラティチをその席に据えた。世界を驚かせたC・ロナウド獲得を実現した敏腕は、今夏の移籍市場でまたしてもビッグネームの獲得に成功した。昨シーズン、チャンピオンズリーグでベスト4に進出したアヤックス躍進のキーマン、19歳にしてオランダ代表でも中核を担うDFマタイス・デ・リフトである。

 バルセロナ、またはプレミアリーグのビッグクラブへの移籍が有力視されていた彼のユヴェントス加入は、サプライズ以外の何ものでもなかった。移籍金約90億円の5年契約。将来性を考えれば、決して高くない買い物だ。

 昨シーズンのデ・リフトは、まさに欧州サッカー界全体における“主役”の一人だった。

 クラブ史上最年少の19歳でキャプテンを務めると、国内リーグと国内カップの2冠達成に大きく貢献。流れを読む優れた戦術眼とポジショニングを誤らないサッカーセンス、フィジカルの強さと運動能力の高さは抜群で、大舞台で完璧な仕事をこなすスター性もある。ユヴェントスと対戦したチャンピオンズリーグ準々決勝では、4強進出を決める値千金のゴールを記録。バルセロナに移籍したフレンキー・デ・ヨングと並ぶヤングスターとして、チームの快進撃を演出した。

 近年のサッカー界において低迷しがちだったオランダ勢の復権は、多くのファンが待ち望んだ明るいニュースと言えるだろう。かつてのサッカー界には、オランダ人選手がどのビッグクラブでも中核を担う時代があった。

 もちろんユヴェントスも例外ではない。中でも1997年から2004年まで在籍したMFエドガー・ダーヴィッツは、クラブの黄金期を支え、世界有数のプレーメーカーとして高く評価された文字どおりのレジェンドだ。

 デ・リフトと同様、ダーヴィッツの原点も名門アヤックスにあった。

 1994-95シーズンにはパトリック・クライファートやヤリ・リトマネンらとともにチャンピオンズリーグ制覇を成し遂げ、当時「世界最高リーグ」と称されたセリエAに戦場を移した。ミランを経て97年にユヴェントスに加入すると、全盛期にあったアレッサンドロ・デル・ピエロ、ジネディーヌ・ジダン、パヴェル・ネドヴェドらとともにプレーし、自身もその価値を高めていった。

 最大の武器は、その万能性にあった。爆発的な運動量と球際の強さを誇りながら、決して守備的な選手ではなく、繊細なタッチと高精度のロングキックで攻撃を組み立てる。攻撃にアクセントを加えるミドルシュートは強烈だった。

 当時も悲願であったチャンピオンズリーグ制覇を成し遂げることはできなかったが、2002-03シーズンにはミランとの同国決勝進出に貢献。ドレッドヘアを束ねたヘアスタイルと目の病気の影響で着用したゴーグル姿で強いインパクトを残し、ユヴェントスを去った後もいくつもの国を渡り歩いて2014年までピッチに立ち続けた。

 ダーヴィッツ以来の“オランダ人ビッグネーム”となるデ・リフトは、イタリアの名門でレジェンドを上回るインパクトを残すことができるか。

 クラブが彼を獲得した目標ははっきりしている。チャンピオンズリーグを制してヨーロッパの頂点に立つ――。その悲願達成にピッチの上で貢献することができれば、ユヴェントスにとってデ・リフトは“史上最高のオランダ人選手”となるに違いない。

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