大型補強も新トリオ“MSG”は実現ならず…バルセロナが挑むリーガ3連覇へのカギは?

大型補強も新トリオ“MSG”は実現ならず…バルセロナが挑むリーガ3連覇へのカギは?

[写真]=兼子愼一郎

 バルセロナは昨シーズン、2位アトレティコ・マドリードに11ポイント、3位レアル・マドリードには19ポイントの大差を付け、リーガ・エスパニョーラ連覇を達成。ここ5シーズンで4度の優勝と、3強の中でも一歩抜けた存在であることを示した。だが、その強さには陰りが見えつつあるとの見方もある。実際、87ポイントの勝ち点は、2位に終わった2016−17シーズンよりも3ポイント少ない。また、3年連続でベスト8に終わっていたチャンピオンズリーグ(CL)では、リヴァプールとの準決勝までは駒を進めたものの、ローマに苦杯を舐めた前年度に続き大逆転負けを喫した。

大型補強と人員整理に成功

 是が非でもリーガとCLのダブル制覇を達成したいクラブは、新シーズンに向けてポイントを絞って補強を行った。ブラジル代表MFフィリペ・コウチーニョがフィットせず、フランス代表FWウスマン・デンベレも怪我が多い攻撃陣では、アトレティコからフランス代表FWアントワーヌ・グリーズマンを獲得。共に31歳を迎えたスペイン代表MFセルヒオ・ブスケツとクロアチア代表MFイヴァン・ラキティッチの負担を減らしたい中盤では、アヤックスからオランダ代表MFフレンキー・デ・ヨンクを迎え入れた。スペイン代表DFジョルディ・アルバのバックアッパーが不在だった左サイドバックには、ベティスからU−21スペイン代表DFジュニオル・フィルポを獲得した。また、控え守護神であるオランダ代表GKヤスパー・シレッセンが出場機会を求めて移籍を希望したゴールマウスには、バレンシアとの間でブラジル代表GKネトとのトレードを成立させた。

 一方、ポルトガル代表MFアンドレ・ゴメスはエヴァートンに、元スペイン代表FWパコ・アルカセルはドルトムントにそれぞれ完全移籍。ブラジル人FWマルコムをゼニトに、元スペイン代表MFデニス・スアレスをセルタにいずれも放出するなど、移籍市場での商売下手が揶揄されることが多いクラブにしては、余剰戦力の売却は例年になく上手く行っている。それでも、中盤はまだオーバーブッキング気味とあり、更なる人員整理が行われる可能性は十分にある。

会長はさらなる補強を示唆

 新たなシーズンに向けた陣容は大枠固まったかにも見えるクラブだが、ジョゼップ・マリア・バルトメウ会長は「まだ新戦力を加える可能性がある」と、さらなる補強を示唆。そのターゲットは、2017年夏にパリ・サンジェルマン(PSG)へ移籍したブラジル代表FWネイマールだと言われている。だが、2年前の獲得に際し2億2200万ユーロ(約259億6000万円)を支払ったPSGは、同額に近い移籍金を要求していると見られており、バルセロナにはそれに応じる財政的な余裕はない。それゆえ、ネイマールの復帰を成立させるためには、複数の選手を売却して移籍金を捻出するか、主力のトレードを含めて移籍金を抑えるか、レンタル移籍の形を採るか、いずれかになると報じられている。

 これまで4年連続で参加してきた夏恒例のインターナショナル・チャンピオンズ・カップに出場しなかったチームは、プレシーズンマッチは4勝1敗ときっちり成績を残した。チェルシー、ヴィッセル神戸、アーセナル、ナポリと対戦した最初の4試合は、黒星後の3連勝でも全て2−1のスコアに留まった。だが、ナポリと再戦した最後の試合では、開幕を想定したメンバーを揃えて4−0と快勝した。

 大黒柱のアルゼンチン代表FWリオネル・メッシは、コパ・アメリカ出場により合流が遅れたうえ、右足ふくらはぎを負傷してプレシーズンマッチは全休。開幕戦は欠場が濃厚となっている。だが、右膝半月板の手術を経て同大会に出場したウルグアイ代表FWルイス・スアレスは、合流後の3試合のうち2試合でファインゴールを決めるなど、状態の良さをアピールしている。一方、アトレティコ時代は2試合に1度のペースでゴールを挙げて来たグリーズマンは、全試合にスタメン出場しながら4戦連続不発と心配されたが、最後の試合でようやくゴールを決めて帳尻を合わせた。

確認できなかった“MSG”トリオ

 最大の注目を浴びるグリーズマンについては、『エル・パイス』紙の「彼はリーガで初得点を記録するまで、レアル・ソシエダでは4試合、アトレティコでは10試合を要した。バルサでも時間と共にコンスタントにゴールを決めるだろう」との見解通り、元来スロースターターであるとの指摘がある。新たなチームの看板として期待されている、スアレスおよびメッシとの“MSG”トリオもコンビネーションが確認できておらず、開幕に向けて不安はある。

 一方、もう1人の補強の目玉であるデ・ヨンクは、対照的にあっさりチームにフィットしており、プレシーズンマッチでは中盤のあらゆるポジションで高いレベルのプレーを披露している。早くもレギュラー頭角との声も上がっており、『スポルト』紙からも、「視野の広さ、状況判断、パスの精度、いずれを取っても素晴らしい。既にチームの核として機能している。前への推進力もあり、メッシが中盤まで下がってゲームメイクをする必要もなくなるはずだ」と絶賛されている。

 リーガ連覇中のうえ、3強の中でチームのベースが最も出来上がっているバルセロナは、今シーズンも優勝候補の筆頭であることは間違いない。モチベーションの維持が難しい面はあるものの、主力の大量離脱といったアクシデントでも起きない限り、タイトルレースをリードしていくことになりそうだ。ただ、5シーズン振りの欧州制覇を是が非でも達成したいCLに注力し過ぎた場合、取りこぼしが増える恐れは十分にある。メンバーを固定しがちなエルネスト・バルベルデ監督が、ローテーションの採用と勝ち点の積み上げを両立できるかが、3連覇のカギを握ると言えるだろう。

文=北村敦

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