屈辱の敗戦から欧州王者返り咲きへ…レアルは地元紙の辛辣な評価を覆せるのか?

屈辱の敗戦から欧州王者返り咲きへ…レアルは地元紙の辛辣な評価を覆せるのか?

[写真]=Getty Images

 「比類なき時代の屈辱的な幕切れ」(マルカ紙)
 「神々の凋落」(ガゼッタ・デッロ・スポルト紙)

 チャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメント1回戦でアヤックスに敗れ、4連覇の夢が絶たれた昨シーズンのレアル・マドリード。スペインやイタリアの大手スポーツ紙のトップを飾ったこれらのヘッドラインは、3年間に渡り君臨してきた欧州王者の肩書きをあっけなく失った姿を端的に表している。

 昨年夏、FWクリスティアーノ・ロナウドが退団したレアル・マドリードは、不動のエースの損失にシーズンを通じて悩まされ続けた。その影響を特に受けたのがCLで、驚異的な決定力を発揮してきたストライカーの不在により、大舞台での勝負強さは見る影もなくなった。

 加えてこの夏は、神懸かり的なセーブ連発で3連覇に大きく貢献しながら、GKティボー・クルトワにレギュラーの座を奪われたGKケイラー・ナバスも退団。攻守における底力の象徴がいなくなったチームに、もう神通力は残されていない。

 だが、問題の本質は別の所にある。CLでの偉業により目が逸らされていたがプレー内容への疑問が、王座陥落により一気に表面化したまでだ。事実、継続的な強さが求められるリーガ・エスパニョーラでは、過去7シーズンで優勝したのはわずか1回。ここ2シーズンは、宿敵バルセロナの連覇を許したどころか、地元ライバルのアトレティコ・マドリードの後塵も拝し、3位が定位置となっている。

「僕たちはあらゆる面で足りていない」

 中盤の屋台骨を支えるMFカゼミーロも、「僕たちはあらゆる面で足りていない。ゴールを決める部分でも、ゴールを防ぐ部分でもだ」と攻守両面に問題があることを認めている。実際、C・ロナウドの退団により生じた得点力不足という、昨シーズンからの悩みは依然として解消されていない。だが、現時点で最大の泣き所と言えるのは失点の多さだろう。プレシーズンで7試合で18失点を喫したチームは、開幕から3試合でクリーンシート無しの4失点。これは38試合で46失点を喫した昨シーズンと変わり映えしない。

 この原因としては、チームとして戦い方が定まっていないことが挙げられる。中途半端なポゼッションにより攻撃のリズムが上がらず、逆に僅かな綻びから決定的なピンチに見舞われるという構図が浮かび上がってくる。実際、リーガでの3試合のデータを見てみると、被シュート数26本は20チーム中5番目に少ない反面、そのうち11本をゴールマウスに飛ばされており、被枠内シュート率42.31%は3番目に悪い。1勝2分の5位と何とか無敗はキープしているものの、『アス』紙も守備面の改善が急務であるとの見解を示している。

「レアル・マドリードはディフェンスに大きな問題を抱えている。選手が個々の感覚に頼って動いているだけで、チームとして統率が執れていない。突如としてポジショニングが狂うため、重要なゾーンに穴が開いてしまっている。この状況を修正できない限り、頂点を目指すのは難しいだろう」

救世主の指揮官も定められないチームの形

 今年3月、主要タイトル無冠が決定的となったレアル・マドリードの救世主として、電撃退任からわずか284日で再登板を果たしたジネディーヌ・ジダン監督だが、復帰後はチーム再建に苦慮している。『マルカ』紙も、悩める指揮官の迷走振りを指摘している。

「ジダン監督は、チームとしての形を未だに見つけられていない。開幕から3試合で、異なる3つのチームを組成し、異なる3つのシステム(4−3−3、4−2−3−1、4−4−2)を採用している。スタメンに名を連ねた選手は早くも17人に上る。戦力外として放出するはずだったFWギャレス・ベイルをレギュラーとして起用するなど、当初の見立てとは別方向に物事は向かっている」

 確かに、補強の目玉であるFWエデン・アザールが開幕前に負傷するなど、故障者の続出により、計画通りにチーム作りが進められていないという不運な面はある。しかし、FWルカ・ヨヴィッチ、DFエデル・ミリトン、DFフェルランド・メンディらの新戦力を有効活用できていないのも事実だ。また、MFマテオ・コヴァチッチ、MFマルコス・ジョレンテ、MFダニ・セバージョスを放出したにもかかわらず、中盤の補強ができなかったのは、失敗に終わったMFポール・ポグバの獲得に固持し過ぎたジダン監督の責任との見方も多い。

立て直しの猶予は年末まで

 現在の状態ではトップレベルでの戦いは厳しいレアル・マドリードだが、CLグループステージの組み合わせには比較的恵まれた。パリ・サンジェルマンは危険な相手だが、クラブ・ブルージュおよびガラタサライは完全に格下であり、2位以内での決勝トーナメント進出は問題なさそうだ。つまり、立て直しの猶予は、今年一杯残されていると見ることができる。

 圧倒的なカリスマ性を持つジダン監督は、スター軍団を束ねる能力は群を抜いており、それはCL3連覇が証明している。一方、戦力が充実していないチームを勝たせる能力には疑問符が付けられている。幸いにも、FWアザールの離脱により出場機会を得たFWベイルが活躍するという、怪我の功名も生まれている。だが、実力は折り紙つきの両選手をどう共存させるか、MFカゼミーロの代わりがいない中盤をどう遣り繰りするかなど、課題は山積している。モチベーターとしては超一流のジダン監督だが、王者返り咲きに向けた再出発となる今シーズンは、戦術家としての真価が問われることになりそうだ。

文=北村敦

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