6戦全勝の首位インテルと王者ユーヴェが激突…! “いつもと違う”イタリア・ダービーの見どころ

6戦全勝の首位インテルと王者ユーヴェが激突…! “いつもと違う”イタリア・ダービーの見どころ

セリエA第7節でインテルとユヴェントスが対戦する [写真]=Getty Images

 伝統の一戦、インテルvsユヴェントスが6日に決戦の火蓋を切る。双方の対決は、イタリア語でデルビー・ディターリア(イタリア・ダービー)と呼ばれ、イタリアで最も注目度が高い一戦だ。1967年、イタリアで影響力のあったスポーツ・ジャーナリストの故ジャンニ・ブレアが、当時、人気を博し、タイトルを数多く所有していた双方のクラブの対決をこう名付けたのが由来だ。そして今シーズン、この2チームの対決は、ここ数年とは様相が変わっている。それは、インテルが開幕から怒涛の6連勝で首位に立っているからだ。

 イタリアでの関心も高まっており、チケットはすでに7万2000枚以上が売れ、完売に近づいている。両チームは、これまで通算283回対戦し、ユヴェントスが122勝74分け87敗の成績を残す。公式戦では通算234戦で、106勝58分け70敗。セリエAに限れば、172回の対戦で82勝44分け46敗といずれもユーヴェが大きく勝ち越す。ユーヴェが8連覇を成し遂げている期間では、18戦でユーヴェの10勝6分け、敗戦はたったの2回。敗北を喫したのは、1−3で敗れた2012年3月25日と2016年2月28日の2試合のみである。そのうち、ジュゼッペ・メアッツァで敗れたのは、後者の1試合だけ。したがって、インテルはホームでこの8年において1度しかユーヴェを相手に勝利の美酒を味わうことができていないということだ。

■堅守のインテル、カギは中盤のハードワークか

 本拠地に絶対王者を迎えるインテルは、今シーズンから指揮を採るアントニオ・コンテの下、第6節まですべて勝利をあげ、勝ち点18で2位ユヴェントスに2差をつけて首位に立つ。第4節では、アウェイ扱いのミラノ・ダービーで宿敵ミランに2−0と勝利。第5節ラツィオ戦にも1−0で白星を収めた。これまでのところ攻守のバランスの良さが見て取れるが、ロメル・ルカクやアレクシス・サンチェスを獲得した攻撃陣以上に、守備の強さが目立つ。主将で守護神のサミール・ハンダノヴィッチを中心にした守備が機能。ステファン・デ・フライとミラン・シュクリニアル、ダニーロ・ダンブロージオの3人に加え、新獲得のディエゴ・ゴディンやアンドレア・ラノッキアと実力者を揃え、選手層も厚い。さらには、サンプドリア戦でインテルの一員として初めて公式戦デビューしたアレッサンドロ・バストーニも堂々たるプレーを披露。もともとコンテ監督の評価は高かったが、改めて戦力の一員であることを証明した。

 ただ、ここにきてユーヴェの攻撃陣もコンディションを上げてきているのは気掛かりでもある。インテルは本来3バックであるが、守りの際には横一列に5バックとなるため、守備ラインの前が手薄となる。そのスペースを中盤の3人とセカンドトップの1人が戻って対応することとなるのだが、ここでいかにハードワークできるかどうか。中盤では、イタリア代表としても主軸の一人となりつつあるニコロ・バレッラの加入が大きな補強となるとみられたが、それ以上にチームにとってプラスアルファとなったのがステファノ・センシ。168センチの小さな司令塔だ。インテルは武闘派が多いチームだけに、その技術力の高さは際立つ。チームにとってこの小兵のゲームメイク力はもはや不可欠なものとなっている。ユーヴェもこのMFを自由にやらせては、勝機を逸することになるだろう。

 鳴り物入りで加入したルカクは、左太ももの筋肉に疲労により、2日のチャンピオンズリーグ(CL)・グループステージ第2戦、バルセロナ戦を欠場した。ただ、リスクを避けての判断だったため、ユーヴェ戦には復帰できる見通しとなっている。サンチェスは前節のサンプドリア戦で初ゴールを記録したものの、この試合で2枚のイエローカードをもらって退場処分を命じられており、ユーヴェ戦は欠場となる。ルカクとコンビを組むのはラウタロ・マルティネスとなりそうだ。リーグ戦では6試合出場で1得点と物足りなさがあるが、バルセロナ戦でのパフォーマンスは十分なものだった。世界指折りのチームからの得点は、大きな自信となるはずだ。

 このダービーで通算8ゴールを奪った“ユーヴェ・キラー"の異名を持つマウロ・イカルディが抜けたことはマイナス材料ではあるが、チームワークという面を考慮すれば、問題児の退団を後悔するわけにはいかないだろう。実際、チームのためにハードワークができるアントニオ・カンドレーヴァはコンテ監督によって見事に再生し、インテルの攻撃の潤滑油となっている。豪快なブレ球シュートとピンポイントクロスは、ユーヴェ戦でも威力を発揮するはずだ。

■徐々に浸透してきた“サッリズム”

 一方のユヴェントスは今シーズン開幕当初、冬のイタリア北部に見られる霧のような、不穏な空気が流れていた。開幕カードのパルマ戦では1−0と勝利したものの、格下に押し込まれる場面が多く見られるなど内容は褒められるものではなかった。それでも、形勢不利と思われた第2節のナポリ戦で4−3と勝利。一時は3点のリードを奪い、完勝できる可能性もあった。第3節のフィオレンティーナ戦はスコアレスドローに終わったが、CL第1節では昨シーズンの決勝トーナメント1回戦で大熱戦を演じた相手、アトレティコ・マドリードにアウェイで2−2と引き分け、貴重な勝ち点1を持ち帰る。難敵を相手に一時は2−0とリードを得るとともに、ボールポゼッションでも53.6パーセントの試合運びを見せていただけにドローはむしろ悔やまれるかも知れないが、開幕当初は肺炎のためベンチ入りを見送っていたマウリツィオ・サッリ監督が評価を上げてきているのは間違いない。

 “サッリズム(サッリの哲学)”はチームに徐々に浸透しつつあり、従来からビアンコネロのベースとなっている勝負強さも健在。苦戦をしいられながらも、チームのコンディションは上がってきているようだ。ブレシア戦ではクリスティアーノ・ロナウドを温存しながら、新システムが機能。アーロン・ラムジーをトップ下で起用できる目処が立った試合となったが、それ以上にユヴェンティーニにとって明るい話題となったのは、居場所をなくしつつあったパウロ・ディバラが随所に好プレーを見せたことだろう。また、レヴァークーゼンとのCLグループステージ第2節では、今夏の移籍市場で退団が濃厚と見られたゴンサロ・イグアインが躍動。1ゴール1アシストと、その輝きはナポリ時代のプレーのようだった。調子が上がらなかったフェデリコ・ベルナルデスキがゴールしたのも大きい。そして、守備ではここまで期待を裏切っていたマタイス・デ・リフトが入団後ベストと言えるパフォーマンスを披露。インテル戦を前に“らしさ”を取り戻し、本人もチームも安堵しているに違いない。

 負傷者が続出の右サイドバックでは、フアン・クアドラードが本職さながらのプレーを見せている。ミラレム・ピアニッチはすでにサッリのサッカーの心臓となりつつあり、C・ロナウドは今シーズンも最も危険な存在であることに変わりない。数多くシュートを放ち、外す場面も多く見られるが、やはり最後は決めてくる。インテルにとっても、やはり最も警戒しなければならない選手だ。もっとも、チーム全体のコンディションが上向きつつあるため、インテルとしては特定の選手に注意を払うのではなく、全員が要注意人物となる。一瞬たりとも気が抜けない試合となりそうだ。

 なお、このビッグマッチは現在のイタリア審判団の“エース”でフィレンツェ出身のジャンルカ・ロッキが主審を務める。昨シーズンのヨーロッパリーグ決勝でも笛を吹き、セリエAでは240試合以上をレフリングした46歳の大ベテランである。ロッキはこれまでにインテルvsユーヴェの試合で3回主審を務めたが、すべてがトリノでの試合。ユーヴェが2勝1分けの成績を収めている。インテリスタにとっては分が悪いデータであるが、果たして結果はどうなるだろうか。

文=佐藤徳和/Norikazu Sato

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