遠藤航に刺激を与えた同世代のライバル…苦境脱出へ、代表の“本職”でインパクトを

遠藤航に刺激を与えた同世代のライバル…苦境脱出へ、代表の“本職”でインパクトを

[写真]=Getty Images

「これだけ出られない期間が長いのは、プロになって初めてですね。でも、僕の中では今までずっとうまくいってたという感覚ではない。色々な壁に当たりながら、克服して今があると思っているので。今回の出られない経験も1つの経験だし、自分の中でポジティブに取り組めばいつかチャンスが来ると思っている。そのチャンスをつかめるかどうか。そのためにいい準備ができるかどうか。それが大事だと思っています」

 9月からスタートした2022年カタールワールドカップ・アジア2次予選。モンゴル、タジキスタンとの2連戦に向け、日本代表は7日から調整をスタートした。ドイツから帰国した遠藤航は初日から合流。ランニングでは毎回のように最前線を走り、リーダーシップと強い意気込みを前面に押し出している。

 8月末に移籍した新天地のシュトゥットガルトでは、現在まで公式戦出場はゼロ。それでも、日本代表では足掛け5年で20試合出場のキャリアがあり、ロシアW杯のメンバーに名を連ね、1月のアジアカップでも柴崎岳とともにボランチでコンビを組んだ。9月に行われた2次予選初戦・ミャンマー戦では橋本拳人がレギュラーを担ったが、このまま黙っているつもりはない。

「(9月の試合では)基本的には拳人がちょっと後ろ目で、岳がゲームを作るイメージでやっていましたね。拳人とは昔(年代別代表で)一緒にやっていて、もともとつぶせるのは知っていましたけど、タテに入れるところとかはすごいよくなっているなと。より攻撃にフォーカスしてやっているイメージを持ちました。僕もまたしっかりとレベルアップしていかないといけない。そんな刺激をもらいました」

 とはいえ、シュトゥットガルトでは本職のボランチではなく、右サイドバックや右サイドハーフとして位置付けられることが多いという。試合から遠ざかっている点を含めて、今の遠藤にはいくつかの困難がつきまとう。

「シュトゥットガルトの練習では色々なところをやっていますね。今は中盤の右の前が一番多いですかね。チームのサッカーは少し特殊なんでアダプトしなきゃいけないことは多いですけど、代表では本来のポジションでプレーできると思うので、そこはいつも通りやればいいと考えています。試合勘もそんなにすぐ落ちるものではないと思っていますし、しっかりトレーニングを積んでいれば大丈夫なのかなと。僕は遅れて加入したし、チームの調子もよかったから、メンバーを変える必要もなかったので。ただ、この前、1回負けたのでこれからチャンスが来ると思うし。とにかく今はこっちに集中したいっていう気持ちでいます」

 思い返してみれば、代表初キャップを飾った2015年も、当時所属していた湘南ベルマーレでは3バックの右をやりながら、代表ではボランチや右サイドバックで使われていた。2016年に移籍した浦和レッズでも同じような状況が続いた。クラブと代表でボランチをコンスタントに任されたのは、シント・トロイデンでプレーしていた2018年夏からの1年間だけだ。常にさまざまな役割を託され、臨機応変にこなしてきた遠藤なら、多少の困難に見舞われてもボランチとして安定したパフォーマンスを発揮できるだろう。

 マルチな能力と多様な経験値、タフなメンタリティを持つ彼のような選手がいることは、森保一監督にとっても心強い材料と言っていい。埼玉でモンゴルと戦った後、タジキスタンへ移動するハードな状況では、より重要性が高まりそうだ。実際、9月のパラグアイ、ミャンマーとの2連戦では同じスタメンで戦った指揮官も「チームの幅を広げることは考えています。選択肢をより多くしたい」と固定メンバーからの脱却を図っていく意向を示している。となれば、今回の2連戦は柴崎を軸にしつつも遠藤や橋本、板倉滉を柔軟に使っていくことも大いに考えられる。

 そんな中、遠藤がチャンスを与えられた時、武器であるボール奪取力のみならず、ゲームメイクやパス出しの部分で力を発揮してくれれば、柴崎に依存しがちなボランチ勢のバリエーションも広がってくる。シュトゥットガルトでの苦境脱出につなげるためにも、今回の代表シリーズでインパクトを残すことは重要だ。

 アジアカップ以降、ケガで思うように存在感を示せなかった遠藤のリベンジはここからが本番だ。ロシアで叶わなかったワールドカップのピッチへ、ここからギアを上げていくに違いない。

文=元川悦子

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