優勝争いの最中、つかめなかった勝利…内田篤人繰り返した「本当に俺が悪い」

優勝争いの最中、つかめなかった勝利…内田篤人繰り返した「本当に俺が悪い」

[写真]=Jリーグ

「前半で交代した理由? 普通に悪かったでしょ。別に何もケガしてないし、戦術的っていうか、俺が普通のプレーしてたら代えられる。『俺が90分出る意味』ってのがあるし、『内田だな』っていうプレーを続けないと代えられても全然おかしくない。ドイツだったら前半のうちに代えられてるんじゃない」

 18日夜、松本のサンプロアルウィンは気温14.6度、冷たい雨に見舞われた。同スタジアムのピッチに初めて立った内田篤人は、松本山雅との第29節でリーグ戦2試合ぶりの先発出場を果たした。しかし、わずか45分で途中交代を余儀なくされたのだ。

 鹿島は前半、警戒していたリスタートから先に失点。大岩剛監督としても劇的に流れを変える必要があったのだろう。内田に代わって投入された永木亮太がボランチに入り、4−1−4−1へと布陣を変えると、後半は完全にゲームを支配。上田綺世のPK弾で同点に追いつき、黒星だけは回避できた。ただ、日本代表やブンデスリーガで活躍してきた31歳の右サイドバックには、不本意な感情が一気に押し寄せてきた。

「本当に俺が悪い。申し訳ない」

 試合後のミックスゾーンで、内田はこう繰り返し続けた。

 不穏なムードは開始5分から漂っていた。対面の高橋諒に激しく寄せられると、あっさりとボールを奪われてしまったのだ。これがリズムを狂わせた。9分、松本山雅が先制点を奪った直後には、内田のロングパスをカットされると、相手にカウンターからチャンスを与えた。その後は積極的な攻撃参加からチャンスに絡んだものの、2つのミスは本人の心に深く刻まれたという。

「最初のミスが大きかった。(高橋をかわして前へ)行けるなと思ってぶつかっちゃったのと、失点後の地球をインステップしたやつ(苦笑)。あの2本だけっちゃだけなんだけど、俺がやったらダメなんだよ。剛さんは結構、交代頑張るタイプの監督なのに、そこでサクッと代えるってことはそれなりに意味のあること。『篤人さん代わった』っていうメンタル的な効果もあるからね」と内田は指揮官の意図を汲み取りながら、自身のパフォーマンスを悔やんだ。

 鹿島に復帰して2シーズン目となる今季、小笠原満男からキャプテンを引き継ぎ、アジア2連覇とリーグタイトル獲得に燃えていた。ところが、3月30日のジュビロ磐田戦で古傷の右ひざを痛めるアクシデントに直面。そこから5カ月間もピッチに立てない日々が続いた。8月の天皇杯で復帰したものの、その後はベンチ入りしながら出番なしの状況を強いられた。それでも、9月以降はスタメン出場の機会も増え、満を持して松本に乗り込んだはずだった……。

 加えて今は、チーム内での競争にも直面している。不安定な右ひざの状態を気にしながら、伊東幸敏や小泉慶といった選手たちとのポジションを争っているのだ。

「ポジション争いに関しては、タイプが違うんじゃないかな。慶はもともとボランチの選手だけど、つなぎがシンプルになるし、今回の後半なんかはハマっていた。ユキ(伊東幸敏)はガシャガシャ行けるタイプで、それがハマる試合もあるんだよね。今は対戦相手や戦い方によって代えていくっていうのもあると思う。俺が120%でできるなら『俺だろう』っていう気持ちもあるけど、剛さんには本当に申し訳ない。今はチームのことも大事なんだけど、まずは自分。自分の状態をよくできればチームのプラスになると思うから。本当に俺がやんなきゃいけないんだよ、個人でね」

 自らにこう言い聞かせた日本屈指の右サイドバックは本来の輝きを取り戻せるのか、その動向は大きな注目を集めている。リーグ首位に立ちながらケガ人続出で選手のやりくりに苦しむ鹿島にとって、彼の復調はタイトル奪回への必須条件と言えるだろう。

 今こそ、常勝軍団のキャプテンが底力を発揮すべき時だ。内田篤人にはその重要性が誰よりもよく分かっているに違いない。

文=元川悦子

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