WBで驚異の11ゴール! シュツットガルトの爆速男、ワマンギトゥカとは“何者”か? 経歴詐称や別人疑惑も…

WBで驚異の11ゴール! シュツットガルトの爆速男、ワマンギトゥカとは“何者”か? 経歴詐称や別人疑惑も…

常人離れしたスピードでブンデスリーガを席巻するワマンギトゥカ。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだ。(C)Getty Images



■Silas WAMANGITUKA
サイラス・ワマンギトゥカ(シュツットガルト/DRコンゴ国籍)
生年月日/1999年10月6日(21歳)
出身地/キンシャサ(DRコンゴ国籍)
身長・体重/189cm・79kg
主要ポジション/ウイングバック、ウイング、CF
A代表/未招集
ユース年代の代表歴/なし
キャリアの転機/シュツットガルトへの移籍(19年8月)

 7ゴール・8アシストの活躍を見せ、名門シュツットガルトのブンデスリーガ1部復帰に貢献し、迎えた今シーズンは自身初のトップリーグで開幕から2戦連発。昇格組に勢いをもたらしたワマンギトゥカが、さらに知名度を上げたのは昨年11月だ。

 今シーズンのリーグ最速となる35.42キロのトップスピードを計測したのだ。その記録はバイエルンのアルフォンソ・デイビスに更新されることになるが、凄まじい脚力を持つサイドアタッカーは、ブンデスリーガ選出の月間最優秀ルーキーに輝いた。

 さらなるインパクトを放ったのは12月で、10節のブレーメン戦、11節のドルトムント戦で2試合連続のドッペルパックを達成。いずれもアウェーゲームで一際目を引いた。

 1アシストも記録したドルトムント戦では、5-1という圧勝劇の主役となり、敵将リュシアン・ファーブルに引導を渡している(ドルトムントが直後にファーブルを解任)。そして、この12月も最優秀ルーキーに選出された。

【関連動画】圧巻のスピードに注目!ワマンギトゥカのゴール集
 年明け以降も勢いは止まらず、すでに右ウイングバックとしては傑出した数字の11ゴールを記録している。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いを見せる韋駄天が、ドイツにやってきたのは19年夏だった。

 18-19シーズンにフランス2部のパリFCで年間11ゴールを挙げ、シュツットガルトに800万ユーロ(約10億円)で引き抜かれたのだ。当時はストライカーだったが、守備の改善に取り組み、現在は最前線とウイングバックで柔軟に機能するなどプレーヤーとしての幅を広げている。

 自慢のスピードよろしくトントン拍子で出世しているワマンギトゥカだが、実は一部で経歴詐称を疑われている。
 

 フランス紙『レキップ』が19年12月に掲載した記事によると、生年月日は99年10月6日ではなく98年10月6日であり、本当の名前はサイラス・ムベンパ・カトンパなのだという。現在のプロフィールは母国DRコンゴのオリンピック・マテテからフランスのアレスに移籍した18年2月以降に使用しているとの内容だった。

 なぜ、こうした疑惑が浮上したかは簡単だ。そう、カネが絡んでいる。

 詳細は割愛するが、DRコンゴのクラブで会長を務めている人物が、パリFCに「経歴詐称を黙っている代わりに補償を」と無心。しかし、パリFCは「アフリカでよくある与太話」として応じず、シュツットガルトおよびドイツ当局も19年夏に、ワマンギトゥカのパスポートを正式なものとして認めている。

 つまり、カトンパでも他の誰なわけでもなく、ワマンギトゥカはワマンギトゥカでしかないということだ。
 だが、これだけの活躍をしていながらA代表とは不思議と縁がない。それについて、DRコンゴ代表のクリスティアン・ヌセンビ=ビエンベ監督はレキップで、こう語っている。

「彼が政治亡命希望者だったことを含め、我われは多くのことを聞いたよ。ひとつ言えるのは、この国でサイラス・ワマンギトゥカの名前は聞いたことがなかった」

 また、DRコンゴのユース代表でプレーした記録が残るカトンパなる選手が、18年以降に忽然とサッカー界から消えたという話も……。

 真相は藪の中だが、ワマンギトゥカがクラブシーンで活躍していくうえで、何の障害もないということは確か。

 常人離れしたスピードに加え、パワーとテクニック、そしてシュツットガルトSDのスベン・ミスリンタートが称賛する勤勉さを併せ持つ彼なら、いずれビッグクラブで主力を担うレベルにまで到達できるはずだ。

文●遠藤孝輔

※『ワールドサッカーダイジェスト』2021年3月18日号より転載

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