U-24日本、田中&板倉の奮闘でボランチ競争激化!一方で「ポスト大迫&長友」問題は…アルゼンチン2連戦検証

U-24日本、田中&板倉の奮闘でボランチ競争激化!一方で「ポスト大迫&長友」問題は…アルゼンチン2連戦検証

U-24日本代表でそれぞれの定位置を狙う選手たち。写真は左上から時計回りに、林、田中、板倉、古賀、旗手、田川。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)



「次、負ければ、五輪だとしたら予選敗退になる。五輪優勝することが自分たちの目標でもあるんで、必ず勝点3を取れるように全員でやりたいと思います」

 29日のU-24アルゼンチン第2戦(北九州)を前に出場停止明けの田中碧(川崎)が強調した通り、26日の東京でのゲームを落としているU-24日本代表にとっては勝利が必須だった。

 第1戦ではご存じの通り、アルゼンチンの球際の強さと試合運びのうまさに戸惑い、セカンドボールを拾えず、主導権を握れなかった。しかもロングボールから崩され、突破を許し、エースFWガイチ(ベネベント)の一発に屈したのだから、悔しさが募ったはず。同じ轍を踏んでいたら、4か月後に迫った自国開催の五輪優勝どころか、1次リーグ敗退という最悪の結果もあり得る。そうなれば、U-24世代からA代表昇格者は限定的になり、「東京経由カタール行き」を果たす者も少なくなるだろう。

 少なからず危機感を抱いたであろう選手たちは奮闘。第2戦では前線からの連動したプレスと効果的なビルドアップでペースを握った。前半終了間際に追加招集の林大地(鳥栖)が待望の先制点をゲット。後半には久保建英(ヘタフェ)のCKをキャプテンマークを巻いた板倉滉(フローニンヘン)が2本続けて頭で押し込むゴールが飛び出し、終わってみれば3-0の勝利。長距離移動と過密日程の疲労が出て、相手の動きが非常に悪かったこともあるが、日本は巧みな修正力を示したと言っていい。

 この2連戦を踏まえ、A代表で手薄感のあったポジションに食い込みそうな人材を見てみると、やはり筆頭は田中碧だろう。「2試合ある中で1試合しか出れない状況で呼んでもらったので、それなりのパフォーマンスをしないといけない」と自身にプレッシャーをかけた彼は、これでもかというほど相手の攻撃の芽を摘み、中盤の底から長短のパス出しで敵を揺さぶり続けた。田中碧がいい形でボールを供給したからこそ、久保ら2列目が前を向けたし、得点も生まれたと言っていい。

 声で周りを鼓舞した点も特筆に値する。「試合中、碧にたくさん怒られた」と2学年上の板倉も苦笑いしていたが、年齢に関係なく指示を出し、周りを統率できるのは頼もしい限り。久保建英も同様だが、それくらいの物怖じしないメンタリティがなければA代表では生き抜いていけない。圧倒的インパクトを残した彼は改めてその資質を示してくれた。

 コンビを組んだ板倉もセンターバック(CB)で出場した初戦より動きがスムーズだった。所属先ではCBとしてロッベンらと対峙し、デュエルには自信をつけているというが、より攻撃的にいけるボランチの方が向いているのかもしれない。昨年のA代表4試合では同い年の中山雄太(ズウォーレ)に少し差をつけられた感もあったが、今回の働きで再び同じ土俵に戻った印象だ。25日の日韓戦(横浜)でブレイクした守田英正(サンタクララ)と同じく、やはり欧州で戦っているアドバンテージは大きい。この調子で成長を続ければ、五輪後のA代表で主力入りも視野に入るはずだ。
 選手層が厚くなってきたボランチに比べると、大迫勇也(ブレーメン)への依存度が高いFW、長友佑都(マルセイユ)の後継者問題に直面する左サイドバック(SB)は今回もメドが立ったとは言い切れない出来だった。

 まずFWだが、第1戦は田川亨介(FC東京)が先発して前線でバトルを繰り広げ、守備意識の高さを押し出すなど健闘。2戦目は林がスタメン出場してゴールを挙げ、前向きなインパクトを残した。林などは結果を残して2008年北京五輪に滑り込み、直後にA代表入りして階段を駆け上がった岡崎慎司(ウエスカ)に重なる部分もありそうだ。

 しかしながら、吉田麻也(サンプドリア)が「アジアトップ3に入るFW」だと言い切る大迫のタメを作るうまさ、味方を引き出す力というのは、若き2人には足りない部分。今季J1で6ゴールの前田大然(横浜)にしてもそうだろう。唯一、上田綺世(鹿島)だけは大迫に近い動きができるが、今回の活動に参加していないため、判断が難しい。この中から「ポスト大迫」が出てくるという確信はまだ持てない。東京五輪まで4か月間で誰がどう変化するかをしっかりと見極めたい。

 一方の左SBも、第1戦は川崎で活躍中の旗手怜央、2戦目は古賀太陽(柏)が先発したが、前者は攻撃的すぎて守備が不安定になり、後者は攻撃への推進力が出ないという結果になった。左利きのSBとしては当初、杉岡大暉(鹿島)が有望だったが、現状での所属クラブの立ち位置を考えると、東京五輪やカタール・ワールドカップ(W杯)最終予選に間に合うとも思えない。第2戦のラスト2分間ピッチに立った17歳の中野伸哉(鳥栖)もまだ早すぎるだろう。

 25日の日韓戦では31歳の佐々木翔(広島)が奮闘したが、その彼も負傷で30日のモンゴル戦(千葉)は回避となりそう。となれば、左利きの小川諒也(FC東京)にとっては千載一遇のチャンスとなる。U-24世代にもなかなか人材が見当たらない分、期待は大きい。

 右SBに関しては菅原由勢(AZ)と原輝綺(清水)がどちらも安定感は示したものの、酒井宏樹(マルセイユ)の牙城にはまだ届きそうもない。むしろ日韓戦で先制点を叩き出した27歳の山根視来(川崎)の方が最終予選に近いかもしれない。それを測る意味でもモンゴル戦で安定したパフォーマンスを見せられるかどうかは見どころだ。彼自身が「化け物」と評する酒井宏樹の領域を目指して、貪欲にトライし続けてもらいたい。

 いずれにしても、A代表を巡る戦いは今後の一挙手一投足に懸かっている。久保も「ここで得た自信をチームに持ち帰れればいい」とコメントしていた。所属クラブで圧倒的実績を残すことから全てが始まるのは間違いない。

取材・文●元川悦子(フリーライター)
 

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