中が閉じれば再びサイドに。“横のストレッチ”でモンゴル守備網を攻略し、大量得点の口火を切る

中が閉じれば再びサイドに。“横のストレッチ”でモンゴル守備網を攻略し、大量得点の口火を切る

右サイドの伊東(写真)や松原、左の小川を起点にチャンスを作りつつ、中と外を上手く使いながらモンゴルの守備網を攻略した。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)



 最終的に14−0という記録的な結果になったモンゴル戦だが、これまで日本代表が戦ってきたなかで、決して最弱レベルではない相手に、どうしてここまで得点を積み重ねることができたのか。

 戦い方のベースは3−0で勝利した韓国戦から大きく変えたわけではない。佐々木翔の負傷が伝えられた左サイドバックが小川諒也に、韓国戦で先制ゴールを挙げた山根視来に代わり、松原健が先発で代表デビューとなったが、センターラインと左右サイドハーフは同じメンバー、基本的なメカニズムにも目立った変更はなかった。

 違っていたのはやはり、韓国戦よりも相手陣内でプレーする時間が長く、モンゴルのボールになっても相手のミスやロングボールのセカンドからマイボールにできるため、ほぼハーフコートゲームになったことだ。

 モンゴルは4-1-4-1という基本布陣ながら、自陣で守備を固めるときは5-4-1になる。それでもラインを頑張って上げようとしていたため、コンパクトである代わりに、外側と裏にはそれなりにスペースがあった。

 日本はポゼッション時には1トップの大迫勇也、変則型の2シャドーである鎌田大地と南野拓実、さらに遠藤航と守田英正の2ボランチも厳しくマークされたが、右前に張る伊東純也よりインサイドにポジションを取る松原健がフリー、さらに左サイドの広い位置を小川諒也がほぼ自由に使える状況だった。

 そのため日本は右の松原と伊東、左の小川を有効に使うことから始めて、両サイドを起点に何度かチャンスを作り、モンゴルのディフェンスが外に引き付けられたところで、今度は大迫のポストから鎌田、南野が仕掛ける形を作りやすくなる。そこから中央を締めてくれば再びサイドという横のストレッチを繰り返した。

 モンゴルのボールになっても、すぐに前からのプレッシャーでミスを誘うかロングボールを蹴らせて即時回収できるシーンが多く、序盤からいつ点が入ってもおかしくない展開だった。それでも、なかなか先制点が入らないと焦れてくるし、モンゴル側も守り慣れてくる。そうなるより早く先制点が入ったことが、大量得点の流れにつながったことは間違いない。
 
 先制点の直前には、中央でクサビを受けた鎌田から左に展開し、小川がクロスに持ち込むシーンがあった。これは相手のブロックに当たってしまったが、5バックから日本の攻勢に応じて6バックにもなるモンゴルに対して、このチャンスメイクが伏線になった。

 13分、左の小川が抉ってクロスを入れると、中央の味方に合わず右アウトの松原のところまでボールが達する。ここで松原は落ち着いて中に折り返すと、ボールを受けた南野が左足でシュート。グラウンダーの弾道は見事にディフェンスの間隙を突いてネットを揺らした。
 

 そこから追うモンゴルが前に出ないといけない状況を逆手に取る形で、日本はディフェンスの背後を狙う攻撃でモンゴルを後手に回らせた。本来は17分に伊東が裏に抜けたところから追加点が生まれても良い状況だったが、伊東が反省するように至近距離でも身体を張ったGKムンフエルデネ・エンフタイバンの正面に打ってしまった。

 それでも23分に、右の松原からパスを受けた吉田麻也のロングパスから南野がスルー、大迫にボールが渡り追加点が決まった。さらに松原の縦パスから伊東が縦にえぐり、速いクロスに飛び込んだ大迫は触れなかったが、ファーに流れたボールを鎌田が流し込んで3−0に。

 両国の力関係から、事実上これで勝負は決したが、この日の日本は3−0になったから急に緩むでもなく、大量得点にこだわるでもなく、一つひとつ狙いを持って攻撃を続けた。

 前半だけで5−0という結果は力関係だけでは得られない。良い意味でこれだけ緊張感が途切れないのも簡単ではないはずだ。その意味でも素晴らしい前半だったが、後半の立ち上がりはモンゴルが3人替えをしてきた一方、日本は守田に代えて浅野拓磨を投入し、4-1-4-1にしたことで、最初は5トップのような現象が生まれて攻撃が窮屈になってしまった。

 CKの流れから大迫がチームの6点目を決めたが、この形はスペースを作って、それを使う流れを次々と生み出すことが日本の生命線と考えれば、モンゴルのような相手にはあまり有効な形ではないかもしれない。森保監督は63分、鎌田に代えてボランチの稲垣祥を入れた。そこから5分後に松原の縦パスを起点に大迫の落としから稲垣のゴールが生まれたのは道理と言える。
 
 森保監督はそこから南野に代えて古橋享梧を投入し、浅野をセカンドトップにするなど組み合わせをテストしながら大迫のハットトリック達成などゴールを積み重ねた。相手関係によって違ってくる部分もあるが、この段階で初招集組も含めた様々な組み合わせをチェックできたことが収穫であり、チームとしても自信になる。

 今回のシリーズで当初のミャンマー戦が中止となったため、予選突破は6月に持ち越しとなってしまった。それでも日本が残り3連敗しなければ他会場の結果に関係なく突破が決まるという状況で、東京五輪との兼ね合いもあるなかで、森保監督がどういうメンバー選考してくるのか。モンゴル戦で2得点の稲垣など、今回実力を示したJリーグの選手たちも含めて、競争も活性化していきそうだ。

取材・文●河治良幸

【PHOTO】モンゴル0−14日本|前後半で14ゴールとモンゴルを圧倒!24年ぶりとなる2桁勝利に!
 

関連記事(外部サイト)

×