「タクミには感服したよ」サウサンプトンのレジェンドに直撃! 南野拓実の“素晴らしい強み”とは?【現地発】

「タクミには感服したよ」サウサンプトンのレジェンドに直撃! 南野拓実の“素晴らしい強み”とは?【現地発】

6試合出場で2ゴールの南野。レジェンドOBはどのように評価しているのか。 (C)Getty Ima



 21年1月の移籍市場で、南野拓実がリバプールからサウサンプトンにレンタル移籍してきたのは、関係者の間で非常に明るい話題だった。そして実際に彼はセインツで2ゴールを挙げ、好調なスタートを切ったが、今はその熱が少し冷めてしまったように感じる。

 そして、その新天地でもリバプールにいたときと同じような状況にある。ただ、その理由は異なる。レッズでは単純に序列の問題だったが、サウサンプトンでは規定上の理由でFAカップに出られないため、リーグ戦しか出番がまわってこない。結果として、十分なプレー時間を得るには至っていないのだ。

 サウサンプトンはFAカップで準決勝まで勝ち残っているが、南野は保有元で出場しているため、ピッチに立つことはできない。ルール上仕方ないとはいえ、ただ眺めていることしかできないのは悔しいはずだ。選手のフラストレーションはいかほどのものか、私には想像しかできない。

 そんな矢先に、代表ウィークでプレミアリーグが中断した。私はこの期間を利用して、セインツのレジェンドである、フランシス・ベナリ氏に、南野について話を聞く機会があった。52歳の元DFは開口一番、「タクミ・ミナミノをレンタルで獲得したことは、クラブにとって良いビジネスだった」と言った。
 
 日本の選手をクラブに招き入れることに、OBがビジネス的なメリットを感じていたとは驚きだ。だが、話を聞いてみれば簡単なことだ。彼は、「掘り出し物を得た」という意味で利点を感じているのだという。

「タクミのニューカッスル戦でのゴールは素晴らしかった。インパクトも大きく、あれで彼がクラブにもたらすものが分かりやすくなった。ホームのセント・メリーズでチェルシーを相手に決めた2点目も素晴らしかった、文句のつけようがない。走り出すタイミング、ボールタッチ、DFとGKを手玉に取って腰砕けにし、ボールをゴールに流し込んだ冷静さに感服した」

 だが、それ以降、背番号「19」が確たるものを見せられていないのも事実だ。そこで、ベナリ氏に「南野が今のサウサンプトンに加えられる要素があるとしたら何か?」と尋ねると、こういう答えが返ってきた。

「サウサンプトンで与えられたチャンスで彼が示すべきは、とにかくゴールだろう。前線のポジションは確約されているわけではなく、争っている。だが、タクミの持つテクニックと、ボールに対する鋭敏な反応はチームにとって素晴らしい強みになる。与えられた機会でそれを発揮することが必要だ。ゴールやアシストを残せるのがベストだろう」

 そして、「(ラルフ・)ハーゼンヒュットル監督は頭を悩ませていると思うよ。代表戦での活躍を祈り、戻って来るのを楽しみにしている」と後輩にエールを送った。
 
 この言葉は、ある意味で現実となった。日韓戦ではゴールこそなかったが、意欲的に動けていたし、モンゴル戦では先制ゴールも決めた。ワールドカップの予選で5試合連続でゴールし続けることは、前線の選手にとって何ものにもかえがたい喜びだろう。

 きっと、抱えていたフラストレーションも、日本代表の試合で解消されたかもしれない。韓国戦と、モンゴル戦を見てそういう風にも感じた。

 次の試合は4月4日のバーンリー戦となる。プレミアの舞台でもがき苦しんでいるとはいえ、自身の価値を証明するためにも、残りのシーズンで躍動するのを楽しみにしている。
 文●スティーブ・マッケンジー(サッカーダイジェスト・ヨーロッパ)

STEVE MACKENZIE
profile/1968年6月7日にロンドン生まれ。ウェストハムとサウサンプトンのユースでのプレー経験があり、とりわけウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からサポーターになった。また、スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国の大学で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝に輝く。

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