無限の可能性を秘める「チャレンジの広島」。さらなる“ブースト”をかけるには…

無限の可能性を秘める「チャレンジの広島」。さらなる“ブースト”をかけるには…

4バックの浸透を進める城福監督(写真中央)。男気あるチャレンジは素晴らしい。写真:滝川敏之



 3月25日発売号のサッカーダイジェストで、岩政大樹氏が「上級観戦術」という取材に応じてくれた。終始、面白い戦術論を聞かせてもらったなかでも、とりわけ印象に残った話があった。

「3−4−3(3−4−2−1)はプレーエリアが固まってしまうシステムです。特に前線はほとんど同じ形で、CF、2シャドー、ウイングバックが5レーン(ピッチを縦に5分割したレーンを指す)を埋め、そこからあまり動きません。例えばシャドーがサイドに流れるとウイングバックと被ってしまいます」

 なぜ印象に残ったかと言うと、広島担当記者の視点で感じることがあったからだ。

 広島は19年と20年に基本システムを3−4−2−1で戦っていたが、今季は4バックに変更。最初は4−4−2(4−4−1−1や4−2−3−1にも近い形)で、7節のG大阪戦からは4−3−3を採用している。

 実は個人的には、4バックへのシステム変更に懐疑の念があった。なぜなら広島は長らく使ってきた3−4−2−1に向いている選手が多いので、「本当に選手たちがすぐ慣れるのか」という懸念があったのが大きい。

 ただ、岩政氏のコメントで広島のシステム変更への「懐疑」が「期待」に変わった。

 3−4−2−1は各選手のプレーエリアが決まっている分、選手たちの役割は明確になりやすい。各々の動きがハッキリされていれば、連係も高まる。一方で裏を返せば、与えられた役目で相手より上回れるかに勝敗が左右される。昨季、広島は特に最終盤戦で上位陣にほとんど勝てなかった。そのゲーム内容を思い返しても、個々のクオリティ差に屈したのが大きい。

 3−4−2−1は組織力に魅力を感じていたが、確かに「プレーエリアが固まってしまう」点に着目すれば、限界があったかもしれない。反面、今季チャレンジしている4バックでは、選手たちが臨機応変にポジションを変え、変幻自在の攻撃サッカーをしようとしている狙いが垣間見える。

 いわゆる“開放”された選手たちは、3−4−2−1時代には見られなかった多様なプレーを披露する。横浜FC戦では、シュートミスはいただけないが東俊希がゴール前に顔を出したり、野上結貴がまるで中盤のように右サイドの攻撃を組み立てた。浅野雄也はドリブラーからフィニッシャーまでこなす。とにもかくにも、まだまだ様々な引き出しが生まれてきそうで、無限の可能性に期待感はある。

 8戦負けなしで白星も増えてきた広島が、さらなる“ブースト”をかけるには、サブメンバーの4バックへのフィットが不可欠だろう。例えば以前にウイングバックを主戦場としていた柏好文や長沼洋一あたりは、少なくとも横浜FC戦ではまだ新たな可能性を示せていない。主力と同じように新システムに慣れる選手が増えれば、さらに勢いは増すはずだ。

 4月には14日に名古屋戦、18日に川崎戦を控えている。この上位対決2試合で真価が問われるだろう。相手は強敵だが、「チャレンジの広島」という姿勢を貫いてどんなパフォーマンスを見せるのか楽しみだ。

取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)

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