南葛SC、関東2部を舞台とする2021年の方向性とは? 新キャプテンが推進する「ポジティブ」と「進化」

南葛SC、関東2部を舞台とする2021年の方向性とは? 新キャプテンが推進する「ポジティブ」と「進化」

2021年シーズンのキャプテンを務めるGK大河原。在籍4年目の守護神だ。写真:滝川敏之



 関東サッカーリーグ2部に舞台を上げ、南葛SCの2021年シーズンが始まった。

 新キャプテンになった大河原弘樹は、2018年から南葛SCでプレーを続け、GKのポジションからチームを見続けてきた。

 これまでのシーズンで得てきた経験をどう活かし、今シーズンを戦うつもりなのか。インタビュー企画第1回では、新キャプテンに個人としての抱負から、チームの現状と今シーズンの方向性までを語ってもらう。その内容は、東京都1部リーグに所属した3シーズンの総括にもなった。

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 2021年2月22日。南葛SC公式サイトで新シーズンのキャプテンが発表された。新キャプテンは大河原弘樹。2018年よりチームに加入し4シーズン目を迎える守護神だ。年齢も在籍年数もチームでは上から2番目。さらに長く南葛SCのゴールマウスに立ち続けてきた実績もある。まさにうってつけの人選のように傍目には見えるが、本人はまったく予想していなかったという。

「土曜日の練習前だったか、監督に呼ばれまして。何を言われるかと思ったらキャプテンの打診でした。最初は悩みました。先を見据えた時、これから3年でも5年でも主力で居続けられる可能性のある、少し年下の選手がやった方がいいんじゃないかと思っていて、僕はそのサポートをするつもりだったんです。でも、これまでずっとチームに関わってきて、僕自身地元は隣の足立区ですし、南葛SCへの思い入れも強い。だんだんチームの歴史に関わっていくことに対する気持ちが強くなり引き受けました」

 これまでのサッカー人生でキャプテンの経験は、社会人になってから1回あるかという程度。それでも人間性を評価されたことが素直に嬉しかった。

「驚きましたけど嬉しかったですね。これまでやってきたことが評価されて」

 過去3シーズン、多くの試合で南葛SCのゴールを守り続けてきた。試合中は野武士のような張り詰めた緊張感で立ちはだかり、最後方からチームを鼓舞する。しかし、グラウンドを離れて対面してみれば印象はガラリと変わる。目つきは柔らかくなり、ちょっとシャイな一面をのぞかせる。「しゃべるのが苦手なんです」といいながら、懸命に思いを伝えようとしてくれる姿勢を見るだけで、実直な人柄が窺える。
 

 そんな大河原新キャプテンは、新シーズンのチームをどう導こうと考えているのか。

「『いつも通りサッカーに向かう姿勢を出してもらえればいい』とは言われています。そのなかで、まず目標は関東リーグ1部昇格。それを目指して全員が同じ方向を向くことが一番です。シーズンが始まればケガをする選手や、試合に関われない選手も出てくるでしょう。そういった選手を気に掛けながら、全体を盛り上げていけたらな、と。何かあったとしても落ち着きをもたらせるようにしたいです」

 新シーズンが始まる前に行なわれた東京カップ。新型コロナウイルス感染拡大の影響は続いており、2次戦からスタートとなった今大会。東京都社会人サッカーリーグ1部優勝チームとして出場した南葛SCは、1回戦で関東リーグ1部の東京23FCに4-2、準決勝でも同じく関東リーグ1部のTOKYO UNITED FCに1-0で勝利。2年ぶりに進出した決勝ではこちらも関東リーグ1部のCriacao Shinjukuに0-1で敗れはしたものの、カテゴリが上のチームを相手に一歩も退かず、堂々とした戦いを見せた。

「試合をするたびにコンディションが上がっていったので、リーグ戦にもつながるいい準備になりましたし、いい傾向が見られました。決勝もゴールを決めるべき時に決めていれば違った結果になったかもしれません。ただ、そこはお互いにいろいろありますから。今は試合で感じた課題や問題を改善してリーグ戦に向かっていけるように考えています」

 東京カップを終えての手応えはどうだったのか。
「新たに昇格した関東リーグ2部でも自分たちのサッカーが十分に通用する感触はある、というか、今やっていることは間違っていないという自負はあります」

 大河原新キャプテンが2018年に南葛SCに来てから昨年までの3シーズン、南葛SCは酸いも甘いも経験してきた。その過程を当事者として経験してきた言葉には重みがある。

「南葛SCには経験のある選手も多いですし、この先も勝ち上がればどんどん大きくなるチームという雰囲気があります。僕自身『キャプテン翼』を幼いころから読んでいてサッカーを始めるきっかけになっていますし、チームに入った時から魅力はすごく感じていました」

 自身、率先して騒ごうとするタイプではない。しかし下町気質であることは自覚している。
「ワイワイ盛り上がる雰囲気が好きです。だから南葛SCのある葛飾区も居心地はいいですね。僕の地元は近所付き合いが頻繁なんですけど、葛飾もチームの活動に対してみなさんがすごく協力的というアットホームな点が、形は違えど似た空気を感じています」

 毎年「南葛SC」の名前が有名になっていき、チームの規模が拡大しているのも肌で感じている。昨年関東リーグ昇格を決めた試合の後には、SNSで一時「南葛SC」がトレンド入りしたくらいだ。

「SNSの反響や、ヤフーニュースでも取り上げられるのを見ると、『キャプテン翼』のチームという時点で認知されているのは承知しつつ、そこにチームの歴史が重なっていくことで、より注目度が大きくなっていくのを感じます。その過程に関われていることは夢があって幸せなことです。と同時に、プレーする選手として責任も感じています」
 

 歴史を紡ぐ当事者としてこれまでの3年を振り返った際、「1年1年、確実に階段を上ってきている」と言い切る。

「2018年シーズンは東京都1部で優勝しましたが、関東リーグ昇格をかけた関東社会人サッカー大会で敗れました。この昇格をかけたトーナメント、僕は出場することができなくて。事前に通達はされていたのですが、一選手として悔しい思いはありました。でも、出られなかったのは自分に何か足りなかったせいだと。長いリーグ戦を守り続けることが自分の役割だったとポジティブに変換して自分を納得させました。ここで乱れてしまったら、自ら自分のやってきたことを否定することになるので」

 個人としてもチームとしても悔しいシーズンを終え、覚悟をもって臨んだ2019年シーズン。しかし、ここでも苦しみが待っていた。

「シーズン前の東京カップで決勝まで勝ち進みましたし、自信を持って臨んだシーズンでした。でも開幕戦で大学生チーム相手にまさかの引き分けで、以降大学生チームに苦手意識を持ってしまった。やることが上手くいかず、結果も伴わず悪循環に陥った中で、でも選手間でどうコミュニケーションをとっていったらいいか、学んだシーズンでもありました。最後の方はどう会話を重ねていけばいいか、みんな同じ認識を持つことができました」

 そして関東リーグ昇格を決めた2020年シーズン。印象に残っているのは関東社会人サッカー大会ではなく、東京都1部リーグ最終戦となった、アストラ倶楽部との優勝決定戦だった。

「この試合、延長になって最後はPK戦で南葛SCが優勝を決めたのですが、PKを止めて勝利に貢献できたこともありつつ、試合前からチームで取り組んできたことをしっかり出せた点が嬉しかったんです。PKの練習やトレーニングマッチでも延長戦を想定して長い時間プレーしたり。結果、体力が落ちる時間帯もありましたが、相手を圧倒できました」

 個人としてもチームとしても多くのことを経験し、毎年なにかを得てきた。その積み重ねの延長線上にある2021年。チームは今、「進化していこう」としている。

「『進化』というのは最近、監督からいただいた言葉なんですが。チームには昨シーズンからの選手が多く残り、やるサッカー自体は大きく変わりません。そこに森新監督の色が加わっていくのですが、より質と精度を上げていくことで進化していく。やはり止める、蹴る。これを大事にしてきましたが、勝つために、より表現するために、もっと精度を上げていくことを意識して練習で積み上げていっています」

 悔しい思いも、苦しい思いも、そしてもちろん成功体験も、すべてプラスに転換し、積み上げていく。大河原新キャプテンの方針を一言で表すとすれば、それは「ポジティブ」という言葉になるかもしれない。次回は、チームを前向きにする姿勢がなぜ生まれ、説得力を伴うのか。その理由を、人間性を深掘りしつつ探ってみたい。

※後編に続く。次回は4月12日(月)に公開します。

取材・文●伊藤 亮(フリーライター)

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 南葛SCをスポンサードするKLab社が、今季もコラボレーションキャンペーンを開催。南葛SCの公式戦の試合結果に応じて、同社が運営するスマートフォン向け対戦型サッカーシミュレーションゲーム『キャプテン翼 〜たたかえドリームチーム 〜』のゲーム内アイテムをプレイヤーにプレゼントする。

 プレゼント内容は、南葛SCが勝利すれば「夢球×5」、勝利以外であれば、「コイン×28,300」となっている。さらに、勝利の際は「夢球×5」に加え、南葛SCが入れた得点分の夢球も配布される。南葛SCを応援して、アイテムをゲットしよう。
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