【バイタルエリアの仕事人】Vol.4 江坂 任|日韓戦で待望の代表デビュー!「本能的にプレーしていた」アタッカーに訪れたプロ入り後の転機

【バイタルエリアの仕事人】Vol.4 江坂 任|日韓戦で待望の代表デビュー!「本能的にプレーしていた」アタッカーに訪れたプロ入り後の転機

3月の韓国戦でA代表デビューを飾った江坂。CKから遠藤のゴールを演出したアシストもマークした。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)



 サッカーにおける攻守の重要局面となる「バイタルエリア」。ゴールや失点に直結する“勝負の肝”となるスペースをいかに攻略するか、死守するかは、多くのチームにとって不偏のテーマだろう。そんな「バイタルエリア」で輝きを放つ選手たちのサッカー観に迫る新連載のインタビューシリーズ「バイタルエリアの仕事人」。第4回は柏レイソルの10番を背負い、先の日韓戦ではA代表初出場も果たした江坂任だ。

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 いまや押しも押されもせぬ柏の司令塔は、バイタルエリアを「自分にとっての生命線」と言い切る。自らが輝くために必要な場所であり、そこで躍動することこそがチームを勝たせるための近道でもあるのだという。国内屈指のアタッカーとして進境著しい28歳。まずは、デビュー戦で初アシストも決めてみせた日本代表での時間について聞いてみた。

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 日本代表では、通用する部分と「まだまだだな」と思う部分の両方がありましたが、特に「まだまだ」という点を感じられ、それを明確にできたのが大きかったですね。そこは成長につながる刺激になりました。今はまだ詳しくは言えないんですが、代表の基準という面で、まだ攻守において足りないところがハッキリしたのかなと。その基準を上げていく必要性を感じました。

 逆に通用した点で言えば、(相手DFの)間でボールを受ける、あるいは前への推進力を活かしたゴールへ向かっていくプレーは、韓国戦でもしっかり出せたと思います。初ゴールはチームメイト(キム・スンギュ)に止められて惜しくも奪えませんでしたが、古橋選手に出した2本のスルーパスなど、自分の持ち味を出せた部分もありましたね。

 同じバイタルエリアを主戦場とする選手の中では、鎌田選手は「本当にいいところにいるな」と感じましたし、大迫選手はボールの受け方、あるいはバイタルの使い方が上手い。よく大迫選手は、背負った時の強さを取り上げられますけど、背負えるだけじゃなくて、DFの間で受けることもできる。だから、ボールを失わない。そこはすごく勉強になったというか、シンプルに凄いなと感じました。

 敵の間で受けるために、一番大切になるのは認知能力ですね。相手との距離間、周りの味方との距離間、相手や味方がどんな状況でいるのか、どこにスペースが空いているのか。そういう部分を認知することが重要で、代表選手はもちろん技術も高いんですが、こういう細かな点でのレベルの高さが違いになって現われてくるのだと感じます。

 それから、レベルの高さを感じたという点で言うと、ハイレベルになればなるほどボランチやセンターバックの選手が、よく自分のことを見てくれているのを感じました。同年代の遠藤航選手や、大学時代の後輩の守田選手がいいタイミングで縦パスを入れてくれたので、そこは受けやすさもありましたし、しっかり見えているんだなと。

 やはり代表選手は、一つひとつのプレーのクオリティが高い。試合はもちろん、練習の中でもそれは感じたし、もう一度あの場所でプレーしたいなという想いは強くなりました。韓国戦もやっていて楽しかったので、またああいうトッププレーヤーの中で、自分もプレーしたいですね。
 

 昨シーズンはリーグ戦9得点・10アシストと、ゴールに直結する印象的なプレーの数々で観る者を魅了した。よりゴールという結果が求められるポジションで、江坂はバイタルエリアをどう捉えているのか。「本能的にプレーしていた」というプロ入り前から、より緻密さを追求するようになったというプロ入り後の変化について語ってくれた。

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 バイタルエリアは、自分にとっての生命線であるというか、僕が輝くために必要な場所です。攻撃側の自分にとっては、そこをいかにうまく取れるか、相手にとってはいかに取らせないか。勝負の明暗が分かれる場所ですよね。

 ただ、プロに入る前は、とにかく「プロになるために結果を残したい」という気持ちが強かったので、あまりそういうことを意識していなかったかもしれません。バイタルエリアの使い方などを考えるより、もっと本能的にやっていたように思います。

 自分がボールを受けたいところや、プレーしやすいところでボールをもらってゴールに向かう、という感じで、このスペースが空くからここに入り込んで、みたいなことを意図してプレーするよりも「ボールに触りたい、ここで受けたい、点を取りたい」という本能的な部分でサッカーをしていた気がします。

 それがプロに入って、対峙する相手のクオリティが上がり、身体の大きさも全然違ってきて、自分は真っ向勝負で勝てるような身体でもないので、スペースの使い方など、より意図した動きで崩すことを考えるようになりましたね。

 そうした面でプロ入り後に大きな影響を受けた指導者と言えば、いまヴァンフォーレ甲府の指揮を執っている伊藤彰監督で、大宮アルディージャ時代(※伊藤氏が16年にコーチ、17年に監督だった)に一緒にやっていた時に、スペースの使い方、空け方などは、かなり影響を受けました。自分がボールを受けなくても、味方を活かすスペースの空け方に関してはかなり指導されて、そこでスペースの使い方が変わりましたね。

 さっきも言ったように、プロは身体の大きさが違うし、特にJ1に行ってから感じたのですが、またセンターバックのフィジカルの強さが極端に違うんです。だから、本当に真っ向勝負では勝てないので、そこは1対1でDFが来られないポジショニングというか、相手DFと身体で勝負しないところのポジションは意識するようになりました。

 そこで意識するようになったのが、「相手の矢印」です。これも彰さんにかなり指導された部分で、大きなCBにガツンと来られるとやはりパワーで負けてしまうので、その力を上手く逃がす、利用するということ。自分に相手の矢印が向いたら、その矢印が来たところにスペースが空くからそこをいかにうまく使うか。その意識は常に持つようになりましたね。

 ただし、球際などではフィジカル勝負で負けてはいけない部分も出てきます。攻撃ではうまく剥がせればいいですが、守備面では強くいかないといけないし、仮にボールを奪い切れなくても味方のほうに誘導できるような身体の使い方は意識していますね。

 バイタルエリアでの守備に関して言うと、監督から与えられた戦術があるので自分本位だけでボールを追うことはできませんが、その中で一番やられたくない場所を考えながら守らないといけない。やはり一度バイタルの中へ効果的なパスを入れさせてしまうと、誰かがそこへ付いていくことになって、その付いていった味方のところのスペースが空くという、ギャップが生まれてしまう。そういう状況を作らない守備が必要ですね。

 ネルシーニョ監督には、「守るための守備ではなく、攻撃するための守備なんだ」とよく言われます。守備をしながら攻撃を考えろと。ボールを奪った後に、どうボールを運んで相手のバイタルを突いていくか。攻守の切り替えの意識も、さらにプロで磨かれましたね。

※後編に続く(次回は4月23日に公開予定です)

取材・構成●長沼敏行(サッカーダイジェストWeb編集部)
 

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