長谷部&鎌田を擁するフランクフルトは悲願達成なるか? 熾烈なCL出場権争いでカギを握るのは…【現地発】

長谷部&鎌田を擁するフランクフルトは悲願達成なるか? 熾烈なCL出場権争いでカギを握るのは…【現地発】

(左から)フランクフルトの鎌田、ドルトムントのハーランド、ヴォルフスブルクのヴェフホルスト。チームをCL出場に導くのは?(C)Getty Images



 第32節終了時でバイエルンの優勝は確定。2位RBライプツィヒの来シーズンのチャンピオンズ・リーグ(CL)出場もほぼ当確となった。4位以内に与えらえるCL行きチケットは残り2枚。その争いは、熾烈になってきている。

 3位ヴォルフスブルクが勝点60、4位ドルトムントが勝点58、5位フランクフルトが勝点57。勝点差3ポイント差の中に3チームがひしめいている。残り2試合で、どのようなドラマが待っているのだろうか。

 リーグ5連勝中のドルトムントはこの勢いを最後まで保ちたい。しばらくゴールから遠ざかっていたエースのアーリング・ハーランドはヴォルフスブルク戦で2ゴールを挙げて調子は上々。チームの攻守のバランスも非常にいい。そんな中で注目すべきは、アンカーとして活躍しているマフムド・ダフートだ。

 以前は鋭いプレーは見せるものの全体としてミスが多く、なかなか試合の流れに入れないところが難点だった。そんなMFにとって大きな転機となったのが、CLベスト16のセビージャ戦だ。この試合でスタメン起用されると、相手に先制を許して迎えた19分、強烈なミドルシュートで同点ゴールを決めたのだ。
 
 以降ほすべての試合でスタメンを飾り、攻守の切り替えを司る役割を果たしている。粘り強い守備でボールを奪い取り、インテリジェンスの高さを感じさせるパスを繰り出す。このままさらに成長していくことができれば、ドイツ代表への定着も夢ではない存在に変貌した。

 ドルトムントは先日、DFBポカールを制し、勢いはさらに加速している。残り2試合の相手はマインツとレバークーゼンだが、今の調子が続けば、CL出場権獲得は間違いないとみていい。

 続くヴォルフスブルクは、17節のマインツ戦から11試合でわずか3失点しかしていなかったたものの、28節のフランクフルト戦でリズムが崩れ、3-4という打ち合いの末に敗れてしまった。続くバイエルンとドルトムントには連敗し、シュツットガルト、前節のウニオン・ベルリン戦は勝利と調子はまちまちだ。

 だが、オリバー・グラスナー監督が植え付けたオートマチックさは柔軟で堅実だ。守備固めをしようと思えばがっちりと守ることができ、動きに変化を加えて自分たちから仕掛けていくこともできる。主軸にケガもなく、何よりエースFWのヴォウト・ヴェフホルストもコンスタントにゴールを積み重ねている。6年ぶりとなるCL出場を勝ち取るために、ライプツィヒ、マインツとの対戦では、粘り強く勝利を目指していくことが求められる。
 

 そして、彼らを追うのが、長谷部誠と鎌田大地が躍動するフランクフルトだ。アディ・ヒュッター監督が来シーズンからのボルシアMG指揮官就任が決まり、フレディ・ボビッチ代表取締役がヘルタ・ベルリンへ。ブルーノ・ヒュブナーSDは引退と、これまでクラブの屋台骨を築いてきた中心人物がいなくなるというニュースは、少なからずチームに動揺を与えたのかもしれない。ただ、ボビッチの後継者としてライプツィヒから新しくマルクス・クレッシェの加入が決まったことは大きな意味を持つはずだ。

 ただ、残り2試合で、クラブ史上初となるCL出場権を自力で獲得できる状況ではなくなっている。とにかく連勝することが必須となる。

 それにあたり、今シーズンでリーグ5ゴール・14アシストの鎌田、4ゴール・15アシストのフィリップ・コスティッチ、そして25ゴール・8アシストのアンドレ・シウバの3人の爆発は欠かせない。単独でもボールを運び、マークを受けてもゴール前に鋭いクロスを送ることができるコスティッチ、ペナルティエリアでの動きが秀逸で、相手DFの動きの逆を取りまくるA・シウバのポジショニングと得点力の高さは、相手チームにとって脅威だ。
 
 そんな彼らが躍動する背景には鎌田がいる。得点に絡むプレーだけではなく、決定機の前段階を生み出す、起点となるプレーを高いレベルでやり続けているのが素晴らしい。昨シーズンと比較して守備での貢献力も高く、28節のヴォルフスブルク戦での、中盤で相手ボールを奪い取り、味方のゴールに結び付けたプレーは秀逸だった。

 そして、長谷部の展開力は非常に貴重だ。攻撃的な選手が前を向いてもらえる位置とタイミングでパスを送り込む。まっすぐにドリブルで運びながら、相手がケアしづらい斜めの位置にいる味方へズバッと通すパスがとても有効に機能している。

 1試合ごとの緊張感が高まると、焦りで攻撃が前がかりになってしまうことも予想される。長谷部がゲームを落ち着け、自分達の長所を出せるようにできるかが重要なポイントになるだろう。相手は、すでに降格が決定しているシャルケとフライブルクだ。

 このCL出場権争いでカギを握るのは、マインツかもしれない。マインツは前節でフランクフルトと引き分け、直近10試合負けなしの絶好調だ。31節ではバイエルンにも2-1で勝利し、時間帯によってはバイエルンを押し込む勢いを見せた。ドルトムント、ヴォルフスブルクがともに、マインツ戦をどのような結果に持ち込めるかが、最終順位に大きな影響を及ぼすのではないだろうか。

 筆者プロフィール/中野吉之伴(なかの きちのすけ)

ドイツサッカー協会公認A級ライセンスを保持する現役育成指導者。執筆では現場での経験を生かした論理的分析が得意で、特に育成・グラスルーツサッカーのスペシャリスト。著書に「サッカー年代別トレーニングの教科書」「ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする」。WEBマガジン「中野吉之伴 子どもと育つ」(https://www.targma.jp/kichi-maga/)を運営中

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