強豪国には欧州1部リーグで活躍するFWが存在…日本代表に求められる大迫の個の進化と、後続FW陣の追い上げ

強豪国には欧州1部リーグで活躍するFWが存在…日本代表に求められる大迫の個の進化と、後続FW陣の追い上げ

今回のA代表に招集された浅野(左)、大迫(中央)とU-24に招集さた上田(右)。写真:サッカーダイジェスト



「今に限らず、ずっと代表で主力として使ってもらっている時から(自覚は)変わりはないですけどね。責任感もありますし、僕が一番前にいるので、しっかりしたプレーを見せないといけないと思ってます」

 2022年カタール・ワールドカップ(W杯)・アジア最終予選進出のかかる28日の2次予選・ミャンマー戦(千葉)を前に、絶対的1トップ・大迫勇也(ブレーメン)は最前線を担う心構えを改めて口にした。8月末からスタート予定の最終予選前最後の長期合宿で浅野拓磨以外の点取り屋を呼んでいないのだから、森保一監督の大きな期待と信頼をひしひしと感じるのも当然だろう。

 もうひとりの浅野は2年間所属したパルチザンではサイドアタッカーのポジションに入ることが多く、ゴール前に陣取ってタメを作ったり、ボールを収めたりする仕事に磨きをかけてきたわけではない。つまり、実質的な1トップは大迫ひとりと言っても過言ではない状況だ。だからこそ、彼には今回のミャンマー戦からの計5試合を有効活用し、FWとしてのベースを取り戻してもらう必要がある。
 
 というのも、今季ブレーメンではFW起用される機会が極めて少なかったからだ。「今季はチームが負けているなか、スタートから出ることは少なかった」と本人も悔しさを吐露したが、シーズン無得点に終わったのは2009年にプロになってから初めてのこと。2014年のドイツ挑戦以降は日本人ゆえの器用さが災いし、ボランチやトップ下、サイドアタッカーなど多彩な役割を課されてきたが、ゴールだけは必ず奪っていた。そんな男がゼロという数字に危機感を抱かないはずがない。まずはこの代表期間に得点感覚を取り戻してほしい。

 そのうえで、最終予選、カタールW杯を視野に入れた、さらなる個の成長に取り組むべきだ。大迫自身はブンデスリーガ2部に降格したブレーメンに残留するつもりはなく、欧州でFW起用してくれる新天地に固執している様子だ。確かに1年半後のカタール本番でベスト8の壁を超えたいと願うなら、エースストライカーがトップリーグで活躍し、結果を残すことは必要不可欠と言っていい。
 
 ロシアW杯8強国を見渡しても、ベルギーのロメル・ルカク(インテル)、イングランドのハリー・ケイン(トッテナム)、ウルグアイのルイス・スアレス(バルセロナ)など最前線のエースは超トッププレーヤーばかりだ。ロシアのアルテム・ジュバ(ゼニト)にしてもUEFAチャンピオンズリーグ(CL)経験があるし、スウェーデンのオラ・トイボネン(マルメ)も当時はフランスのトゥールーズに在籍していた。

 こうした領域に大迫が割って入るためにも、ドイツ2部に残ってFW以外のポジションでプレーすることは回避すべきだ。酒井宏樹のようにJリーグに戻る道もないわけではないだろうが、大柄かつ屈強なフィジカルを誇るDFとの駆け引きや間合いなどは日本ではなかなか体感できない。日常的にそういう環境でプレーしていなければ、W杯の舞台で大活躍するのは困難だ。大迫自身もケルン時代にタフな環境でプレーしたからこそ、今のような余裕と落ち着きを手に入れた。そうした経験を踏まえても、やはり欧州に残留し、もう一段階ステップアップする道を歩むべきだ。
 
 そういった理想的な新天地を見出すためにも、6月のジャマイカ・セルビアとの親善試合を大事にしたいところ。とりわけ、セルビアはドラガン・ストイコビッチ監督就任直後の日本遠征ということでメンバー的にも期待が持てる。DFのステファン・ミトロビッチ(ストラスブール)や二コラ・ミレンコビッチ(ストラスブール)は欧州5大リーグでフル稼働していて、大迫が腕試しするには十分な相手。そこでターゲットマンとしても得点源としてもワールドクラスであることをアピールし、浮上のきっかけを掴むことが肝要ではないか。

 絶対的1トップの大迫がより高い領域に突き進むことは日本代表にとっても大事だが、彼を追う人材にも出てきてもらわなければ、森保ジャパンはこれからも選手層の薄さに悩見続けることになる。そこで期待されるのが、今季セルビアリーグで18ゴールを叩き出した浅野。彼には磨き上げた決定力をいかんなく発揮し、大迫とは異なる色を出せる点を示してもらう必要がある。
 24日から千葉で始まった日本代表合宿のトレーニングを見ると、浅野はシュートの迫力・精度ともに向上した印象を残した。ただ、それはクロス&シュートや3対3+GKといった練習中の話で、実戦になればプレッシャーもインテンシティも違ってくる。

「チームとの契約解除があってからは公式戦には出ていない。試合の感覚は取り戻していかないといけない」と本人も危機感を募らせる。彼に関しても大迫同様、最適な移籍先を探さなければいけない立場。目標である5大リーグ復帰を実現させるためにも、このシリーズで見る者を驚かせるレベルの爆発的成長を見せてほしい。

 彼ら2人以外のFW候補はU-24日本代表の面々だが、やはり大迫のバックアップに一番近いのは上田綺世(鹿島)か。2019年にはコパ・アメリカ(ブラジル)やE-1選手権(釜山)で招集したことからも、森保監督の期待の大きさが窺い知れる。当時に比べるとゴール前での落ち着きやフィジカルコンタクト、DFとの駆け引きなどFWとしての総合力は格段にアップしているのは確か。
 
 とはいえ、ケガなども災いし、現時点ではまだ鹿島の絶対的エースになり切れていない。目の前のハードルを超え、U-24代表でもファーストチョイスにならなければ、大迫に肩を並べることはできない。彼にはそこを見据えて今回の代表活動に取り組んでほしい。もちろん、それ以外の林大地(鳥栖)、前田大然(横浜)、田川亨介(FC東京)にも世界基準のプレーを強く求めたい。

文●元川悦子(フリーライター)
 

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