U-24日本代表、守備陣の安定感がもたらした“攻撃の余裕”。相馬の4点目は理想的で素晴らしいゴールだ

U-24日本代表、守備陣の安定感がもたらした“攻撃の余裕”。相馬の4点目は理想的で素晴らしいゴールだ

U-24ガーナ代表に6ゴールの完勝を収めたU-24日本代表。大量得点の背景にあるのは…。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)



 6-0の快勝――。

 しかし、選手は誰ひとり、満足しているような笑みは見せなかった。

 U-24ガーナ代表は、東京オリンピック・アフリカ予選4位で、力はあるのだろうが、40時間をかけてやってきて中2日での試合。序盤から動きが重く、局面の強度は先日のA代表の半分もなかったのではないだろうか。球際は緩く、センターラインを越えてもプレッシャーがほとんどないので、日本の選手は悠々とボールを持ち、立ち上がりからゲームをコントロールしていた。

 先日のA代表との試合は3失点。時間帯、やられ方が非常に悪く、印象的には守備に大きな課題があったように見える。確かにポジショニングのミスや球際での戦いに負けていたことで劣勢になり失点を重ねたが、個人的にはそういう状態でもどうやって1点取るのかを見ていた。しかし、パスの出どころを抑えられ、厳しいチェックを受けて安定して前にボールを供給できず、連係が遮断され、繋がらなくなった。そういう時、がむしゃらにドリブルするような選手がいれば面白いのだが、三笘薫の起用は据え置かれた。

 ガーナ戦はOAが入り、守備は間違いなく安定する。そのなかで、いかにしてゴールを奪うのか。どう攻撃を組み立てていくのか……。
 
 U-24日本代表は、A代表と基本的には同じスタイルだが、選手が異なれば攻撃の型も異なる。この試合のFWは上田綺世だったが、大迫勇也のように中央でしっかりと収めて落とすポストタイプではない。上田は左右に動いてボールを受け、周囲を活かすスペースを作り、久保建英や堂安律らにそのスペースをうまく利用させて攻撃を演出するプレーをしていた。それがうまくハマっていた。

 久保、堂安との距離感も程良く、よどみなくプレーしており、とりわけ右サイドバックの酒井宏樹が加わった攻撃は、かなり迫力があった。ボールを失ってもすぐに取り返してショートカウンターに繋げ、セカンドボールの収集率も高く、2次、3次と連続攻撃が可能になっていた。

 ただ、本大会の対戦相手であるメキシコ、フランスは、言葉は悪いがこの日のガーナよりも質が高く、強い。今回の試合のように一方的にボールを握ってという展開はほぼなく、むしろ押される展開で我慢の続く時間が増えるだろう。そういう時、また一進一退の攻防が続いてなかなか攻撃の形が作れない時、鍵を握るのがセットプレーであり、縦パス1本でシュートに繋げるシンプルな攻撃だ。ロンドン五輪もリオ五輪も得点や決定的なシーンが生まれたのはカウンターや1本の縦パスからだった。
 

 そういう意味では48分、相馬勇紀が決めた4点目は、非常に理想的で素晴らしいゴールだった。吉田からの縦パスを中に入った堂安が受け、そのまま縦パスを相馬に流し、ゴールを決めた。それまでサイド攻撃で相手の目をサイドに広げ、中が緩くなったところを吉田と堂安が感じて縦パス2本で決めた一撃必殺だった。どんなに相手が弱くてもイメージを形にすることが大事なので、本番に向けて良いシミュレーションになったはずだ。ロンドン五輪時の得点源である清武弘嗣→永井謙佑のホットラインを思い出した。

 前線の選手が軒並み得点を決めてアピールし、士気は高まっただろう。ただ、これだけ攻撃陣が力を発揮できたのは、守備が安定していたからにほかならない。守備の安定感がどれほど攻撃陣に好影響を及ぼすのか。

 ロンドン五輪の時、現地でOAの吉田と徳永悠平とともに練習試合をこなした後、清武は「麻也さん、悠平さんが入って最終ラインが安定して、(鈴木)大輔も短い間にすごい成長している。これだけ守備が安定していれば俺らは気持ちよく攻撃に集中できる。こういう安心感があるというのはすごくでかい」と話をしてくれた。
 
 五輪のような国際大会で守備が重要なのは言うまでもないが、その安定感は攻撃の選手にとって大きな心のよりどころになっていた。清武は1トップの永井にいかに良いパスを出すのか。そのことに集中し、結果を出し、チームは4位にまで駆け上がっていった。

 今回、最終ラインの吉田、冨安健洋、酒井宏樹、ボランチの遠藤航の守備陣はガーナ戦、非常に安定していた。彼らの声掛けは、選手の気持ちをクールにも熱くもさせた。カウンターや攻守の切り替えが少し遅れてもなんとかしてくれるという安心感、信頼感があるから前線の選手は思い切って攻撃に集中できる。その余裕度が攻撃陣の力を引き出すことになる。もちろん、本大会ではもっと強度もスピードもある選手が相手になるが、海外のクラブでレギュラーとして戦ってきた彼らが頼りになるのは間違いない。

 選考マッチが続くが、ガーナ戦でチームのファーストセット、交代選手のファーストチョイスが見えた。次のジャマイカ戦、どういうセットで戦うのか分からないが、堂安、久保、上田、相馬の一発や、ダイレクトで繋げて決めた三笘のゴールのように多彩な攻撃を実現し、結果に繋げてほしい。それが本大会での攻撃の余裕度に繋がり、良い結果を生むベースになる。

取材・文●佐藤 俊(スポーツライター)

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