注目すべき34分のシーン。頼れるOA組は、機を見て攻撃にアクセントや迫力を加え、チームを活性化

注目すべき34分のシーン。頼れるOA組は、機を見て攻撃にアクセントや迫力を加え、チームを活性化

高い位置で回収して二次攻撃につなげることでガーナを追い込む。そこでも酒井は目立っていた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)



[国際親善試合]U-24日本 6-0 U-24ガーナ/6月5日/ベスト電器スタジアム

 ガーナの強度が想定より高くなかったことを差し引いても、やはりオーバーエイジの存在感は頼もしい限りだった。3人が選ばれるまではオフェンシブなポジションの候補も挙がっていたが、良い意味でどっしりとした安定感を見ると、バックラインに吉田麻也と酒井宏樹の二人、さらにボランチに“デュエル王”こと遠藤航を選択した効果は大きい。

 戦術的な話に行く前に、この試合でチームが最も注意したのは試合の入りだった。2日前のA代表との試合で開始2分にセットプレーから失点。その時点でペースをA代表に持っていかれてしまった。

 前日は札幌からの移動トラブルで足止めとなったが、その場で横内昭展監督が待合室のテレビを使った緊急ミーティングを行ない、本番の初戦で、ああいう時間帯に失点してはいけないと強調していたが、そういうところでも経験豊富な選手たちがいるのは大きい。

「1点目みたいな失点をすると大会自体が終わってしまう。うまくゲームに入る、勢いに飲まれないために精神的にコントロールする必要がある。意識して入りを大事にしていきたい」

 オーバーエイジの一人である吉田はガーナ戦を前に語った。ただ、突然決まったA代表との試合からのガーナ戦、さらに移動トラブルで、全体練習は一度もしていないという状況で、オーバーエイジとのプレーはぶっつけ本番に近い状況だった。

 キックオフして最初はガーナが勢いよく来ようとしたが、U-24日本代表は一度攻撃を止めると、1分ぐらい後ろでつないで、そこから吉田の最初のフィードが前線の上田綺世に出たのは1分13秒ほどだった。

 最初のビッグチャンスは4分、左CBの冨安健洋から久保建英を裏に走らせるボールが出ると、一度はガーナのディフェンスに拾われるも、すぐに久保、上田と鋭いプレッシャーをかけてボランチの田中碧が奪い返し、パスを受けた相馬勇紀がシュートに持ち込もうとするも、ディフェンスに引っ掛けられた。

 しかし、そこから日本は相馬が即時奪回のハイプレスをかけると、後ろにこぼれたボールを中盤で遠藤が拾い、田中を酒井が右から追い越して危険な位置でクロスに行きかけるなど、完全な日本ペースに持ち込むかに見えた。

 ただ、その流れで酒井が「1回抜かれたので、1回も抜かれないように、そういう完璧を求められる立場だと思うので、そういう意味ではまだまだ完璧を追求していかないといけない」と振り返るシーンが起きた。

 酒井を破って左サイドでスピードに乗るブカリを止めたのはボランチの遠藤だった。遠藤に回り込まれたブカリはインサイドに活路を見出そうとするが、そこに待ち構えた田中がカットした。
 
 そこから攻撃を続ける日本はガーナ側にボールを奪われても、すぐに高い位置で回収して二次攻撃につなげることでガーナを追い込んだ。そこでも目立っていたのは酒井で、少し前に突破されたシーンを引きずることなく前目のポジションで堂安律、久保、田中が絡むチャンスメイクをサポートし、味方がボールを失った瞬間にプレッシャーをかけた。

 さらに日本が前向きに高い位置を取るためのベースを作っていたのが遠藤であり、日本がボールを持っている時の田中はボランチより、所属の川崎フロンターレと同じインサイドハーフと言えるようなポジションで2列目の堂安と久保と近い距離のパスで絡んだ。

 酒井によると試合前から左の中山雄太とは「なるべくSBがサイドハーフを下げないように」と話し合っていたという。中山も大外の後方に構えるだけでなく、左サイドハーフの相馬が大外に開けばインサイドの前目に移動したり、常に斜め後ろにポジションを取るようにしていた。

 U-24世代のリーダー格である中山はA代表でもあり、冨安とともに、オーバーエイジに次ぐ経験を持っている一人だが、目立たないながら優れたバランスワークを発揮していた。

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 もう1つ、目についたのはCB二人のライン設定で、パスミスをカットされたところから破られない限りは、守備時もセンターサークルのすぐ手前ぐらいまで押し上げて維持していた。日本と同じ4-2-3-1を採用するガーナの1トップを担うジャバーは183センチだが、あまり後ろからロングボールを当てることをしてこないため、日本としてはやりやすかったのもあるが、後ろの落ち着きと前の積極性がリンクしていた。

 先制点は中盤の空中戦に遠藤が競り勝ったところから上田がポストに入り、そこから堂安の斜め前へのパスを久保が受けて、シュートの跳ね返りを堂安が見事な左足ボレーで決めたが、短い攻撃時間で上田、相馬もボックス内に入ってきていた。

 その後ガーナも反撃に出たい姿勢を見せるが、日本は遠藤を中心にどんどんボールを奪って縦につけていくため、反撃の波に乗れなかった。

 日本の攻撃のリズムが上がっていくなかで、なかなかゴールは生まれなかったが、31分には吉田、酒井、遠藤というオーバーエイジのパス交換を起点に2列目の堂安につけたところから久保、上田とつないで久保が中央から左足で追加点を決めた。

 そこからオウンゴールで3点目を奪い、後半にも相馬、上田、終盤には途中投入の三笘薫が待望のゴールを決めてアピールしたが、注目したいのは34分のシーンだ。右で堂安がボールを持ち、久保がさらに外側にポジションを取ることで中にスペースが生じていたが、酒井が後方から一気に二人を追い越して、そこにディフェンスが引っ張られ、堂安は中央の上田にパス。そこに走り込んだ遠藤が受けて右足でミドルシュートを放った。惜しくもGKエッスの好セーブにあったが、攻撃に大きなアクセントを生むアタックだった。

「彼らのストロングを出し続けられるようにするのが僕の役目だと思うので、逆に弱いところは僕が守って、そこが僕のストロングだと思うので。逆に僕の弱いところを彼らが持っている。テクニカルな部分だったり。それがチームだと思う」

 そう酒井が語るように、CBの吉田を含むオーバーエイジの3人は基本的に若い選手たちを支えながら、彼らに気持ちよく良いプレーをさせることを心がけているようだが、機を見て攻撃にアクセントや迫力を加えていくことで、チームがさらに活性化されて、相手にも脅威になる。そうした効果も大いにありそうだ。
 
 結局、6人が交代し、A代表の主力である冨安も板倉滉に代わったなかで、フル出場したのはオーバーエイジの3人とボランチの田中、GKの谷だった。そういう意味でも多くのU-24の選手がオーバーエイジと一緒にプレーして頼もしさを肌身に感じたはずだ。

 もっとも、6-0という大勝に終わったものの、日本のミス自体は多かったし、連係面も即席感は否めなかった。ここから12日のジャマイカ戦を経て、いよいよ最終メンバーが決まってくるが、新しい組み合わせがテストされることも想定されるなかで、さらにコミュニケーションを取ってチームとしてベースアップするとともに、U−24の選手たちには悔いの無いアピールをしてほしい。

取材・文●河治良幸

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