金田喜稔がセルビア戦を斬る!「切り替えの速さ、強度、予測。妥協なき守備の厳しさを改めて確認できた」

金田喜稔がセルビア戦を斬る!「切り替えの速さ、強度、予測。妥協なき守備の厳しさを改めて確認できた」

1秒でも早く確実に奪い切ろうとする。日本は全員が高い守備意識でプレーしていた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)



 セルビア戦で日本は伊東の1点を守り切り、1-0で競り勝った。

 ヨーロッパのチームとの対戦は、ロシア・ワールドカップのベルギー戦以来。まずは、このコロナ禍で日本に来てくれたことはもちろん、試合の開催に尽力してくれた人たちに感謝したい。

 内容に関しては、勝利したとはいえ、いつもよりパスが通らない、相手に引っ掛かる場面が目立っていた。

 アジア勢と比べて、ヨーロッパの選手たちはリーチが違うから、難しい部分があったのかもしれない。でも、日本のスターティングメンバーには8人の欧州組が名を連ねた。ある意味、感覚的にも普段からやり慣れているはずの相手に対し、パスがカットされる。そこは少し気になった。

 3バックの相手に対する攻撃も、今一つだった。どこを攻めるべきか。両ワイドが下がって5バック気味になれば、中盤にスペースが生まれるから、そこを有効活用すればいい。両ワイドが上がれば、狙うのはその背後。そこを意識した攻め方が少し物足りなかった。

 ワイドの裏を取れば、CBがつり出される。その時に、たとえば鎌田や南野がダイアゴナルの動きでえぐって縦パスを引き出すとか。相手の守備陣形の崩し方で、もうひと工夫が欲しかったのが正直なところだ。
 
 もっとも、試合全体を見れば、日本が主導権を握り続けていたわけではないけど、局面での勝負を含めて、日本が上回っていたゲームだったと思う。集中力は最後まで切れず、致命的なミスもない。リードをしっかりと守り切る。非常に良い勝ち方だった。

 個で見れば、後半からの投入で代表デビューを飾ったオナイウは良いアピールができたはず。彼は前線でしっかりとボールを収めることができる。身体が強くて、相手を背負っていてもキープできるし、味方につなげられるし、自分で前も向ける。

 本人にとっても自信になったんじゃないかな。実際にゴールネットを揺らす場面もあった。でも残念ながらオフサイドの判定。真横から見たわけじゃないからなんとも言えないが、あれはオフサイドではなかったと思う。1点決めていれば、最高のデビュー戦だったんだけど……。その奮闘ぶりを考えても、取らせたかったね。
 

 オナイウだけでなく、日本の選手たちはタフに戦い、ハードワークをこなしていた。森保監督が求めてきたものを、この試合でも十分に表現していた。

 果敢に攻める姿勢は当然として、強調したいのは、奪われた後のアクションだ。攻撃から守備への切り替えの速さと強度。そのレベルは格段に上がっていると思う。

 日本からボールを奪ったセルビアの選手たちが攻撃に出る――パスを出そうとする、周りはポジションを取ろうとする。それよりも、日本の選手たちが速く動き出す。相手が何かをしようとする時間を少しでも与えないようにする。アイデアを出させない。

 守田や橋本が身体を張る。伊東や鎌田がプレスバックする。彼らだけでなく、全員が高い守備意識でプレーしていた。

 ただ単に切り替えるだけでなく、すぐ寄せられる距離にいる。それは守備になった時を予測しているからこそ。なんとなく守備をしてします、ではない。1秒でも早く確実に奪い切ろうとする。交代出場の選手たちの寄せ方を見ても、それは変わらない。誰もサボらない。近い距離で守れる。そして球際でハードに戦う。

 守備に切り替わった時の相手との距離感だったり、ポジショニングは、分かりにくい部分だし、小さなことかもしれない。でも、その一つひとつの積み重ねが、結果的には無失点という成果として表われる。
 
 寄せ方が甘ければ、それは相手にとってプレッシャーにもならない。パスをつなぐ、サイドチェンジを出す、クロスを入れる、決定的チャンスを作る。そうした余裕を与えることになってしまう。

 セルビア戦では、ピンチらしいピンチは前半にひとつあったぐらいで、それ以外はほぼ自由にやらせなかった。自陣ゴール前まで簡単に運ばせなかった。

 いかに効果的に身体をぶつけるか。そのためにはどれぐらいの距離で準備しておくのか。妥協なき守備の厳しさを、改めて確認できたゲームだった。

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