オナイウ、坂元、川辺ら躍動した遅咲きの“ニューフェイス” 全力で2ケタ得点を取りに行くなら…

オナイウ、坂元、川辺ら躍動した遅咲きの“ニューフェイス” 全力で2ケタ得点を取りに行くなら…

日本はキルギスに5-1の快勝。国内組の活躍が目立つゲームとなった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)



 森保一監督をはじめ代表スタッフは、キルギスを「2次予選の同じグループの中では最も強い相手」と言って選手を送り出したという。

 確かに守田英正がドリブルでかわされ、後追いの末にPKを与えてしまったグルジギト・アリクロフやミルラン・ムルザエフは質の高いドリブルなどの武器を持っていた。だが総体的には、J1より緩い試合である。しかも恒常的に日本代表でプレーをしていないJリーガーの情報は、ほとんどキルギス側には伝わっていないはずだ。思う存分特徴を活かし次々にチャンスを創出した坂元達裕を筆頭に、ハットトリック達成のオナイウ阿道、見事なアシストをした川辺駿や古橋亨梧らは、間違いなく通常のリーグ戦よりプレーを堪能できたに違いない。彼らはチームに戻れば、当然エース級で対戦相手はスカウティングを重ねて対処してくる。それに比べれば、日常よりレベルの落ちる初対面の相手を手玉に取るのは、難しいことではなかった。
 
 オナイウは言った。

「マリノスで競争して試合に出て結果を出している。チームでやれていることを発揮したのが良かったのだと思う」

 むしろ彼らが刺激を受けたのは、欧州組と鎬を削るトレーニングだったようだ。

「代表に来るボランチの選手たちは身体的に強い選手が多い。そこをスタンダードに引き上げ、さらに長所を磨きたい」(川辺)

「トレーニングでも勉強になることが多く、意識して欧州組との強度の差を埋め、もっとやり切るプレーを増やしたい」(坂元)

 現時点ではキルギス戦に出場した中から、最終予選のスタメンを勝ち取れる選手を発掘するのは難しい。下の世代の五輪候補も合わせれば、同じポジションで3から4番手に回る選手が多いはずだ。だが反面、何人かはなんらかのきっかけ次第で、入れ替われる可能性も感じさせた。ラージグループに入り今回招集された選手たちは、単純にスタメン組と同タイプで序列が落ちる2から3番手ではなかったからだ。
 

 オナイウは国際試合でのポストワークを比較すれば、まだ大迫勇也に及ばないだろうが、所属チームではレベルの違いはあっても、同じポジションでコンスタントに試合とゴールを重ねている。堂安律、久保建英、三好康児とライバルが目白押しのレフティの右サイド枠だが、坂元の仕掛けやチャンスメイクは異質の効果をもたらす可能性を見せた。あるいは右SBでは、酒井宏樹、室屋成に次ぎ3番手と目される山根視来も、対戦相手や局面次第では面白い選択肢になるのかもしれない。また小川諒也は「状況判断を速くミスを出さない」という課題を克服すれば、左SBでは貴重なレフティとして長友佑都の座を脅かしても不思議はない。
 
 今回のシリーズでは、U-24代表と日程が重なったおかげで何人ものニューフェイスが代表戦を経験した。だがこうして日本サッカーが底上げされ、遅咲きの多彩なタレントが増えている現状を踏まえれば、もっと意図的にこういう機会を設けていく必要がある。実際キルギスより力が劣るモンゴルやミャンマーとの試合に全力で2ケタ得点を取りに行くなら、別の人選を考えるべきだ。成功体験が有意義なのは、適切なプレッシャーのもとで行なわれた試合に限る。層が厚くなった今だからこそ、なるべく多くの選手に代表の重みや刺激を経験させた方がいい。

 欧州から戻ったスタメン組には物足りない試合ばかりだった。だが最終予選だけではなく、近い将来を睨んだ強化のためには、有意義な代表活動だった。ここで刺激を受けたラージグループの中から、ひとりでもふたりでも大化けする選手が出てくれば大成功になる。

文●加部 究(スポーツライター)

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