次の段階へ進みつつあるA代表に比べ、U-24代表は幼い…。6月シリーズで見えた両者の埋め切れない差とは?

次の段階へ進みつつあるA代表に比べ、U-24代表は幼い…。6月シリーズで見えた両者の埋め切れない差とは?

A代表、U-24代表合わせて計7試合を行なった6月シリーズで見えたものとは。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)



 A代表、U-24代表を合わせて7試合を行なった6月シリーズ。最大の発見と言えるのは、「やっぱりA代表は強かった」という事実ではないだろうか。

 当然ながら選手の質が違うし、チームの完成度も違う。3月に行なわれたワールドカップ2次予選・モンゴル戦では、A代表は途中から4-3-3のシステムに変え、鎌田大地と南野拓実を2シャドー(インサイドハーフ)に並べる布陣を試した。その意図を当時、森保一監督は「新たなオプション」と説明していたが、おそらくそれは、「この試合は4-2-3-1で行く」「後半は4-3-3で行く」といった単純なシステム変更を意味するわけではない。

 この6月の数試合、A代表の主力が出場したミャンマー戦、U-24代表戦、セルビア戦などを見ると、鎌田と南野は、近いポジションで連動のスピードを上げ、ワンタッチで崩す連係プレーが光った。日本のシステムは4-2-3-1だが、南野が中へ入り、ほぼ鎌田と並ぶようになって、動的に4-3-3に近い配置を作りながら、コンビネーションを加速させた。あるいは、ダブルボランチから守田英正がライン間へ潜って鎌田と同じラインに並び、一瞬、そのまま4-3-3に見える形もあった。
 
「オプション」の意味は、静的から、動的へ発展する。

 最初は監督から形を指示され、その通りに並んでプレーした。しかし、次の活動機会では、そのアイデアを発展させていく。システムは4-2-3-1を使うとか、使わないとか、それはもはや大した問題ではなく、試合中に立ち位置をずらし、動的に、より柔軟に、その形を使っていく。それが「オプション」の真意だろう。監督が指示するシステム変更ではなく、ピッチ内の連係、連動で、試合の問題を素早く解決する。A代表は昨年秋の欧州遠征以来、サッカーが次の段階へ進みつつある。
 

 逆にU-24代表、あるいはA代表でも新顔の割合が増えると、なかなか同じようにピッチ内で解決することは難しかった。

 U-24代表のジャマイカ戦は、ボール保持のバランスの悪さを3バックへの変更で解決したし、A代表のサブ組を中心としたキルギス戦も、5バックで守る相手の立ち位置をずらす組織的な連動は乏しかった。どちらも大量点は奪ったものの、組織的かつ主体的に崩すというより、個で押し切るか、相手の緩さを突く得点が多かった。チームの完成度としては、2019年アジアカップを終えた頃のA代表に近い。

 A代表サブ組については、そもそも一緒にプレーした機会が少なすぎるし、その11人で大事な公式戦に挑むわけでもないので別に構わない。だが、1か月後に本番を迎えるU-24、五輪代表にとっては大きな課題だ。たとえば昨秋のA代表のカメルーン戦のように、3枚回しへのビルドアップ変化に戸惑い、組織的にびっくりしたままで1試合、あるいは前半を終えてしまう恐れはある。
 
 その辺り、おそらくU-24代表は3バックを併用しつつ、最終的にはシステム変更によって試合を乗り切る算段があるのだろう。しかし、その監督のウエイトが大きくなる戦い方は、五輪段階では仕方ないとしても、W杯を見据えた最終的な理想とは言えない。U-24代表の選手たちは、五輪の後はW杯を目指すことになる。よりハイレベルな舞台では、チームに対して戦術的にもマネージメント的にも、主体的にアクションを起こせる選手、その知性を持つ選手が重要性を増していく。それはオーバーエイジ3人の姿からも伝わるはずだ。

 A代表に0-3で完敗した結果はもちろん、オーバーエイジが加入してU-24代表がガラリと変わり始めた様子、あるいはゲーム運び、修正力など、A代表とU-24代表の差は至るところにある。比較すれば、やはり幼い。U-24代表はもうアンダーカテゴリのチームではない、もうひとつのA代表だと、森保監督や反町康治技術委員長は言うけれど、個人的には充分、世代別代表らしいチームに見えた。

 過去の五輪代表に比べれば、間違いなく完成度は高いが、金メダルを本気で考えれば、今のままでは足りない。18人の本登録メンバー、あるいは4人の予備登録メンバーに選ばれたら、本当に「もうひとつのA代表だ」と、誰もが認めるプレーを見せてほしいところだ。

取材・文●清水英斗(サッカーライター)

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