【日本代表】6月シリーズで序列を上げたのは誰? 国内組が最終予選で重要戦力となる可能性も

【日本代表】6月シリーズで序列を上げたのは誰? 国内組が最終予選で重要戦力となる可能性も

キルギス戦のスターティングメンバー。6月シリーズでは、多くの国内組がテストされた。写真提供:JFA



 6月15日の2022カタール・ワールドカップ(W杯)アジア2次予選・キルギス戦(吹田)を最後に、3週間超に及んだ5・6月シリーズが終わった。A代表は5月28日のミャンマー戦(千葉)から5試合、U-24日本代表も6月3日のA代表戦を含めて3試合を消化。海外組・国内組に関わらず幅広い戦力と組み合わせ、フォーメーションをテストすることができた。

 特に大きな収穫を挙げるとすれば、大迫勇也(ブレーメン)の代役候補にオナイウ阿道(横浜)が浮上したことだろう。森保一監督は今回、A代表で浅野拓磨、古橋亨梧(神戸)を最前線でテストしたが、ターゲットマンタイプではない彼らではボールが収まらず、攻撃の組み立てがスムーズにいかなくなった。

 そんな中、異彩を放ったのが、7日のタジキスタン戦(吹田)前に追加招集されたオナイウだ。11日のセルビア戦(神戸)で途中出場した彼は、大柄で屈強な相手DF相手にひるむことなくボールを収め、起点を作った。
 
「相手が引いた試合でFWがポストプレーでタメを作ってくれれば後ろの選手もすごく助かる」と長友佑都(マルセイユ)も絶賛。大ベテランの発言に背中を押されたのか、キルギス戦でもターゲット役をこなしつつ、ハットトリックを達成。大迫不在を感じさせない仕事ぶりを見せたのだ。

 最終予選以降の1トップに関しては、U-24の上田綺世(鹿島)も有力候補。彼らがJリーグで鎬を削り、最終予選の枠を競うのは代表にとって前向きな形。2人の台頭に浅野や今回未招集の鈴木武蔵(ベールスホット)らも刺激を受けるはず。そうやって選手が厚くなれば、前々から問題視されてきた大迫依存状態からの脱出も見えてくる。その一歩を踏み出せたのはいいことだ。

 また2列目のアタッカー陣は伊東純也(ゲンク)、鎌田大地(フランクフルト)、南野拓実(サウサンプトン)のトリオが現段階のファーストチョイスであることが改めて明確になった。今後はそこにU-24の堂安律(ビーレフェルト)と久保建英(ヘタフェ)が絡む構図になりそうだ。

【PHOTO】A代表初ゴールから前半だけで圧巻ハットトリックを達成!オナイウ阿道を特集!

 実力者が揃う2列目で、少し気になったのが原口元気(ウニオン・ベルリン)。「今回は生きるか死ぬかの覚悟でやる」と凄まじい覚悟で挑んだキルギス戦ではトップ下にトライ。攻撃のつなぎ役を担い、オナイウの3点目につながる小川諒也(FC東京)への展開を見せるなど新たな原口像を示したが、シリーズ全体としてはやや鋭さを欠いた印象もあったからだ。
「クラブでトップ下、代表でサイドをやるのでは体力的に違う部分がある。コンディショニングを考えなければいけない」と本人も神妙な面持ちでコメントしていたが、多彩なポジションを柔軟にこなせなければ今の代表は生き残れない。キルギス戦でスピード系の浅野が左サイドでいい味を出していたこともあるだけに、原口がこの先、どういう立ち位置になっていくか注視すべきだろう。

 その原口を含めて、2列目の面々はいずれも来季クラブでの動向が不透明だ。伊東、鎌田、南野はいずれも移籍の可能性があるし、堂安と久保、浅野もどこでプレーするか決まっていない。原口もウニオンではトップ下が主戦場になる見込みだが、過去にはボランチやトップ、サイドバックまでやった経験があり。新天地での扱いが読めない部分もある。未知数な要素の多い欧州組を補完する意味でも、やはり国内組には一層の飛躍が求められるところ。今回、存在感を高めた古橋には、大きなチャンスがありそうだ。
 
 ボランチに関しては、遠藤航(シュツットガルト)がU-24に参戦するなか、守田英正(サンタ・クララ)、橋本拳人(ロストフ)、川辺駿(広島)の誰が抜け出すかが注目された。そこで意外なほどのインパクトを残したのが川辺だ。欧州組ほどのアグレッシブさやパワーはないものの、周りをうまく使いながら緩急の変化をつけ、自身も機を見て3列目から飛び出したり、ドリブル突破を見せるなど、幅広い能力を示したのだ。

 広島の大先輩・青山敏弘が28歳で参戦した2014年ブラジルW杯で「この年齢で世界のレベルを知るのは遅すぎる」と号泣したことがあったが、25歳の川辺も世界基準に適応するにはギリギリの年齢。ここで代表定着し、最終予選の修羅場を経験できれば、2020年カタールも見えてくる。

 守田と橋本は欧州で試合に出ているレベルの強度や球際の激しさは示したものの、安定感の面では課題が残った。そこは、どの環境にも瞬時に適応し、統率力を発揮できる遠藤航との違いだ。期待値の高い守田がそのレベルに達するには少し時間がかかりそうだ。最終予選前には柴崎岳(レガネス)の代表復帰もあり得るだけに、まずは所属先で高いパフォーマンスを見せ続けるしかない。来季はスタートダッシュを求めたい。

【PHOTO】Aマッチ初ゴールを決めた橋本拳人&川辺駿

 守備陣に目を向けると、森保監督が2019年アジアカップ(UAE)から重用してきた酒井宏樹(浦和)、富安健洋(ボローニャ)、吉田麻也(サンプドリア)、長友の4バックの位置づけは依然として不動と言っていい。右サイドバック(SB)は酒井宏樹のJリーグ復帰もあって今後は少し混とんとするかもしれない。室屋成(ハノーファー)、山根視来(川崎)のさらなる進化次第では、序列が微妙に変化することもありえそうだ。

 センターバック(CB)もフランスに赴いた植田直通(ニーム)とU-24の板倉滉(フローニンゲン)が着実に成長。円熟味を増した国内組の谷口彰悟(川崎)も現時点で2018年ロシア組の昌子源(G大阪)より序列的に上と見ていい。足りないのは国際経験だが、来週から始まるアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)などで最終予選基準の相手とは対峙できるはず。その貴重な場を生かすことが、代表定着のポイントになる。昌子や中谷進之介(名古屋)についても同じことが言えるだろう。

 左SBは佐々木翔(広島)や小川が何度か試され、得点やアシストという明確な結果も残したが、世界基準を考えるとまだまだ長友に頼らざるを得ない。U-24の旗手怜央(川崎)は守備の不安があり、中山雄太(ズウォーレ)は逆に攻撃面が見劣りするため、すぐに最終予選でフル稼働させられる状態ではない。周囲への影響力含め、長友は今のチームに不可欠だ。ただ、彼も来季の去就が定まっておらず、今の状態を維持できる保証はない。どの選手も決め手に欠くのが実情だ。
 
 GKについても権田修一(清水)、川島永嗣(ストラスブール)、シュミット・ダニエル(シントトロイデン)の3枚のサバイバルが今後も続きそうだ。国内組の権田がトップの立場を死守するためには、Jリーグで圧倒的なパフォーマンスを見せ続けるしかない。今後も強い危機感を持って取り組むべきだ。

 このように、最終予選もこれまでの主力を軸に戦うと見られる。が、欧州組を取り巻く環境の変化、コロナ感染状況次第では国内組の新戦力が重要な役割を担うケースも出てきそうだ。何が起きてもいいような態勢を整えておくこと。それを森保監督と選手たちには強く求めたい。

取材・文●元川悦子(フリーライター)

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