アピール度という基準で谷口。久保は周囲も自分も輝かせた【日本代表&U-24代表の6月シリーズMVPは?】

アピール度という基準で谷口。久保は周囲も自分も輝かせた【日本代表&U-24代表の6月シリーズMVPは?】

CBほか、ボランチやアンカーというオプションも。複数のポジションをこなせるのも谷口の強みだ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)



 A代表に関しては、最終予選で誰が中心として頼りになるかという基準で言えば、真っ先に鎌田大地など欧州組が挙がる。特に鎌田に関しては主力なので“殿堂入り”ということで、アピール度という基準で谷口彰悟をA代表のMVPに挙げたい。
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 谷口は2017年のE-1選手権で国内組の中でも能力を発揮できず、そこから自チームで良いパフォーマンスを見せてもなかなか呼ばれない時期を過ごしてきた。それだけに期するものがあっただろう。吉田麻也と冨安健洋というセンターバックの主力二人、さらにミャンマー戦に先発した板倉滉がU-24代表に回った状況で、大津高の後輩でもある植田直通と組み、A代表の選手らしいクオリティを証明した。

 U-24の試合との試合では、一発目で田川亨介に裏を取られてシュミット・ダニエルの対応に救われるシーンもあったが、その後はバイタルに入ってくる選手に仕事をさせず、攻撃面でも良質なパスが目立った。今回のシリーズで最大の注目だったセルビア戦でも植田とセンターバックを組むと「こんなチャンスはなかなかないと思っていましたし、持っているものを全て出し切ろうという思いで臨みました」という言葉とおりの奮闘で無失点に貢献。CKから鎌田のキックをニアでそらして、この試合で唯一となる伊東純也のゴールをアシストした。

 日本代表においては安定したビルドアップのなかで、相手の強度が上がるほど、より素早く縦に付ける意識を増やすことが求められる。そこは大迫勇也や遠藤航などが入ればそうしたプレーを出しやすくなる。守備に関しては、フルアムのFWミトロビッチなど一線級が来なかったことを差し引いてもデュエルで十分にやれることを示した。本人も語るように、今後は自チームでACLを経験できる。
 
 ボランチ、アンカーというオプションに関しては賛否両論あるが、吉田と冨安という軸が健在で植田もいるなかで、五輪世代も再び競争に加わってくると考えたときに、スペシャリストだけではない選択肢を持つことにマイナスは無い。何より谷口自身が意欲的なので、プロ入り前はもともとボランチが本職だったこともあり、プラスアルファとして前向きにトライしていってほしい。

 もう一人挙げるならオナイウ阿道だろう。大迫が離脱する流れで追加招集されたが、セルビア戦で途中出場して意欲的なポストプレーとディフェンスで後半の流れを変えた。そしてキルギス戦での鮮やかなハットトリック 。周囲の称賛とは裏腹に、オナイウ自身は「結果を出せたのは良かったけど、他のところの部分で質を上げないと、相手のレベルがまた上がってきたところで自分が通用しなくなってしまう」と地に足を付けている様子だ。

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 今回は活動の制限もあり、とりわけ海外組と国内組という括りで見られがちで、実際の国内組の意地というメンタル面の奮起もあったようだ。最終予選を戦うにあたっては何組も関係なく戦力として突破に向かっていく必要があるので、この二人をはじめとしてJリーグの選手でも日本代表で高いスタンダードを出せることを示したことは、今回はメンバー外だった選手も含めて与える刺激は大きいはずだ。

 U-24代表に関しては、オーバーエイジの融合という目的があるなかで吉田、酒井、遠藤の3人が見せた存在感は絶大だった。ただ彼らがやれるのは良い意味で当たり前なので、遜色ない存在感を示した選手として、改めて久保建英をU-24のMVPに挙げたい。

 A代表との試合は悔しい完敗となったが、ガーナ戦、ジャマイカ戦ともに先発し、ジャマイカ戦での4人股抜きゴールが話題に。その他にも多くの得点、決定機に絡んだ。視野の広さと判断スピード、高い技術を融合したプレーで周囲を輝かせ、自分も輝くなど、日本のトップ下にふさわしいプレーだった。

 その一方で久々の五輪世代での活動となった堂安律も、ドイツでの成長を感じさせる冷静かつ鋭いプレーで攻守に関わり、A代表の選手らしい能力を見せながらU-24代表に融合して見せた。前々からA代表として東京五輪に参加するビジョンを語っていただけに、オーバーエイジではないものの、存在としてはそのぐらいの意識で取り組んでいるはず。余計な力みも無く、久保とともに攻撃を牽引していってくれそうだ。
 
 ただ、二人についてはもともと主力として五輪代表を引っ張っていくことが期待されるので、サバイバルという基準で見るなら谷晃生、旗手怜央などはメンバー選考前のラストチャンスで着実に評価を上げたと見られる。オーバーエイジが招集されなかったFWで、上田綺世がエース候補の資質を示したことも大きい。さらに言うなら、追加招集でジャマイカ戦が唯一のチャンスになった瀬古歩夢の攻守両面での奮闘も熱いものがあった。

 18人のメンバーがどういう結果になるにしても、難しい環境の中で最後までやり切ったU-24代表の選手たちには、とりあえずお疲れ様を言いたい。

取材・文●河治良幸

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