二枚看板のホットラインが機能! 絶好調の久保&堂安は日本をメダルへと牽引できるか?【東京五輪】

二枚看板のホットラインが機能! 絶好調の久保&堂安は日本をメダルへと牽引できるか?【東京五輪】

メキシコ戦は久保と堂安のゴールで2-1の勝利。グループステージ2連勝を飾った。写真:金子拓弥 (サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)



 2012年のロンドン・オリンピック準決勝でも1-3で苦杯を喫している苦手のメキシコ。2020年11月のA代表の親善試合(グラーツ)もそうだったが、日本の前に毎回のように立ちはだかってきた難敵だ。

 その相手に対し、U-24日本代表は粘り強く戦い、2-1で勝利。2連勝でA組トップに立った。森保一監督は、25日の東京五輪第2戦後に「FIFAランクで格上の彼らと同じ目線で戦えた」と語ったが、それだけの自信と手応えがこの日の彼らから感じられた。

 牽引役となったのは、堂安律(PSV)と久保建英(レアル・マドリード)の攻撃二枚看板だ。

 開始早々の6分、酒井宏樹(浦和)の縦パスに鋭く反応した堂安は、対面にいたエリック・アギーレ(モンテレイ)が本来、中盤を主戦場とする選手だとスカウティングで確認。「背後のボールにはあまり慣れていない」と先読みして一歩前に出た。そして左手で相手を抑えた瞬間、久保は「自分にボールが来る」と察知。迷わずゴール前へ飛び込んだ。そして「インサイドだとボールが右に流れてしまう」と直感。「いい感じにファーに行ったらいい」と考えて、左足アウトサイドで合わせたという。
 
 各々の的確な判断の積み重ねがイメージの共有につながり、値千金の先制弾に直結したのは特筆すべき点。堂安も「お互いにとくに話をしていないが、タケに預ければボールが帰って来るとか、タケに預ければチームにプラスなことをやってくれると信頼しているし、そういう信頼を彼からも感じるので。話さずとも共通認識ができている」と17日のU-24スペイン戦(神戸)後に話していた。2017年のU-20ワールドカップ(W杯=韓国)の頃からともに戦ってきた盟友同士は、自国開催の五輪という重圧に関係なく、ピタリと息の合った連係を披露できる間柄にあるようだ。
 

 ゴールシーン以外を見ても、ポジションチェンジのタイミング、スペースの使い方、それぞれを生かすパスの質や強さなどを含めて、彼らの共通理解はかなり進んでいる印象だ。最前線で力強く身体を張っている林大地(鳥栖)、左サイドの相馬勇紀(名古屋)、遠藤航(シュツットガルト)と田中碧(デュッセルドルフ)の両ボランチとの関係性も不可欠な要素だが、2列目の看板コンビが今の日本の攻撃陣にスイッチを入れているのは確か。揃ってゴールという結果を残している点も含めて、やはり頼もしい存在と言っていい。

 ここまで対峙した南アフリカとメキシコは、2人を完封することはできなかったが、グループステージ突破の懸かる28日の第3節の相手、フランスは最大級の警戒を払ってくるはずだ。4-3で打ち合いを制した25日の南アフリカ戦を見る限りだと、彼らの守備組織は不安定で、ところどころに穴ができ、上位躍進できるレベルにないようにも映るが、8強入りの懸かる試合は別。屈強なフィジカルを前面に押し出してくるだろう。場合によってはラフプレー覚悟の厳しい寄せや当たりも見せるかもしれない。
 
 小柄な堂安と久保が首尾よくフランスを攻略できたとしても、決勝トーナメントに進めば、試合の強度はもっと上がる。厳しいマークをかいくぐり、ゴールという結果を残すことはハードルが高い。彼らはその難題に挑んでいかなければならないのだ。

 そこで頼りになるのが、ドイツ、スペインという欧州5大リーグで積み重ねてきた経験値。堂安は2020年10月のバイエルン・ミュンヘン戦でゴールを奪っているし、久保は今年4月のバルセロナ戦で2得点に絡む活躍をしている。もちろんチームも違えば、メンバーも目指すサッカーも異なるが、強豪相手に結果を残した自信は今大会の一挙手一投足にも影響する。

 例えば、堂安がメキシコ戦のPKの場面で、名手のギジェルモ・オチョア(クラブ・アメリカ)が守るゴールを「小さく見える」と感じながらも、ど真ん中に蹴り込めたのは、やはり蓄積してきた強靭なメンタルゆえだろう。周囲に得点を期待されながらスランプに陥り、メディアに対してもそっけなくなった2019年アジアカップ(UAE)の頃とは、精神的余裕が違うのだ。
 

 久保にしても、2019年6月のエルサルバドル戦(宮城)でAマッチデビューしてからの2年間で3度のレンタル移籍を繰り返し、何度も苦境に陥ったが、タフに生き抜く勝負強さを身に着けたのは大きい。そんなクラブレベルでの紆余曲折や成長も、東京五輪での好調につながっている。日本が53年ぶりのメダルを手に入れようと思うなら、彼らの活躍は必要不可欠な要素と言える。

 1つ不安材料があるとすれば、堂安がイエローカード1枚をもらっていること。久保にしてもこの先、警告や怪我の可能性があるため、彼らの決定力と連動性だけに依存していればいいわけではない。
 
 6月以降の親善試合を見ても分かる通り、久保・堂安が揃っている時とそうでない時の攻撃陣の迫力や、得点へのバリエーションは明らかに異なる。森保監督も今のところ、相手の運動量が落ちてきた後半途中からしか、前田大然(横浜)や三笘薫(川崎)などのサブメンバーを投入していないが、どうしても主力と控え組では力の差が感じられる。それを極力少なくし、堂安と久保が1人だけピッチに立っている状態、あるいは両方不在の状態でもアグレッシブに戦えるように仕向けていくべきだ。

 これは非常に難易度の高いテーマだが、森保監督は果たしてどんな策を講じるのか。ここで失敗すれば、9月から始まる2022年カタール・ワールドカップ最終予選にも影響しかねない。その采配にも注視しつつ、今後の戦いを見極めていきたい。

文●元川悦子(フリーライター)

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