「感動を与えられる選手に」クラブ日本一!名古屋U-18の絶対的エースが吐露した悔しさと飽くなき向上心

「感動を与えられる選手に」クラブ日本一!名古屋U-18の絶対的エースが吐露した悔しさと飽くなき向上心

大会得点王を獲得した名古屋U-18の真鍋。チームを見事、優勝に導いた。写真:松尾祐希



 絶対的エースが若き赤鯱軍団を夏の日本一に導いた。

 8月4日に行なわれた第45回 日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会の決勝。名古屋グランパスU-18はコンサドーレ札幌U-18を2-0で下し、2年ぶり2度目の優勝を手にした。

 序盤から札幌に押し込まれ、前にボールを運べない展開が続いた前半。相手が準決勝で採用した4-4-2ではなく、想定外の3-4-2-1の布陣で挑んできた影響もあり、ボールを高い位置まで運べない。それでも辛抱強く守り、前半終了間際にはMF甲田英將(3年)のゴールで先制して前半を終えた。
 
 迎えたハーフタイム。古賀聡監督が指示を出す前に選手たちはコミュニケーションを取り、「戻ってもっとやろう」、「このままで終われない」という言葉を掛け合った。

 自分たちで課題と向き合うと、後半は見違えるようなプレーで相手を圧倒する。そこで輝きを放ったのが、エースのFW真鍋隼虎(3年)だ。10番を背負い、チームのゲームキャプテンも担う点取り屋は前半とは打って変わって“らしさ”を発揮する。特徴である背後への抜け出しで相手の最終ラインを押し下げ、フィジカルの強さを生かしたポストプレーで起点となった。そして、最大の武器であるフィニッシュワークでも相手に脅威を与える。前半は1本のシュートに留まったが、後半は隙あらばゴールを狙っていく。後半5分にはクロスに頭で合わせると、同7分には左サイドで相手のマーカー2人を強引に外して左足でシュートを放った。

 真鍋が積極的にゴールを狙うが、2点目を奪えない。リードは僅かに1点。できれば、もう1点奪った上で試合を運びたい――。そうしたチームの想いにエースが応える。

 同31分、ショートカウンターを仕掛けると、真鍋がFW貴田遼河(1年)とのワンツーでゴール前に抜け出す。終盤に長い距離をスプリントした影響で身体が右に流れていたが、なんとか持ち直して右足を振り抜く。

「準決勝でも決定的なパスをくれた遼河がもう一度自分を見てくれた。今振り返ったら、簡単なゴールではなかったけど、あそこで受けた瞬間は絶対に振り抜く想いがあった。その気持ちがあのコースに飛ばしてくれたと思います」

 最終盤の苦しい時間帯に放ったシュートは逆サイドネットに吸い込まれ、チームの優勝を決定付ける2点目となった。
「ゴールが入った瞬間は言葉にできないぐらい嬉しかった」。こう振り返った真鍋にとって、このゴールが得点ランキング単独トップとなる大会7得点目。「試合前から得点王ランキングで並んでいるのは分かっていたので、単独で取れないのは嫌。絶対に単独で得点王を取りたかった」と話した通り、有言実行の一撃でチームの優勝に加え、単独でトップスコアラーにも輝いた。
 

 エースとしての仕事を全うした真鍋。古賀監督もその働きぶりに目を細める。

「今大会の真鍋はチームのお手本になってくれた。あれだけ走り、アクションを起こしてくれた。そんな彼が周りに言えば、一番説得力がある。得意な形に持ち込んで決勝ゴールも決めてくれたので、彼のゴールは努力の結晶だと思います」

 指揮官が最大級の賛辞を送ったが、過去に何度も悔しい想いを味わってきた。2年前にクラブユース選手権を制した時は同学年の甲田とFW松本皐誠(3年)が決勝のピッチに立った一方で、自分はベンチで最後まで戦況を見守ることに。2年生になってスーパープリンスリーグ東海で5得点を挙げた昨季を経て、10番を背負った今季はU-18プレミアリーグWESTでも4得点を奪ったが、またしても同年代の仲間に先を越されてしまう。7月に行なわれたアジア・チャンピオンズリーグでCB吉田温紀(3年)、FW豊田晃大(3年)がトップチームの活動に帯同したのだ。

 しかし、真鍋の気持ちは揺らがなかった。
 
「同じポジションの晃大や、温紀が入ったので悔しさはある。でも、自分は与えられた場所で最大限取り組む。それが一番だと思うので、(与えられた場所で取り組んで)今この瞬間を変えていく」

 決勝で決めたゴールは日々の居残り練習で何度も繰り返してきたパターン。中村亮太コーチとともに得意とする右サイドからのシュートを何度も打ち込み、札幌戦のゴールに結び付けた。

 決定力と推進力を併せ持つ生粋のストライカーにとって、最高の夏になった。しかし、本人は満足していない。

「これからも自分のゴールで勝たせられるようにしたい。そんなエースストライカーとなり、見ている人に感動を与えられる選手になりたいです」

 大会後はU-17日本代表の一員として、広島で開催される“Balcom BMW CUP”に挑む。目標とするトップ昇格を勝ち取るべく、次は日の丸を背負ってゴールを量産できるか。真鍋の夏はまだまだ終わらない。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)

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