東京五輪代表22人のW杯アジア最終予選でのリアルな戦力評価。欧州移籍を叶えた田中、三笘、林らの位置づけは…

東京五輪代表22人のW杯アジア最終予選でのリアルな戦力評価。欧州移籍を叶えた田中、三笘、林らの位置づけは…

東京五輪に臨んだU-24日本代表。次なる戦いの舞台はW杯アジア最終予選へ。(C) JFA



 惜しくも4位に甘んじた東京五輪が終わり、選手たちは所属クラブに戻ってリスタートを切った。悲願だった53年ぶりのメダルは取れなかったものの、彼らには「東京経由カタール行き」という目標がまだ残されている。

 9月から始まる2022年カタール・ワールドカップ アジア最終予選では、多くの選手がいわゆる“個人昇格”を果たし、戦力として活躍することが求められる。

 そこで、東京五輪でのパフォーマンスを基に、登録メンバー22人のA代表における現時点での位置づけを個別に評価した。

――◆――◆――
 
※重要戦力=◎、招集有力=○、バックアップ=△

【GK】
大迫敬介(サンフレッチェ広島)=△
 コロナによる五輪1年延期がなければ、正守護神としてピッチに立っていただろう。今回は出場なしに終わり、ゼロからの再出発を強いられる。広島で傑出した働きを見せて、同じ国内組の権田修一(清水)より高い評価を得ることがA代表入りの絶対条件だ。

谷 晃生(湘南ベルマーレ)=○
 全6試合フル出場し、俊敏な反応と守備範囲の広さを披露。ニュージーランド(NZ)戦のPK戦では獅子奮迅の働きを見せるなど、一気に評価を挙げた。東京世代GKのA代表昇格を望む声も高く、その筆頭に躍り出た。9月の招集は大いに可能性がありそうだ。

鈴木彩艶(浦和レッズ)=△
 バックアップメンバーから試合出場可能な状態にはなったが、結局は出番がなかった。それでもまだ18歳で潜在能力と伸びしろは大迫や谷をしのぐものがある。浦和でコンスタントに試合出場を重ねて、1年3か月後のカタールの大舞台を狙いたい。

【日本代表PHOTO】東京オリンピックに挑んだ22選手の顔ぶれ!

【DF】
中山雄太(ズウォーレ/オランダ)=◎
 今大会は左サイドバック(SB)として全試合に先発。対人守備の強さを遺憾なく発揮した。フランス戦ではボランチに入る時間帯もあり、マルチ能力も大いにアピールした。長友佑都の新天地が決まっていない今、守備面で一番計算できる左SBは彼かもしれない。

板倉 滉(フローニンヘン/オランダ)=◎
 冨安健洋のケガがあっても守備陣が崩れなかったのは、板倉がいたから。スペイン戦のアセンシオの決勝弾のシーンは悔やまれるものの、大会を通して安定感あるプレーを披露。ボランチのバックアップとしても存在感を示し、A代表DF陣とも十分競争できそうだ。

旗手怜央(川崎フロンターレ)=△
 三笘薫の負傷もあり、左MFでも重用されたが、A代表はその位置に南野拓実、原口元気という実績ある面々がいる。左SBとしては中山の方が計算できるため、当面のA代表入りは難しいかもしれない。ただ、今後の伸びしろ次第で可能性がないわけではない。
 
冨安健洋(ボローニャ/イタリア)=◎
 東京五輪はケガと出場停止で3試合先発にとどまったものの、これまでのA代表と海外での実績を踏まえると、彼の序列は簡単には変わらない。ただ、板倉らの追い上げもあるだけにウカウカしてはいられない。まずは新シーズンのパフォーマンスに注目だ。

橋岡大樹(シント=トロイデン/ベルギー)=△
 酒井宏樹が出場停止となったNZ戦では右SBでの奮闘が光った。が、現時点では酒井に加え、室屋成、山根視来といった面々がA代表に控えている。橋岡がベルギーで劇的な成長を遂げれば状況は変わるかもしれないが、直近の招集は難しそうだ。 

町田浩樹(鹿島アントラーズ)=△
 もともとバックアップ選出ながら、初戦の南アフリカ戦のピッチに立つ機会を得たのは前向きな要素。ただ、DF陣は選手層が厚いだけにA代表に食い込むのは至難の業だ。鹿島から2018年ロシアW杯に参戦した先輩・昌子源の系譜を継ぎたいところだが……。

瀬古歩夢(セレッソ大阪)=△
 町田と同じバックアップだったが、残念ながら五輪での出場機会はなかった。本人も悔しさひとしおで、セレッソ大阪での再起を誓っている。DF陣は激戦であるため、なんらかの傑出した存在感を示さないことには、直近のA代表入りのハードルはやはり高い。
 

【MF】
久保建英(レアル・マドリー/スペイン)=◎
 決勝トーナメント以降は相手の徹底したマークに苦しんだが、グループリーグ3戦連発のインパクトは大きかった。紛れもなく日本のエースとして存在感を示した。A代表招集は確実だが、トップ下には実績に勝る鎌田大地がいる。競争に勝てるかが目先のテーマだ。

三好康児(アントワープ/ベルギー)=△
 フランス戦の1得点は2019年コパ・アメリカのウルグアイ戦での輝きを想起させたが、そのレベルを継続できないと大激戦のA代表アタッカー陣には割って入れない。新シーズンのアントワープで圧倒的活躍を見せれば、状況は変わるかもしれない。
 
堂安 律(PSV)=◎
 今大会の得点自体はグループリーグ・メキシコ戦の1点にとどまったが、久保との攻撃二枚看板は敵に脅威を与えた。彼自身も大いに自信をつけたはず。次はPSVでレギュラーを掴むことだ。そうすれば、A代表での伊東純也との右サイド争いも互角の展開になるだろう。

三笘 薫(ロイヤル・ユニオン・サン=サンジロワーズ/ベルギー)=△
 3決・メキシコ戦後半のドリブル突破とシュート力は見る者を驚かせたが、東京五輪での活躍はそれだけ。直近のA代表招集はないだろうが、今夏から赴く欧州の新天地で目覚ましい結果を残せば、最終予選終盤でのメンバー入りの可能性はゼロとは言えない。

相馬勇紀(名古屋グランパス)=△
 大会通してドリブル打開力は大いに光ったが、得点という結果が残せなかったのは悔やまれる。森保一監督が久保や堂安に寄せる信頼よりはやや下がる。ただ、彼のようなドリブラーが今のA代表にいないのも確か。今後の展開次第ではひょっとするかもしれない。

田中 碧(フォルトゥナ・デュッセルドルフ/ドイツ)=◎
 遠藤とのボランチコンビは今大会の日本の要であり、彼らの連係が攻守両面を支えていた。このまま最終予選突入は濃厚と見られるが、問題は新天地での活躍度。8月のブンデス2部の試合に出られないようだと、9月の最終予選参戦は難しくなるかもしれない。
 

【FW】
前田大然(横浜F・マリノス)=△
 林大地の台頭もあり、1トップではなくサイド要員として使われ、フランス戦では1得点をマークしたが、FWとしての序列を上げることはできなかった。爆発的な速さは日本の大きな武器になり得るだけに、課題の決定力を磨いてほしい。
 
上田綺世(鹿島アントラーズ)=△
 本来は1トップの軸として活躍するはずだったが、ケガで出遅れ、控えに甘んじた。本人も悔しいだろうが、直近のA代表昇格は難しくなった。ただ、大迫勇也のJリーグ復帰もあり、FW争いは混とんとしてくるはず。近い将来にはチャンスが訪れる可能性もある。

林 大地(シント=トロイデン/ベルギー)=〇
 今大会で最も評価を上げた選手。前線で身体を張って攻撃の起点を作り、守備面でも大いに貢献、シント=トロイデン移籍を勝ち取った。大迫の後継者との呼び声も高まる中、9月のA代表招集の可能性もある。ただ、決定力の課題改善は必須のテーマだ。
 

【OA枠】
吉田麻也(サンプドリア/イタリア)=◎
 フィールドプレーヤーで全試合フル出場した唯一の選手で、森保監督にとって不可欠な大黒柱。主将としても目に見える成長を遂げ、彼なしではカタールW杯は考えられない。次は最終予選を確実に勝ち上がり、8強入りをクリアすること。そこに突き進むしかない。
 
酒井宏樹(浦和レッズ)=◎
 敵のキーマンを1対1で止める力は世界基準。さすがはネイマールらと日常的に対峙してきた右SBだ。現時点では吉田と並ぶA代表の大黒柱だが、浦和移籍で彼自身がどう変化するかが気になるところ。欧州5大リーグのパフォーマンスを維持してほしいところだが……。

遠藤 航(シュツットガルト/ドイツ)=◎
 3決・メキシコ戦では著しい疲労が災いして3失点に絡んでしまい、後味の悪い幕切れになった。ただ、彼のデュエルの強さは今のA代表に必要な部分。守田英正、橋本拳人、田中碧らをリードするボランチとして、最終予選では五輪以上の存在感が求められる。

文●元川悦子(フリーライター)

関連記事(外部サイト)