なぜマジョルカは久保建英をチーム最高年俸で迎え入れたのか? 番記者が明かすピッチ内外の思惑【現地発】

なぜマジョルカは久保建英をチーム最高年俸で迎え入れたのか? 番記者が明かすピッチ内外の思惑【現地発】

2シーズンぶりにマジョルカに復帰した久保。(C)RCDM



 タケ・クボ(久保建英)が中心選手の役割を託され、2シーズンぶりにマジョルカに復帰した。前回入団時のタケは18歳になったばかり。1部でのプレー経験もなかった。それから2年の歳月が経過し、心身ともに成長した今回は、周囲の期待を一身に背負って入団した。

 マジョルカは今回のオペレーションを実現するために多額の投資を行っている。タケに支払われる年俸はチームトップの200万ユーロ(約2億5000万円)。その全額をマジョルカが負担する。

 レンタル料は発生していないが、そこで大きな決め手になったのがタケの意思だ。レアル・ソシエダなど格上のクラブからもオファーを受けていたにもかかわらず、最初の段階からマジョルカ復帰を強く希望し、交渉の成立を後押しした。

 タケの頭の中にはビジャレアル、ヘタフェで思うように出場機会を得ることができなかった昨シーズンのことがあったのは間違いない。マジョルカでは35試合に出場して4得点を記録。プレータイムも2314分を計上したが、前半戦所属したビジャレアルでは302分、冬の移籍市場で鞍替えしたヘタフェでは799分に終わっている(いずれもラ・リーガでの数字)。

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 タケの入団を真っ先に祝福したのは他でもないルイス・ガルシア・プラサ監督だ。「まるで我が家に戻ってきたような様子だった。誰彼なく挨拶していたよ」と歓迎の意を示すと、ポジションについては次のように言及する。

「攻撃的なポジションなら、様々な起用法が考えられる。機動性、突破力、ラストパスを併せ持ち、得点面での貢献も期待している」

 さらにそのインテリジェンスにも着目する。「試合勘が高まっている状態で加入した。コンディションもすこぶる良好のようだ。そして彼はとても利発だ。初日の練習から2年前に在籍したチームとの戦術面での違いを理解できていた」

 L・ガルシア監督が指摘するようにタケはサイドとトップ下をこなす。本人はトップ下が好みのポジションと発言したことがあるが、前回在籍時は、一方のサイドを起点に流れの中で逆サイドへと頻繁にポジションを移動していた。また攻撃をオーガナイズする能力にも優れ、サルバ・セビージャとともにボール出しでも存在感を発揮するはずだ。

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 ピッチ上での貢献への期待が大前提としてあるが、同時にマジョルカはタケがもたらす経済的なインパクトの大きさをよく知っている。

 前回もタケの存在がクラブの注目度を高め、テレビの視聴者数ランキングにおいても、19-20シーズン、日本で最も観戦されたラ・リーガ10試合のうち8試合がマジョルカの試合だった。加えてその効果はリーグ全体にも及び、ラ・リーガはプレミアリーグを抑えて日本における最も視聴された欧州リーグにのし上がっている。

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 広告塔としての価値も抜群で、テレビゲーム「Pro Evolution Soccer」(ウイニングイレブン)を手掛けるコナミとパートナーシップ契約を締結。この独占という形で同社と契約を結んだ欧州のクラブは、マジョルカに加えて、バルセロナとユベントスだけだ。

 さらにユニホームの販売など様々な商談を成立させることにも成功している。投資した以上の見返りをスポーツ面でも経済面でももたらしてくれる。その確信があったからこそ、マジョルカはレンタルという形ながら、大金を投じてタケの獲得に踏み切ったのだ。

文●エレナ・ガルシア(ディアリオ・デ・マジョルカ紙マジョルカ番)
翻訳●下村正幸
 

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