【月間表彰】樋口雄太が明かす名古屋戦の“2連続ワンツー”の真相。鳥栖入団の経緯も語る!

【月間表彰】樋口雄太が明かす名古屋戦の“2連続ワンツー”の真相。鳥栖入団の経緯も語る!

7月のベストアシストを受賞した鳥栖の樋口雄太。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)



 DAZNとパートナーメディアによる「DAZN Jリーグ推進委員会」では、今シーズンも「Jリーグ月間表彰」を実施。同企画はスポーツ・サッカー専門メディアが独自の視点で、その月に印象的な活躍を見せた選手やチームを表彰するもので、サッカーダイジェストWebは「Jリーグ月間ベストアシスト」を毎月選出している。

 2021年7月は、サガン鳥栖の樋口雄太が17日の名古屋グランパス戦で記録したアシストをセレクト。流麗なパスワークに加わり、軽やかな身のこなしで敵陣深くまで進入し、小屋松知哉の得点をお膳立てした。そのアシストを振り返ってもらうとともに、チームの好調の秘密、評価急上昇中の10番の“ルーツ”にも迫った。

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――第17節の名古屋グランパス戦での小屋松選手へのアシストを、7月のベストアシストに選ばせていただきました。おめでとうございます!

「ありがとうございます! サッカー人生の中でも、すごく気持ちよかったアシストのひとつなので印象深いです」

――樋口選手がペナルティエリア付近の左サイドでボールを持つと、ペナルティエリア内の小屋松選手と短いワンツーで抜け出し、その奥にいた中野嘉大選手ともワンツー。最後はシュートフェイントで相手をかわし、フリーになっていた小屋松選手へ丁寧にパスを送りました。見事な“2連続ワンツー”でした

「ファーストタッチした瞬間、相手が一瞬止まったように感じたので、一気にスピードアップして抜き去ろうという考えでした。コースは見えていて、それどおりに身体が動きましたね。最終的にはシュートフェイントで切り返して得点確率の高い選手にパスを出せたのが良かったです」

――シュートを撃つこともできたと思いますが、フリーの小屋松選手に預ける良い判断でしたね。

「はい。良い判断ができたのは、やはり自信があったからです。あのシーンは2-1でリードしていて気持ちに余裕がありましたし、チームとしても今季は自信を持ってプレーできています。だから冷静に判断できたんだと思います」

【動画】“2連続ワンツー”から冷静な切り返し!7月のベストアシストに輝いた樋口のお膳立てをチェック!
 
――試合後、小屋松選手となにか話は?

「アシストについては特になにも(笑)。まあ、僕と小屋くんふたりだけの関係ではなく、全員でパスをつないで取ったゴールなので」

――その名古屋戦は3アシストと、見事なパフォーマンスでした。

「ひとつ目は、ほとんど中野(嘉大)選手のゴールなのでアシストがつくなんて……、そこは感謝したいです」

――アシストと得点のどちらに喜びを感じますか?

「まあ、ゴールのほうが嬉しいです(笑)。ただ、それ以上にチームの勝利が最優先なので自分の得点でチームを勝利に導けられれば最高ですね。ゴールはできるだけ多く取りたいですし、アシストは今、6なので10くらいが目標です」
 

――少し話は変わりますが、松岡大起選手が清水へ移籍し、インサイドハーフを務めることが多かった樋口選手が後半戦はスライドするような形で空席となったアンカーをこなしています。

「アンカーは、攻撃では組み立て役で守備では相手の進入を防ぐなど、攻守で肝のポジションだと感じています。攻撃にガンガン参加するというより、チームのバランスを考えないといけません。でも、ひとつポジションが下がったといえど、アシストやミドルシュートは狙っています」

――ポジションが変わるにあたって金明輝監督からのアドバイスは?

「これと言ったアドバイスはないですけど、いつもどおりのプレーを心がけています。たくさんボールを触ってリズムをつかんで、という感じで」

――では、チームの話も。今季の手ごたえはどうですか?

「正直、かなりあります。自分たちのサッカーは間違ってないと証明できていますし、自信がみなぎってくる。選手個々も成長できている。今後は対策されても勝ち切る強さを身に付けなければいけません」

――対策された時に必要なのは?

「攻撃の選手は即興性やアイデアがすごく大事だと思っていて、それこそ名古屋戦の3点目(小屋松選手の得点)は相手が引いた状況でも少ないボールタッチで崩すことができた。ひとり一人が頭を使い、決め切ることが大事です」
 
――さて、ここからは樋口選手の“ルーツ”も少し訊かせてください。まず、サッカーを始めたきっかけは?

「テレビで日韓ワールドカップを観て単純にかっこいいなと思い、その舞台に立ちたいと考えたのがきっかけです。特に印象に残ったのはロナウド選手(元ブラジル代表)ですね。当時はポジションどうこうより、かなり目立っていたので(笑)」

――鳥栖アカデミーには小学生で入団しました。

「僕は佐賀県出身で小3までは地域のクラブに入っていたんですけど、その時に県内で一番強かったのがサガン鳥栖でした。そこに入ってプレーしたいと思ってセレクションを受けました」

――鳥栖アカデミーで学んだ一番大切なことは?

「難しいですね……、すべてのことを学んだイメージです。当時はサッカー中心の生活を送っていました」

――昔から中盤の選手?

「高3から大学1年生まではフォワードでもプレーしていましたが、基本的には中盤の攻撃的なポジションでした」
 

――鳥栖アカデミーの近年の躍進は素晴らしいです。OBから見て今のアカデミーはどうですか?

「僕たちの代は今みたいに強くなかったですし、上手い選手もそう多くなかった。レベルの高いチームにはなかなか勝てない状況でした。今はプレミアリーグで戦っていますし、全国制覇もして、とても充実していますよね。自分たちの代だったらありえないので、すごく差を感じています。今と比較されたくないので、ユース時代はあんまり振り返りたくないですね(笑)」

――それでも、樋口選手は世代別代表に選ばれた経験もありました。

「はい。ただ、代表活動に呼ばれても、なかなか自分の良いところを出せなくて。継続的に呼ばれなかったので、継続性というのが当時の課題でしたね」

――なるほど。高校卒業後は鹿児島県の鹿屋体育大に進学。進路を決めた理由は?

「関東や関西に進学する選択肢はなくて、九州で一番強いチームに行きたいと考えていました。他の大学にも練習参加をさせてもらいましたけど、鹿屋のチームスタイルにフィットしそうな気がしました。ここだったらもっと成長できると」

――そのチームスタイルとは?

「大枠は今の鳥栖がしているようなボールを大事にするサッカーです。自分の能力は最大限に発揮できると感じました」
 
――では、なぜ関東や関西に行かないと決めていた?

「全国から上手い選手が集まる関東や関西に身を置くのもいいと思うんですけど、やっぱり試合に出ないと意味がない。九州のチームでも、もちろん全国大会に出られますし、そこで結果を出せればスカウトの目に留まるかなと」

――その選択が奏功したのか、鳥栖からのオファーを勝ち取りました。

「このチームに戻ってきたいっていう想いが1番でした。ただ、いろんなチームに練習参加したけど、なかなか決まらなくて……。鳥栖から正式なオファーをもらったのが4年生の10月だったので、焦りはかなりありました」

――オファーをもらった時の心境は?

「即決でした(笑)。いくつかのクラブからお話はもらいましたけど、僕を育ててくれたクラブに恩返しがしたかったですから」
 

――しかし、プロ1年目はリーグ戦わずか1試合の出場でした。

「大学4年で鳥栖に内定してから『やってやろう』っていう気持ちは高まっていた一方、1年目はなかなか試合に絡めなくて……。プロの壁を実感して苦しんだシーズンでした。ただ、成長しないと長いサッカー人生を送ることはできないと再確認できたので、今思えばすごく大事な時期でしたよね」

――翌シーズンはリーグ28試合に出場しました。2年目は1年目からなにが変わった?

「28試合に出場できましたけど、5節までは1分も出番がなかったんです。もちろん、ネガティブになることもありました。それでも、やることは変えず、いつチャンスが回ってきてもいいように準備していました」

――初スタメンが8節のアウェー・FC東京戦でした。

「巡ってきたチャンスで死ぬ気で喰らいついてやろうと思ってプレーしていました。その結果、3−2でチームを勝利に導けたので、ホッとしたというか、スタートラインに立てたという実感がありました」
 
――そして今季は10番を託されるまでに成長しました。今後の目標は?

「日本代表は目指していますし、そこを目指さないとプロである意味がない、と個人的には思います。結果も出始めて少しず評価してくれている方もいます。もっともっとチームで存在感を高め、ひとつ1つのプレー精度を高める。それが目標への近道だと考えています」

――それでは、鳥栖の後半戦はどこに注目でしょう?

「前半戦から大きな変化はないので、プレーのクオリティを上げたり、決定力を高めたりすることが大事になるはずです。みんなで新しい景色を見に行くじゃないですけど、そういう気持ちでチームのモチベーションは高くなっているので、そこを突き詰めていきたいです」

――新しい景色とは?

「ACL圏内に入ることです。鳥栖はまだ出たことがないので。チームの価値を上げられるように後半戦もチーム一丸となって頑張りたいです」

取材・文●古沢侑大(サッカーダイジェスト編集部)
協力●DAZN
 

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