【日本代表】過酷な2連戦をどう乗り切る? ハードスケジュールをこなす主軸のコンディションは大丈夫か?

【日本代表】過酷な2連戦をどう乗り切る? ハードスケジュールをこなす主軸のコンディションは大丈夫か?

W杯アジア最終予選へ向けて、30日から始動した日本代表。過密日程と中東の暑さは、年内の試合では常に懸念材料となりそうだ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)



「ワールドカップ(W杯)最終予選は2次予選や五輪とは違いますし、その時できる準備も状況によっては違うかもしれません。ですが、最善の準備をすることは変わりない。これまで培ってきたコンセプトやベースの部分を発揮しながら戦い方を考え、状況によって変化に対応していける部分を使い分けたいと思っています」

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 森保一監督は今回の2022年カタールW杯最終予選に向けてこう語った通り、8試合で46得点を叩き出した2次予選のような戦いにならないことは明らかだ。それだけ2日の初戦の相手・オマーンも、7日の第2戦の相手・中国も手ごわいと考えていい。

「オマーンは情報によりますと1か月前から欧州で合宿をして日本に乗り込んでくると聞いています。そして中国もすでにカタールに入って試合に向けて準備を整えている」と日本サッカー協会の反町康治技術委員長も8月26日のメンバー発表会見時に説明していた。つまり、コンディションの部分では相手の方に分があると言わざるを得ない。

 日本の場合、ご存じの通り、吉田麻也(サンプドリア)や遠藤航(シュツットガルト)ら主力の大半が欧州組だ。彼らは28・29日の各国リーグ戦を消化してから30・31日に代表に合流。わずか2〜3日の調整を経て、大阪・吹田でオマーン戦を迎えなければならない。 そして直後にカタール・ドーハへ移動。数日の調整期間しかないうえ、最高気温が40度を超える灼熱の地で、エウケソン(広州)やアラン(北京国安)ら帰化選手を擁する不気味な集団と対峙することになるのだ。

 9月の中東というのは、凄まじい高温多湿の環境。97年9月に98年フランスW杯最終予選・UAE戦に挑んだメンバーが「立っているだけでめまいがした」と話したほどで、短期間で適応するのは困難というしかない。

 日本からダイレクトにドーハに向かう大迫勇也(神戸)や酒井宏樹(浦和)らはまだ肉体的な負担が少ないものの、10日間で欧州→日本→中東→欧州という移動を強いられる欧州組の面々は非常に厳しい。プレシーズンから長く欧州にいる南野拓実(リバプール)、鎌田大地(フランクフルト)、伊東純也(ゲンク)らは気候面のギャップに苦しむことになりそうだ。

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 彼ら以上に過酷なのが、8月6日まで中2日ペースで東京五輪の短期決戦を戦っていた吉田、遠藤、久保建英(マジョルカ)らだ。遠藤も久保も3位決定戦・メキシコ戦(埼玉)から1週間後には所属クラブのリーグ戦に出ていて、ほとんど休めていない。避暑地のマジョルカは最高気温30度超えの日も少なくないが、冷涼なドイツは20度前後。タフな遠藤航といえども、この気温差に適応するのは相当苦労しそうだ。
 
 吉田のように過去2度のW杯予選をフル参戦し、最終予選の戦い方を分かっているベテランなら独自の調整法があるかもしれないが、遠藤は2018年ロシアW杯最終予選ではベンチにいることが多く、十分な実戦経験があるとは言い切れない。久保や冨安健洋(ボローニャ)、堂安律(PSV)や東京五輪世代にとってはもちろん未知の世界だろう。

 久保のように年代別代表でインドやタイ、ミャンマーなど過酷な環境を数多く経験してきた選手にとっては、必要以上に恐れることはないかもしれないが、やはり全員が実力を出し切らなければ確実に勝てるとは言えない。いかにしてチーム全体のコンディションを引き上げるのか……。そこが今シリーズ最大のポイントと言っても過言ではない。

 そこで森保監督に求められるのは、過去の実績や序列に縛られず、まずはしっかりと個々の状態を見極めることだろう。

 守備陣であれば、GK権田修一(清水)、最終ラインは右から酒井、冨安、吉田、長友佑都というのがこれまでの鉄板だったが、全員がベストパフォーマンスを出せる状態とは限らない。長友は目下、無所属で、6月11日のセルビア戦(神戸)以来、2か月以上も実戦から遠ざかっており、冨安もケガ明けだ。そういった面々をオマーン戦と中国戦で連続起用することが可能かどうかを冷静にチェックしてほしいのだ。

 GKは権田と川島永嗣(ストラスブール)を1試合ずつ使うとか、センターバックもシャルケで好パフォーマンスを見せた板倉滉を組み込む、左サイドバックも長友は2戦目に回して初戦は中山雄太(ズウォレ)を使うといった臨機応変な起用法が必要になってくるのではないだろうか。

 ボランチ陣も絶対的存在の遠藤航に2戦を託したい気持ちは分かるが、彼の状態をチェックしつつ、守田英正(サンタクララ)、柴崎岳(レガネス)、板倉らを組み合わせていくべき。柴崎・守田、柴崎・板倉といったコンビは経験値こそ少ないかもしれないが、今後を見据えても起用に目途を立てておいた方がベターだ。
 

 選択肢の幅が広いアタッカー陣はより柔軟な組み合わせが必要になってくる。大迫にしてもまだJリーグに復帰したばかりで万全とは言い切れないだけに、彼不在の1トップもイメージしておいた方がいい。南野を最前線に上げる、あるいは絶好調の古橋亨梧(セルティック)を据えたゼロトップ的な布陣など、戦い方で解決する道を模索することも重要だろう。
 
「ベテランと若手の融合は一番のポイントになると思いますね。経験ある選手だけで固めても難しいと思いますし、フレッシュな若い選手だけで固めても、緊張感のある戦いではひとつボロが出るとそこを突かれてしまう。強いチームはしっかり上と下が融合していると思うので」と長友も強調していたが、固定したメンバー構成ではタフな2連戦は乗り切れない可能性が高い。

 もちろん最善のコンディショニングを進めていくことが第一ではあるが、指揮官には幅広い戦力を有効活用するような策も思い切って打ち出してほしいものである。

取材・文●元川悦子(フリーライター)

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