「翼DREAM」地元・葛飾と“リアル南葛SC”の未来――元Jリーガーの社員選手たちが子どもたちに語ること

「翼DREAM」地元・葛飾と“リアル南葛SC”の未来――元Jリーガーの社員選手たちが子どもたちに語ること

「翼DREAM」の教室での授業の様子。社員選手の石井が担当する。写真提供:南葛SC




 現在、南葛SCには5名の社員選手がいる。

 今は激戦の関東リーグ2部を戦いながら、平日はスポンサー営業やグッズ開発など、多岐にわたる業務を忙しくこなしている。

 その中で大切な業務のひとつ、「翼DREAM」を担当しているのが楠神順平と石井謙伍、そして佐々木竜太だ。3名ともJリーグで活躍してきた華麗な実績を持つ。

 今回は実技担当として楠神順平、座学担当として石井謙伍に具体的に教えている内容ややりがいについて話を聞いた。

――◆――◆――

 楠神順平は、2020年に南葛SCに加入する前のシーズンまでは、J1の清水エスパルスでプレーでしていた。

「プロの時は極端な話、自分さえよければいいといいますか。自分がのし上がって活躍することが第一だったのはあります。これはプロとして大事な心構えではあるんですけど、今もその気持ちは持ちつつ、ほかにも地域貢献であったり、パートナー様であったり、チームを取り巻く環境など、自分というよりチームがどう向上していくかを常に考えるようになりました」

 チームの知名度を上げるために、それまでは関心の薄かったSNSの更新も頻繁にするようになった。考えること、やることは増えたが「そのぶん今まで以上にやりがいを感じている」という。翼DREAMも新たなやりがいを感じた仕事のひとつだ。

「セレッソ大阪にいた時なども、サッカー教室で子どもたちと触れ合うことは何度もありました。ただ学校に赴いたり、サッカーをしていない子たちに教えたりするのは、『翼DREAM』が初めてで。昨年からですけど、実際に教えてみて、みんな本当にかわいいんです。男子が頑張るのは想像がついたんですけど、女子もすごく積極的に取り組んでくれるのは意外だったといいますか。小学校高学年の女の子など、もう少しませているイメージだったので(笑)」

 とはいえ、初対面の時は互いに遠慮がちになる。まず自己紹介のところでつかみにかかるというが…。

「佐々木は『ササキングって呼んでください!』って自己紹介するんです。僕は『ジュンジュン』。でも最初は、まだ場が温まってないので反応はややウケ程度で(笑)。最初はクスクス笑われるくらいの反応なんですが、最後の方にはみんなその名前で呼んでくれるようになるんですよ」

 大切にしているのは距離感。専門的なサッカーを教えるというより楽しんでもらうことを第一としている。
「自己紹介の後にウォーミングアップをして、ボールを使ったゲームをします。『だるまさんがころんだ』の変形バージョンで、僕らがボールを空中に上げている時だけ移動していいという。“一人でも失敗したら全員がスタートに戻る”“最初にゴールしたら残り3回以内に全員がゴールしなければならない”というルールで。僕らもボールを上げる際にフェイントをかけたり、まっさきに一人だけゴールしてもみんなが困ったり。なかなか難しいのでみんなで作戦会議をするんですけど、ここらあたりから場が盛り上がってきて楽しそうに取り組んでくれます。それで最後にゲーム形式のサッカーをやって終了、という流れです」

 教えたいのはチーム、団体として動くことの大切さだ。
「うまくいかない時にみんなで積極的に意見を出し合って、話し合う姿を見ているのが楽しいんです」
 

 これまで翼DREAMでは実技を教えることが多かったが、最近では教室での座学も行なうようになった。座学もできるようになったのは、石井謙伍が加わったことが大きい。

「元々子どもと携わることをしたい思いが自分の中にありまして。これまでも日本サッカー協会の『夢先生』をやらせてもらったり、ベビーシッターの仕事をしたりしていました。それで南葛SCで働き始めた時に、同じようなことができないか相談させてもらったんです」

 翼DREAMにとっては、まさに渡りに船。かくして石井先生による授業が始まった。ちなみに生徒には「イシイちゃん」と呼んでもらっている。

「話すことは『夢先生』の時と同様、夢を持つことの大切さを伝える点は変わりません。ただ、南葛SCですから『キャプテン翼』のいろんなキャラクターの話も交えています。たとえば『石崎君は泥臭く顔面ブロックをするけど、好きでやってるわけじゃなくて、プロを目指してどうすべきかを考えた結果、チームのために自分を犠牲にしてああいうプレーをしているんだと思うよ。夢を目指すにはまずしっかり考えて自分に今、何ができるかを考えることが大切だよ』などと自分なりの解釈で話してます(笑)」

 いろんなエピソードを話して反応を窺いながら、現場に同行している朝田貴則・運営担当と相談して内容を更新し続けているという。実技では身体を動かしながら、ごく自然に子どもたちと距離感を縮めることができるが、座学ではそうはいかない。

「実技の後に座学だと入りやすいのですが、最初に座学が3時間、しかも1時間目からということもありました。となると、子どもたちもまだスイッチが入っていないから、どうテンションを上げていくかというのには気を遣います。そういう時は事前にクラスのムードメーカー的存在を聞いておいて、その子に話を振って盛り上げてもらったりしてます」

 伝えたいことは思いやりと謙虚さ。
「自身の人生で大切にしていることなのですが。僕の名前の『謙伍』も謙虚の意味からつけられているので」

「好きな食べ物はなんですか?」「結婚してるんですか?」授業が終わると、サッカーとは無関係の質問をしながら子どもたちが集まってくる。

「笑顔で楽しそうな姿を見るだけでやってよかった、と思わせてくれます。興味をもって質問してくれるだけで嬉しいですね」
 


 地域に愛される存在になる。そしてJリーグに上がる。クラブが翼DREAMを行うのには、そういった大目標がある。しかし、現場の話を聞いていると、南葛SCやサッカーだけを教材にしていない。そこから「子どもたちのためになってほしい」という思いが純粋に伝わってくる。
朝田少年は、野球をやっていた時に後楽園球場でプロ野球選手からキャッチングの仕方を教えてもらった。楠神少年は、地元にイベントでやって来たジーコと通りすがりに写真を撮った。そして石井少年は、地元コンサドーレ札幌の選手が開催するサッカー教室に参加して憧れを抱いた。今回話を聞いた3人には、それぞれ幼い頃にプロ選手と触れ合った強烈な思い出が、いまもまだ鮮烈に心に焼き付いていた。

 今は逆の立場として、同じ体験を子どもたちにしてもらいたい。

 きっと、似た原体験を共通して持っているから、活動内容も損得勘定抜きで純度の高いものになっているのではないか。その心意気が、葛飾区という土地柄、人柄にマッチしているようにも感じられる。

 楠神順平は今後、川崎フロンターレ時代に地域貢献活動で商店街を巡った体験を南葛SCに還元したいと考えている。石井謙伍も、愛媛FC時代に行なった「給食先生」という学校で生徒と給食をいっしょに食べるプログラムの楽しさを南葛SCでも行ないたいと考えている。

「僕も一度、給食を一緒に食べさせてもらったことがあって。個人的にも懐かしかったし、たわいもない会話や雑談が面白いんです。運動が得意な子もいれば、勉強が得意な子もいる。食べることが好きな子もいる。いろんな子どもたちのいろんな側面を、いろんなことを一緒に行ないながら引き出してあげたい。給食はなかなか実現していないのですが、コロナ禍が過ぎ去ったらぜひまたやらせてもらいたいなあと」
 と朝田氏も同調する。

 翼DREAMで話を聞いた子どもたちの将来に何が待っているのか、が分かるのはこれからだが――最後は石井謙伍の言葉で締めたい。

「僕らが教えることが説得力を持つためにも、やはり南葛SCが昇格してカテゴリを上げていってJリーグにいなければならないなと。子どもたちの夢、Jリーガーになるということももちろんですけど、それ以外の夢に向かってもらうためにも、南葛SCがJリーグ入りを実現させないとイメージできないと思うので」

 子どもたちへ夢を与える地域貢献活動、それはしっかり自分たちのモチベーションにもなっているのである。(このシリーズ了)

取材・文●伊藤 亮

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