【日本代表】長友は無所属、南野は定位置を奪えず… 気になる主軸たちの実戦感覚は?

【日本代表】長友は無所属、南野は定位置を奪えず… 気になる主軸たちの実戦感覚は?

無所属のまま最終予選へ突入した長友。実戦感覚は懸念材料だ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)



「前回(のワールドカップ予選)は、やっている僕らも『まさか』という結果になってしまった。翌日になって『それほど大変なことをしたんだ』と痛感したので、あの時以上の責任感と集中力でのぞんでいきたいと思っています」
 
 5年前の2018年ワールドカップ・アジア最終予選初戦のUAE戦(埼玉)。超満員の大観衆の中、ホームで敗戦を喫した苦い経験を酒井宏樹(浦和)はしみじみとこう語っていた。予期せぬ黒星発進の後、日本代表は想像以上の紆余曲折を強いられ、宿敵・オーストラリアを撃破して、やっとの思いで本大会切符を手にしたのだ。

 その二の舞を踏まないためにも、2日の2022年カタールW杯アジア最終予選初戦・オマーン戦(大阪・吹田)は確実に勝点3を手に入れる必要がある。チーム最年少の久保建英(マジョルカ)も「まずはチームとして勝点6を取って帰れればいい」と最高のシナリオを口にしたが、7日の中立地・中国戦(ドーハ)も含めて2連勝できれば理想的と言っていい。

 そこで気になるのが、主力クラスの現状だ。GKは2次予選ファーストチョイスの権田修一(清水)がコンスタントにJリーグの試合に出ていて、実戦感覚に問題はない。東京五輪を経験した最終ラインの酒井、吉田麻也(サンプドリア)も同様だ。今回は冨安健洋(ボローニャ→アーセナル)が移籍に必要なメディカルチェックに備えるため代表合流回避ということになったが、代役が有力視される植田直通(ニーム)も今季フランス2部で全6試合先発中。森保一監督が信頼を寄せる面々が所属クラブで活躍しているのは心強い。

 一方、ボランチ陣も、遠藤航(シュツットガルト)を筆頭に、柴崎岳(レガネス)もクラブでフル稼働している。守田英正(サンタ・クララ)はオマーン戦3日前合流が間に合わず、今回は参戦できないが、クラブで定位置を確保している板倉滉(シャルケ)や中山雄太(ズウォレ)らが控えている。連係面を含めて大きな不安はなさそうだ。そして、アタッカー陣にしても、鎌田大地(フランクフルト)、伊東純也(ゲンク)は実戦を積み重ねていて、まずは安心していいだろう。

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 しかしながら、無所属で最終予選に突入する長友佑都、今季開幕から公式戦出番なしの南野拓実(リバプール)の2人はどうしても不安が拭えない。ヴィッセル神戸移籍後2試合に出場しただけの大迫勇也、東京五輪後、移籍問題の渦中にいて8月の新シーズン公式戦に出ていない堂安律(PSV)も万全とは言い切れないのではないか。

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 とりわけ、長友は6月11日のセルビア戦(神戸)から3か月近く実戦から離れている。
「日々のトレーニングはパーソナルコーチと一緒にやっていた。コンディション的にはいい状態だと思っていますが、サッカーの感覚とはまた別問題」と本人もコメントしていただけに、実際の一挙手一投足がどうなのかはフタを開けてみないと分からない。国際Aマッチ125試合という歴代出場2位の記録を持つ左サイドバックには実戦不足を補えるだけの経験値があるのは確かだが、万が一ということもないとは限らない。今回がホーム2連戦ならまだしも、2戦目は灼熱のドーハでの中国戦だ。高いインテンシティを維持しながら合計180分を走り切れるのか否か……。そこは森保一監督と本人がしっかり意思疎通を図りながら判断してほしいところだ。

 南野に関しても、2019年の2次予選で4戦連続ゴールを挙げ、同予選合計7点を叩き出すなど、今の代表の重要な得点源になっている。鎌田と流動的にポジションを変化させながらアタッカー陣の軸を担っているエースナンバー10のパフォーマンスが上がり切っていないとしたら、日本にとっては大きなマイナスだ。プレシーズンに行なわれた7月29日のヘルタ・ベルリン戦でゴールを挙げ、開幕直前の8月9日のオサスナ戦でもロベルト・フィルミーノの得点をアシストするなど結果を残していたため、本人もここまで公式戦でピッチに立てないとは予想していなかったのではないか。

 南野が代表で結果を出していた時を振り返ると、森保ジャパン発足直後の2018年後半はザルツブルクで活躍。2019年後半はザルツブルクでチャンピオンズ・リーグに参戦していた。そして今年前半もレンタル先のサウサンプトンでコンスタントに出番を得ていた。そう考えると、リバプールで塩漬け状態の今、最終予選に挑むのは本人も難しさを覚えるだろう。

 ただ、欧州屈指のビッグクラブに在籍している以上、彼は苦境の乗り越え方を見出さなければいけない。今夏の欧州移籍期間に動きがなかったため、少なくとも来年1月までは環境は変えられない。その状況下で代表に来て即座にフィットし、結果を出していけるようなアプローチ方法を自分なりに模索していくしかない。まずは今回、ゴールという結果を出して、布石を打ってほしいものだ。
 

 大迫と堂安に関しては、長友や南野よりは状況はいいと言えるが、長距離移動の伴うタフな2連戦でフル稼働できるかどうかは、慎重に見極めた方がいい。堂安の右サイドは、伊東がいるし、久保や原口元気(ウニオン・ベルリン)も控えているので、チームとしてそこまで深刻に捉える必要はなさそうだが、大迫のスタミナ面や実戦感覚には細心の注意を払うべき。少しでも不安があるなら、古橋亨梧を最前線に配置してゼロトップ的に戦うなどのオプションを準備した方がベターと言える。
 
 試合途中からでも大迫に依存せず優位に試合を運べれば、敵をかく乱しやすいし、戦術のバリエーションも広がる。東京五輪でも森保監督はそういった部分で物足りなさを感じさせただけに、最終予選では幅のある戦い方をぜひとも示してほしいものである。

 いずれにしても、まずは2日のオマーン戦だ。「絶対に失敗できない大一番」で、主力選手たちがベストなパフォーマンスを発揮して、長友が言うように相手を圧倒することができるのか……。森保ジャパンの真の勝負がいよいよ幕を開ける。

取材・文●元川悦子(フリーライター)

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