オマーン戦でいよいよ浮き彫りになった「大迫依存問題」 停滞感が著しい攻撃陣をどう活性化していく?

オマーン戦でいよいよ浮き彫りになった「大迫依存問題」 停滞感が著しい攻撃陣をどう活性化していく?

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 キャプテン・吉田麻也(サンプドリア)が「負けるべくして負けた」と自戒を込めて言い、長友佑都も「ありえない話」と苦渋の表情を浮かべたように、2022年カタール・ワールドカップ(W杯)出場を目指す日本代表は2日、重要な初戦でオマーンに0-1で苦杯を喫した。

 同じく黒星発進を強いられた5年前の2018年ロシアW杯アジア最終予選は、UAE戦(埼玉)敗戦後、タイとの2戦目に勝ってペースを取り戻した。その後、大迫勇也(神戸)や久保裕也(シンシナティ)、井手口陽介(G大阪)ら若い世代の台頭もあって、最後の最後で切符を手にすることができた。
 
 しかしながら、今回も同じような形で再浮上できるとは限らない。というのも、前回のUAE戦は日本がペースを握り、シュート22本を放ちながら、本田圭佑の1点にとどまったものの、今回はシュート数も内容的にも相手を下回る完敗だったからだ。チーム状況はより深刻と言うしかない。

 とりわけ、苦しかったのが、絶対的1トップ・大迫を徹底的に封じられたこと。中盤が菱形の4−4−2を採ったオマーンは、両センターバック(CB)とアンカーの3枚がかりで彼を止め、そこからの攻撃を展開させなかった。

 合計46ゴールを奪った2次予選では、大迫と鎌田大地(フランクフルト)が近い距離感でプレーし、そこに南野拓実(リバプール)や伊東純也(ゲンク)が絡み合って数多くの得点機を作っていた。だが、その攻撃パターンをオマーンの指揮官であるブランコ・イバンコビッチ監督が細かいところまで分析し、対策を講じ、日本の生命線を断ち切ったことで、一気に攻め手がなくなってしまったのだ。

 大迫自身もコンディションが上がり切っていなかったせいか、動きのキレと鋭さを欠いていた。まだブレーメンに在籍していた7月に今季ブンデスリーガ2部で2試合に出場した後、ヴィッセル神戸に移籍。8月25・28日のJリーグに先発したものの、まだまだ実戦不足なのは明らか。それを森保一監督も分かっていたはずだ。

 だからこそ、今回はオナイウ阿道(トゥールーズ)や林大地(シントトロイデン)のようなポストプレーヤータイプのFWを呼んでおくべきだった。にもかかわらず、招集した24人中、FW登録選手は大迫と古橋亨梧(セルティック)だけ。「イザという時にはリバプールで最前線も務める南野拓実を上げればいい」と考えていたのかもしれないが、それもオマーン戦直前の左太もも負傷によって実現しなくなった。

 こうした後手後手の状況は、全て大迫に依存してきたツケというしかない。いよいよその問題に真正面から向き合わなければならない状況に陥ったと言っても過言ではないだろう。
 

 さしあたって、7日の次戦・中国戦(ドーハ)だが、コンディションの悪い選手よりも、できるだけフレッシュな面々を優先して挑むべきだろう。長距離移動の伴う中4日の連戦に加え、コロナ禍のカタール入国手続きに想像以上の時間を擁し、さらに最高気温40度超の猛暑という三重苦なのだから、オマーン戦と同じ陣容というのは到底困難だ。
 
 南野の回復具合にもよるが、やはり最前線はスコットランドでゴールを量産している古橋を抜擢し、スペースに飛び込ませるような形を作る戦い方へとシフトすべきだろう。

 オマーンはラインの上げ下げを巧みにしながらも、要所要所では自陣に引いてブロックを作る戦いをしてきたが、2日の初戦でオーストラリアに0-3で敗れた中国はそこまで守備組織が緻密ではないと見られる。ターゲットマンタイプの選手を入れなくても、機動力あるアタッカー陣が動き回って敵を揺さぶればスペースが生まれてくる可能性が高い。今回は機動力ある古橋に加え、久保建英(マジョルカ)、堂安律(PSV)らフレッシュな人間を組み合わせ、新たな形を模索した方がベターだ。

 実際、古橋がスコットランドで得点を量産できているのは、ゴールに近い中央でプレーしているから。オマーン戦の彼は左サイドで後半45分間プレーしたが、1対1で仕掛けたり、クロスを上げるだけでは、鋭い得点感覚を発揮し切れなかった。今の日本代表で最も得点力のある選手を最前線で起用することは、決定力不足に苦悩するチームにとって大きな希望になるはず。森保監督にはぜひともその方向性を真剣に考えてもらいたい。

 遠藤航(シュツットガルト)が「1つはシステムを変えてみてもいい」とオマーン戦後に話した通り、3-5-2を導入して、アウトサイドを大きく使いながら、古橋・久保・堂安を流動的に動かすのも一案だろう。この場合、大外にはアップダウンを厭わない室屋成(ハノーファー)や原口元気(ウニオン・ベルリン)を置けば攻守両面が安定する。3バックに慣れた佐々木翔(広島)もいるだけに、意外とそちらの方がハマることも考えられる。そうやって幅広い選択肢を持ちながら戦うしか、長年の課題だった「大迫依存症」を克服する術はないのだ。

 困難が重なるなか、挑む中国戦で勝点3を手にできれば、10月のサウジアラビア・オーストラリア2連戦に向けて再び明かりが灯る。だが、逆にここで連敗するような事態となれば、森保監督の進退問題が再燃することは避けられない。そういう泥沼状態を回避するためにも、コンディションのいいメンバーで前線を再構築して新たな勝負に出るべき。ここで躊躇している時間はない。固定概念に囚われない戦い方を今こそ指揮官には強く求めたい。

取材・文●元川悦子(フリーライター)
 

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