敗れたオマーン戦からよく切り替えた。それでも中国戦で残った3つの不安要素【記者コラム】

敗れたオマーン戦からよく切り替えた。それでも中国戦で残った3つの不安要素【記者コラム】

最終予選の第2戦で中国に勝利した日本。収穫と課題が見えた。写真提供:JFA



 2022年のカタール・ワールドカップ・アジア最終予選に臨んでいる森保ジャパンは、9月7日(日本時間9月8日)に2戦目となる中国戦を迎えた。ホームでの初戦はオマーンに敗れるまさかの黒星スタート。それでも、気持ちを切り替えて中国から1-0の勝利を掴んだ。

 新型コロナウイルスの影響で、中国国内で開催できなかったこの一戦は、カタールのドーハで行なわれた。日本は9月2日にオマーンと戦い、その後にカタールへ移動。スタジアムは冷房機能が備えられていたが、日中は40度を超える日もある現地の環境への適応が求められた。

 そのなかで、なにより切り替えなくてはいけなかったのはメンタル面だった。

 キャプテンの吉田麻也は中国戦を前に、敗れたオマーン戦をこう振り返っていた。

「日本代表として、アジアでホームで戦うなかでああいうことがあってはいけない。それを律することができなかった自分のミスでもあるし、チームのミスでもある。次の試合からもう1回、気持ちを入れ直してやっていこうと思うし、やっていかないといけない」

 オマーン戦は、準備期間が3日だった日本と、約1か月の合宿を張ってきたオマーンの間に明らかなコンディションの差があった。ただそれ以上に、慢心はなかったはずだが、日本はどこか漠然と試合に入った印象で、良さをまったく出せず。心と身体がリンクしないパフォーマンスだったと言えるだろう。

 10か国がふたつのグループに分かれて戦う最終予選。各グループの上位2か国が出場権を獲得でき、それぞれの3位チームもプレーオフを戦い、その勝者は大陸間プレーオフへ進出できる。

 全体で「4.5」の枠があるが、日本としてはこれ以上の敗戦を避けたい状況。そうしたなかで臨んだ中国戦は、序盤から果敢に戦った。

 5-3-2の布陣で、ゴール前に人数をかける中国の極端な守備的スタイルもあり、攻撃を跳ね返されてもセカンドボールを回収できた日本は、前半、ほぼワンサイドゲームで相手を押し込み、先制にも成功している。

 後半は反撃も受けたが、カタールへ移動後、中4日と限られた準備期間でチームとして切り替え、勝利を掴んだ点は評価されて然るべきだろう。相当なプレッシャーがあり、疲労も溜まっているなかで、もう後がないという危機感を持ち、勇敢に戦う姿を示した。

 トップ下で先発し、キレのある動きを見せた久保建英のパフォーマンスも今後の収穫だろう。
 
 もっとも不安要素も変わらずにあった。ひとつは攻撃のクオリティだ。オマーン戦と比べればパススピードも上がり、くさびの本数も増加。前述したように久保を軸にチャンスを作り出し、40分に奪った決勝点も素早いカウンターから、伊東純也が自慢のスピードを生かして右サイドを突破して、そのクロスに上手く大迫勇也が足で合わせた。

 それでも前半は押し込みながらフィニッシュ精度を欠き、枠を外すシュートも少なくなかったのは事実。複数人が連動する崩しでもトラップやパスが乱れる場面があり、どこかぎこちなさも残った。負けられないというプレッシャーから、下手なボールの失い方をしたくないとの想いも働いたのだろう。それでも、もう少し崩しに工夫があっても良かっただろう。

 真骨頂のプレスを含めて守備面が統一されている森保ジャパンだが、意図した攻撃の形はより増やしたいところである。

 そこに関連して、ふたつめの要素としてはCFの絶対軸である大迫のパフォーマンスが挙げられる。これまでは抜群のポストプレーで周囲を生かしていたエースは、中国戦で決勝弾こそ挙げたものの、珍しく相手を背負った際に態勢を崩すシーンが見受けられ、パスも乱れがちだった。

 今夏に神戸へ移籍し、7年半ぶりにJリーグに復帰した大迫はコンディションが整っていないのか、オマーン戦に続き、得点シーンを除いては、本来のプレーを見せられずにいた印象である。彼の状態が整わないと、攻撃面が停滞する“大迫依存症”がこの2戦で改めて色濃くなったと言えるだろう。

 そして3つ目は流れを変える動きが少なかったこと。最終予選というシビアな戦いでどうしても手堅い戦いになってしまうのは仕方がない。森保監督は敗れた1戦目から中国戦には、先発4人を変更。その内訳は、離脱した酒井宏樹に代えて室屋成を右SBに、CBにはカタールで合流した冨安健洋を入れ、南野拓実が怪我で不在の中盤2列目には、トップ下に久保、左サイドハーフには古橋亨梧を起用し、流れを作った。

 もっとも中国が反撃に出てきた後半は、膠着した状態に。1-0でしっかりゲームを締められた点は素晴らしいが、より流れを変えるカードの切り方があっても良かったのではないか。5枚の交代枠をすべて使う必要もないが、森保監督が選択したのはオマーン戦、中国戦ともに3枚。中国戦は負傷があったと見られる古橋、長友佑都に代えて原口元気、佐々木翔、イエローカードを受けていた伊東に代えて鎌田大地を投入したが、より状況を変えるため、チームの戦い方の幅を広げることも今後、必要だろう。

 ただし、敗戦から立ち直って掴んだ勝点3が、チームにもたらす影響は大きいはず。試合後には内容には課題を感じつつ、「この勝点3をポジティブに捉えたい」と選手たちは口を揃えた。

 10月にはサウジアラビア(アウェー)、オーストラリア(ホーム)と大きな2連戦がある。ここで改めて真価を問われることになるだろう。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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