ナオト・インティライミが「TikTok」にハマった舞台裏【インタビュー後編】

ナオト・インティライミが「TikTok」にハマった舞台裏【インタビュー後編】

インタビューで熱く語ってくれたナオト・インティライミさん。写真:田中研治



 サッカーにも本気なアーティストとして知られるナオト・インティライミさんの独占インタビューに成功。サッカーと音楽、そして積極的に活用するショートムービープラットフォーム『TikTok』について大いに語ってもらった。
 
 雑誌『ワールドサッカーダイジェスト』の2021年9月2日号のインタビューを、本誌には掲載できなかった分を含めて前編と後編の2回に分けて全文公開。ここでは後編をお届けする。
 
インタビュー前編はこちら!

(前編から続く)
――サッカーと音楽は、ご自分を形成する両輪という印象ですか?
 
「サッカー、音楽、そして旅。この3つがあれば僕はもうハッピーです。むしろそれ以外は僕には何もないです」
 
――サッカーと音楽は、自己表現であり、観ている人を感動させるという意味で、共通点があるようにも思えます。
 
「ああ〜、たしかに。でも、共通項はあるけど別物かな僕の中では。ただ、自己表現という部分はすごく納得できます」
 
――コロナ禍になって以降のここ1年半ほど、アーティストとして一番苦労したことはどんなことですか?
 
「ライブが50本以上も飛んでしまったこと、ですかねやっぱり。とくに2020年はデビュー10周年だったのに、自分のツアーはもちろん、フェスなども中止になってしまった。これは全てのアーティストさんが等しく頭を抱えたことだと思います。中でも僕は、いわゆるライブで叩き上げてきた自負があるんですね。日本中の誰もが知るような代表曲がないのに、ドーム・ライブまでやってますから僕(2015年に京セラドーム、2018年にナゴヤドームで公演)。お客さんが5人しかいないところからスタートして、10人、50人、100人って少しつずつ増やしてきたんです。飛び級なしで、ライブで地道にステップアップしてきたアーティストなんですよ僕」
 
――日本のサッカー界で言えば、地域リーグから地道に努力を続けて少しずつ昇格してJ1まで辿り着く、みたいなことですよね。
 
「そうそうそう!! まさに!! ナイス表現(笑)。ドーム公演はJ1ですまさに。京セラドームに立たせてもらった時、男性ソロアーティストでは6人目ですと聞いて。だれかと思ったら沢田研二さん、桑田佳祐さん、小田和正さん、平井堅さん、福山雅治さんだっていうんですよ!!  もうスーパースターだらけで、ナオト・インティライミがライブやって大丈夫なのかって(笑)。みなさまみたいなヒット曲が僕は1曲もないですから」
 
――錚々たる顔触れですね。でも、ナオトさんが同じ土俵に立てたのは、きっとライブで地道な活動を重ねてきたからこそですよね。
 
「そうなんです。フェスやらイベントやらで1人ずつファンの方を増やしていったからこそ、実現したドーム公演だったんです。テレビやオリコンじゃなくて、ライブがナオト・インティライミを育ててくれたんです。そんなアーティストがライブを奪われた……。一番の武器を奪われたような感じでしたねホントに。ライブできない僕は僕じゃないというか。感染症の専門家の方が、『今後2、3年はスポーツも音楽もお客さんを入れたイベントはできないかもしれない』って言っているのをテレビで見た時は、もう絶望的な気持ちになりましたね正直」
 

――ちょうどそのタイミングで力を入れ始めたのが、『TikTok』でしたよね。
 
「はい、奪われたステージをTikTok上に作ろうと思ったんです。正直、SNSを含めてネット上のコミュニケーションってあんまり得意じゃなかったんです元々。やっぱりライブでお客さんの前で歌って、お客さんの熱を感じるのが何よりも楽しいので。でも、それが現実問題として難しくなってしまった。だからTikTok上で夏フェスを毎日やっているみたいな空間作りができないかと思ったんです」
 
――実際に使われてみて、TikTokのどんなことろが気に入りましたか?
 
「世界中の不特定多数の方に、僕のことを知ってもらえるというのが何よりも素晴らしい。感覚的には『ネット上のストリートライブ』という感じですかね。他のSNSよりも手軽で自由だし、『あっ、なんかストリートライブやってる』みたいな感じでフラッと足を止めて曲を聞いてくれる感じが、旅人気質な僕にもピッタリはまったんですよねきっと」
 
――ネット上の新宿南口(ストリートライブのメッカ)、みたいな感じですかね。
 
「間違いない!! だから今まで僕のことを知らなかった人たちにも、認知してもらえる良いキッカケになっています。最初は数百人だったフォロワーさんが52万人まで増えたっていうのは、ホントにそういうことだと思うんですよね。この1年ちょっと本気で取り組んできて、一個の大きな成果になっていますね。色んなクリエーターさんたちとコラボするのもすごく楽しいし、音楽はもちろんそれ以外のバラエティー色のあることもできちゃうのが気に入っています」
 
――たしかにナオトさんのTikTokは、音楽はもちろんサッカーの動画があったり、さらには若者向けの流行ダンスを踊ってみたりと、非常に幅が広いですよね。
 
「あれはもう素ですね。自分がこれまでやってきたこと好きなことをやればいいという意味で、僕はとってもTikTokと相性が良いんだと思います。歌うこと、踊ること、サッカーをすること、全部が僕の好きなことですからね。ライブができない世界になってしまった中、TikTokには救われましたホントに」
 
――昨年の夏から『ナオトフェス』と題されたオンライン・フェスも、TikTok LIVEで定期的に開催されていますよね。
 
「あれもすごく大きかった。次世代のアーティストとコラボする機会って、やっぱりここ1年はすごく難しかったんです。でもTikTokならそれができるし、何よりも若い世代は最初からこうしたツールに慣れているから新たな発見もたくさんあったんですよね。YOASOBIとか優里とか才能豊かな若いアーティストとコラボできたのも、まずTikTokの存在があればこそでした」
 
――TikTokのコメントなどを読まれて、新規ファンの多さは実感されますか?
 
「めちゃめちゃ感じますね。今は昔のようにテレビにバンバン出るようなスタンスではないし、世代的に例えば10代の子とか僕のことを知る機会ってなかなかないと思うんですよ。でも、10代とか20代前半の子もコメントをくれるんですよね、『ティライミさん本物っすか?』とか『ティライミさん面白いっすね』とか(笑)。思わずコメントを返しちゃって、そこで新たなコミュニケーションが生まれている。凄いことですよね」
 
――そういったデジタルでの新しいコミュニケーションは、とても現代的ですよね。
 
「ホントにそうですね。ただ、フォロワーさんが必ずしも僕のファンとは限らないと思うんですよ。でも、例えば来年の夏はフェスが通常開催できる環境が整って、若い子が好きなアーティストを見たくてそこに行ったとしましょう。で、タイムテーブルで僕の名前を見つけたら、『あっ、ナオト・インティライミ、TikTok面白いから実はフォローしてるんだよね。見に行こうかな』ってなってくれるかなって。今までだったらスルーだったはずですよねこれ。でもそんなノリでもいいからステージに足を運んでもらえれば、ライブは大得意なんでファンになってもらえる自信はあります。その接点、キッカケという意味でTikTokは大きいなって思いますホントに」
 

――先日(7月10日)、久々の有観客ライブ『ナオトの日2021』を開催されました。やはりグッとくるものはありましたか?
 
「お客さんはマスクを付けているし、声を出すのも禁止というルールだったので、ライブ前は不安でした。でも、マスクで顔が半分隠れていて声も出せないのに、お客さんの存在をしっかり感じられるんですよ。もうね、ステージに上がっただけで涙が出てきましたよ。拍手はオッケーだったんですけど、その拍手もビシビシと心に響きましたね」
 
――もちろんコロナ前のようなライブではなく歯痒さもありながら、お客さんの前で歌うってことはやっぱり格別なんですね。
 
「ホントに嬉しかったですね。ナオトフェスとは別でオンラインライブを2回ほどやってたくさんの方が見てくれたんですけど、あれはやっぱりお客さんの顔が見えないから、こんな反応なのかなって想像しながらやるしかないんですね。それを経ているからなおさら、声は出せないけど目の前にお客さんがいることの素晴らしさを実感しました。アドレナリンが出てモチベーションが高まるし、充実感もまったく違いましたね」
 
――スポーツ界でも音楽界でも、この1年半は「お客さんの力」というものを改めて実感させられますよね。
 
「そうですね。僕はさっき言ったようなライブで叩き上げてきた人間なんで、とくにそう強く思います」
 
――いまサッカー界でもTikTokのアカウントを持つクラブがすごく増えていて、既存のSNSには上げないような動画をアップして話題になるケースも増えています。ナオトさんは今後、TikTokで新しい試みとかは考えてらっしゃいますか?
 
「みんなやってますよねサッカークラブも。僕はそうだな、いま海外挑戦がコロナ禍で中途半端な状態なんですよ(編集部・注/世界3大レーベルの1つ『ユニバーサルミュージック ラテン』と契約し、2019年9月に『Naoto』名義で『El Japonés』を発表して世界デビューしたものの、コロナ禍で活動が中断している)。日本人が想像している以上に世界のTikTok熱ってすごいじゃないですか? 超有名なアーティストさんたちもすごく上手に使ってらっしゃる。だからこれまでは完全に日本向けにやってきましたけど、今後は少し世界を見据えたチャレンジもやっていきたいなと」
 
――世界を見据えたというのは、言語の意味でもですか?
 
「そうです、そうです。Naoto名義だとスペイン語で歌っているので、スペイン語を使った動画を作ったり、スペイン語圏のアーティストさんとコラボなんかもやっていきたいなと。あっ、それとバズ・マジシャン・シンさんとコラボしたマジック動画がすごくバズったんですよTikTokで。なんと5000万再生を超えて。あれで海外のフォロワーさんがすごく増えたので、ああいう非言語の動画もありだなって思います。そこで本職はアーティストだって知ってもらえば、コラボの話もくるかもしれないですしね」
 
――たしかに最近は、国もジャンルも異なるアーティスト同士がTikTok上で出会ってコラボ、みたいなパターンも増えていますよね。
 
「そうそう、あのパターンです。スペイン語圏のアーティストとかと組めたら楽しいだろうし、世界に向けた良い露出機会になるなと」
 
――最近は「ウィズコロナの時代」という言われ方もしますが、デジタルの活用はスポーツ界でも音楽界でもますます重要になっていきそうですね。
 
「デジタルは個人的に後れを取っていた分野だったので、このコロナ禍でその実績が積めて成果を出せたのは非常に大きかったですね。今の時代を生きていくには、TikTokなどデジタルの活用がホントに欠かせないなと。ライブも生もあるけど配信もあるとか、ハイブリッドなものになっていく可能性があると思います。今はライブ終わった後の控室でアフタートークなども配信してるんですけど、そんなのは今までは考えたこともなかったです正直」
 
――今の時代は、そういった舞台裏コンテンツがすごく喜ばれますよね。
 
「そうなんですよ、お客さんはそれもすごく喜んでくれるんですよね。この逆境の中で生まれたコンテンツってデジタル面はたくさんある。それぞれのメディアやSNSの特長もあるし、アンテナは張っておきたいですね。自分の変革に挑戦させてもらったという意味で、TikTokには感謝していますホントに。ワールドサッカーダイジェストの読者のみなさんも、是非ともフォローをお願いします!!」
 
インタビュー●白鳥大知(ワールドサッカーダイジェスト)
 
ナオト・インティライミさんの公式TikTokはこちら!
 
【PROFILE】
ナオト・インティライミ/三重県生まれ、千葉県育ちのシンガーソングライター。世界66カ国を一人で渡り歩いて各地でライブを実施する。2010年にメジャーデビューし、2012年にはNHK紅白歌合戦に初出場。2018年末には約3年ぶりのドーム公演をナゴヤドームで開催し、2019年9月からは全国25か所31公演のホールツアーを大成功させる。同年9月には世界三大レーベルの『ユニバーサルミュージック ラテン』より世界デビューを果たした。2020年には初の生配信ライブも実施し、10月には初のEP『オモワクドオリ』を発売。今年は「10周年!アニバーサリーおまっとぅりYEAR」がついに始動! 1月にはTBS『逃げるは恥だが役に立つ』新春SPに出演。7月10日の『ナオトの日』にて2曲の配信シングルがリリースされ、9月29日には10周年記念ベストアルバム『The Best -10th Anniversary- 』のリリース、10月2日からは全国ツアーの開催も決定している。

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