「原動力は悔しさや怒り」日本代表DF中山雄太が最下位に沈むズウォーレで奮闘。東京五輪で掴んだのは「酒井宏樹という基準」【現地発】

「原動力は悔しさや怒り」日本代表DF中山雄太が最下位に沈むズウォーレで奮闘。東京五輪で掴んだのは「酒井宏樹という基準」【現地発】

最下位に沈むズウォーレで奮闘を見せている中山が現状を語った。(C)Getty Images



 今シーズン、不振を極めているズウォーレは10月2日、ヘーレンフェーンとホームで対戦し、0‐1の敗北。勝点1の最下位に沈んでいる。

 ズウォーレには先制する機会が幾度もあったが、フィニッシュの精度が低く、どうしてもゴールが決まらない。50分にはストライカーのスロボダン・テディッチが、ターンから強烈なシュートを放ったものの、GKハビエル・ムースの好セーブに阻まれた。

 サッカーとは不思議なスポーツだ。勝ち癖を失ったチームは、思わぬ形で決勝ゴールを奪われる。後半開始からシュートゼロが続いたヘーレンフェーンに対して、63分にオウンゴールを献上してしまうのだ。
    
 この日、左サイドバックとしてフル出場した中山雄太は、「僕も日本(柏レイソル)で残留争いをしたことがありました。怪我をしていて試合に出られず、より客観的にゲームを見ることができました。(今日のズウォーレは)『前半は良かったのに…』とか、残留争いするチームがする典型的な試合展開だったと思います」とヘーレンフェーン戦を振り返った。

「今のチーム状況をネガティブに考えようと思ったら、いくらでもできます。例えばチャンスを作っている中で、本当にゴールを決めるという気持ち。得点が8試合で2点ですし、守備でもそうですが、本当に最後のひと踏ん張りが必要。そこをどう捉えるかですね。だけど、ネガティブになっていいことはひとつもないので、課題に対してポジティブにしっかり見つめる意識が大事なのかなと。僕からしたら、結局は練習がものを言うので、どれだけ一人ひとりが練習から意識できるかが大事だと思っています」

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 中山が心がけているのは、「一つの大きなピースになる」ということ。チームは11人のピースの集合体。サッカーというスポーツは個々のピースが大きくなればなるほど、ピッチの上でのパフォーマンスが高まるはずだ。

「僕が意識しているのは、より得点に絡んだり、後ろに安定感をもたらしたりすること。(今の状況を)軽く捉えているわけではないですが、周りを気にしすぎて自分のプレーが疎かになるのが一番よくない。結局(個々の選手は)一つのピースでしかない。試合に出ている11人の、一つひとつのピースが大きければ大きいほどいいという意識でやっています」

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 中山自身のプレーは決して悪くない。キックオフ直後、テレビの実況はケネット・パールではなく中山が左サイドバックを務めていることに疑問を呈していた。しかし、21分に好クロスからビッグチャンスを作るなど、攻守に持ち味を発揮する日本代表に対して、こうコメントした。

「試合が始まって25分、中山は左ウイングバックとしていい印象を残しています」

 中山は2節前のスパルタ戦で、粘り強いドリブル突破からアシストを記録していた(これがズウォーレにとって今季初ゴールだった)。ヘーレンフェーン戦のプレーを客席から見ていて「東京オリンピックで何かを掴んでオランダに帰ってきたな」と私は感じていた。
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「そうですね」と中山がうなずいた。

「酒井宏樹(浦和)選手という基準ができたのは大きいですね。僕はこれまでいいプレーをしても『そのプレーを基準にしろ』と言われ続けました。その基準が今は酒井選手になりました。その基準を乗り越えたいと思っておます。東京オリンピックは確かに大きかったです。プレーもそうですが、それ(パフォーマンス)に伴って自信を得られた大会でした。加えて、今の僕の原動力である悔しさというものが残りました」
 
 中山の負けず嫌いな一面を、エキシビションマッチで見たことがある。正直言って、勝っても負けでもどうでもいいような試合だったが、敗戦後に心底悔しがって、しばらく声が出なかった。しかし、ヘーレンフェーン戦が終わって1時間近く経った後の彼は気持ちを整えて穏やかに話している。

「負けたことはめちゃくちゃ悔しいです。チーム自体、勝てることができてない。そういったことが全部悔しい。だけど、悔しがっているだけではだめ。僕にとって悔しさや怒りは『パワー変換装置』なんです。怒りと悔しさはマイナスのエネルギーに働きますが、今の僕の中にはそれをポジティブなプラス・エネルギーに変えられるものがあります。だから、今のこういう状態なんだと思います」

 これから日本代表のカタール・ワールドカップ予選、10月シリーズ(サウジアラビア戦、オーストラリア戦)が始まる。まずは完全アウェーのサウジアラビア戦だ。

「僕はいい意味でも悪い意味でもアウェーの怖さを知りません。これまで僕はA代表にコンスタントに呼ばれてきたわけではなく、東京五輪を終えて初めてワールドカップ予選に参加しました。僕自身は、アウェーの怖さを知らないまま突っ走っていければいいと思っています。僕たち(東京五輪世代)ができることは、若さでどんどん駆け抜けられるぐらいの勢いを持つこと。ベテランの選手たちが後ろで手綱を引いているぐらいが、僕はちょうどいいと思っています。

 中国戦は中立国のカタールで試合をして、観客もいませんでした。そういった意味でサウジアラビア戦は楽しみでしかありません。僕自身は9月の代表マッチで出場機会がなかった悔しさがあります。自チームの結果も疎かにはできません。しかし、ネガティブではなくポジティブに自分の課題と成長に向き合えています」

取材・文●中田徹

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