日本代表、4年前の屈辱が想起される完全アウェーのジッダでの戦い。過酷な気候・環境に、問われる指揮官のマネジメント力

日本代表、4年前の屈辱が想起される完全アウェーのジッダでの戦い。過酷な気候・環境に、問われる指揮官のマネジメント力

2017年のロシアW杯アジア最終予選・サウジアラビア戦のスタメン。超満員のアウェー戦となった。写真:サッカーダイジェスト




「こんなに『ド・アウェー』でやることは、ホントになかった。今までアウェーで広州恒大が一番すごいと感じてましたけど、それも比にならないくらいの迫力があったし、ホントにこのスタジアムで体験しないと分かんないこと。暑さもそう。湿度は日本に近いって言われるけど、日本でやってる僕もなかなかこの環境ではできない。難しかったですね」

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 これは、2017年9月6日のロシア・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選・サウジアラビア戦(ジッダ)後の昌子源(G大阪)のコメントだ。

 4年前の0-1の屈辱的敗戦を経験している長友佑都(FC東京)、吉田麻也(サンプドリア)らの苦い記憶を忘れていないはず。日本代表は7日(日本時間8日未明)に同じキング・アブドゥラー・スタジアムでサウジに挑むが、すでにオマーンに取りこぼしている以上、同じ轍を踏むことは絶対に許されない。過去の教訓をしっかりと生かすべきだ。

 そこで、前回最終予選のラストマッチを改めて振り返ってみると、この時の日本は7日前のオーストラリア戦(埼玉)を2-0で勝利。ロシア切符を手にした直後だったが、サウジにとっては本大会出場権がかかった大一番。まず両者のモチベーションには差があった。

 このうえで、日本はケガの長谷部誠(フランクフルト)と香川真司(PAOK)がサウジ遠征に不参加。大迫勇也(神戸)もベンチ外となる中、本田圭佑(スドゥーバ)、岡崎慎司(カルタヘナ)が先発に名を連ねた。が、当時の日本代表で苦境にあった2人は揃って精彩を欠き、結果を出せなかった。オーストラリア戦で躍動感を見せた山口蛍(神戸)や井手口陽介(G大阪)、浅野拓磨(ボーフム)らも長距離移動と時差、高温多湿の気候が重くのしかかり、動きが悪かった。

 そこに追い打ちをかけたのが、現地ファンの大声援。白装束姿を中心とした熱狂的な男たちの大声援が響き渡り、暑さと息苦しさの入り混じった異様なムードに気圧された日本は、63分に最終ラインの背後をアル・ムワラド(アル・イティハド)に抜け出され、まさかの失点。そのまま敗れ去る形になってしまった。

「すごい雰囲気があったし、暑い中で本当に苦しい試合だったから、苦い思い出がある」と長友は当時を回想。浅野も「スタジアムの雰囲気と環境が難しかった。特にすごく暑かったし、体力的にも厳しい戦いになった」と神妙な面持ちで言う。「今回も季節的にはそんなに変わらないですし、昨日空港に着いて外に出た瞬間、『暑っ』と思った。間違いなく体力的にもメンタル的にも簡単なゲームにならない」と快足FWは警戒心を募らせていた。
 


 7日の天王山は現地時間20時キックオフ。4年前も20時半開始だったから、時間帯はそう変わらない。当日の予報は最高37度、最低27度で、試合中は30度前後に達すると見られる。湿度も70%以上というムシムシした環境。涼しくなった日本や欧州から赴く日本代表選手にとって過酷なのは変わらない。この時期、10度台前半の気温の中でプレーしている古橋亨梧(セルティック)や南野拓実(リバプール)ら英国勢は適応に相当苦しみそうだ。

 幸いにして、9月の中国戦(ドーハ)の時よりは新型コロナウイルスの検査待機時間が5時間程度と短くなり、現地入り初日の4日から招集メンバーの半数以上でトレーニングを消化することができた。スタメンが確実視される遠藤航(シュツットガルト)や冨安健洋(アーセナル)らがいち早く調整できたことで、森保一監督もとりあえず安堵していることだろう。

 国内組の長友や大迫、酒井宏樹(浦和)らも予定より早く練習合流が叶った。が、Jリーグ勢は時差1時間の主要欧州組よりコンディション調整が難しくなる。彼らベテラン勢には長い長い代表キャリアがあるものの、国内組として最終予選参戦した経験は非常に少ないため、やはり不安は拭えない。9月のオマーン戦(吹田)では選手個々の状態以上に過去の実績を重視したメンバーで戦って結果が出なかっただけに、今回はまずコンディションを入念にチェックすべきだ。
 
 コロナ禍で無観客や観客制限下でのゲームが1年半続き、大観衆の声援と緊迫感に面食らう人間もいるかもしれない。特に強烈アウェー未体験の若い世代をズラリと並べることにはリスクも伴う。ただ、長友や大迫、酒井宏樹よりも一足先にジッダ入りした中山雄太(ズウォーレ)、オナイウ阿道(トゥールーズ)、室屋成(ハノーファー)の方が時差や移動負担が少ないのは確か。そのあたりも勘案しながらスタメンを判断しなければ、オマーン戦の二の舞になりかねない。森保監督にはフィジカル面と代表経験値のバランスを取りつつ、よりフラットな目線で選手起用の見極めをしてほしい。さらには交代枠をフル活用しながら、総力戦で戦い抜くことを強く求めたい。

「1日でも早くフィットすることにフォーカスして、自分たちが持っているものを全力で表現できる準備さえできれば、いい戦いができるのかなと感じている」とジッダ経験者の浅野が語気を強めたが、今回はチーム全体でアウェーを克服することが最優先。まさに指揮官のチームマネージメント力が問われることになる。

取材・文●元川悦子(フリーライター)
 

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